映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は536本目。タイトルはショーン・ベイカー監督による、2023年日本公開作品「レッド・ロケット」。特典映像としては、特に無し。2017年日本公開「タンジェリン」、2018年日本公開「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」が立て続けに高い評価を受け、米インディペンデント界で飛ぶ鳥を落とす勢いのショーン・ベイカー監督による、2023年日本公開のヒューマンドラマ。ちなみに次回作の2025年公開予定の「ANORA アノーラ」は第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、見事”パルムドール”を受賞しているので、ショーン・ベイカーの快進撃は留まる事を知らないようだ。本作のキャスト陣は「最'狂'絶叫計画」「DRONE ドローン」などのサイモン・レックス、主に舞台で活躍していた女優のブルー・エルロッド、さらになんとショーン・ベイカー監督が映画館でスカウトしたという新人スザンナ・サンなど。サイモン・レックスは本作で、ロサンゼルス批評家協会賞の「主演男優賞」などを受賞しており、大きなキャリアアップを果たしている。
作品としては2016年のアメリカ・テキサスを舞台に、元ポルノスターでいまは落ちぶれて無一文のマイキーが故郷に舞い戻ってくるところから始まる。別居中の妻レクシーと義母に拒絶されながらも彼女たちの家に転がり込み、なんとかマリファナを売りながら生計を立てる毎日。そんなある日、ドーナツ店で働くひとりの少女との出会いをきっかけに、マイキーは彼女をポルノ女優にすることで再起を夢みるようになるというストーリーだ。口先だけで生きる元ポルノスターという救いようのないどうしようもない男と、テキサス工業地域という閉鎖的な地域で生き抜いている人たちの生活をリアルに描いており、それらをテレビのニュースから流れる当時のドナルド・トランプの演説を挟み込んで描写することで、監督は”ある種”のメッセージを発信していると思う。アメリカの片隅を舞台にろくでもない主人公を描いた作品だが、ラストのシニカルな展開にはマイキーを突き放した視点と同時にほんの一抹のポジティブなメッセージも含まれているような気がして、嫌いにはなれない作品だった。次回作「ANORA アノーラ」も楽しみだ。
監督:ショーン・ベイカー
出演:サイモン・レックス、スザンナ・サン、ブリー・エルロッド
日本公開:2023年