2023年に劇場で観た映画ランキング『ベスト20』を発表!
今回は2024年映画ランキングの20位から1位を発表!劇場で鑑賞した作品と配信限定作品から選定した。またここにランクインしなかった映画でも、「コンクリート・ユートピア」「哀れなるものたち」「猿の惑星/キングダム」「アビゲイル」「憐れみの3章」「破墓/パミョ」あたりは印象深い。ちなみに本年度のワーストは、1月公開のスコット・ウォー監督「エクスペンダブルズ ニューブラッド」。シリーズ4作目にして、擁護のしようがない最低作品となっていたのは驚かされた。では20位から順番にベストを発表!今年も本ブログを読んで頂き、ありがとうございました!
20.「悪魔と夜ふかし」
邦題タイトルが最高に良いし、”ファウンド・フッテージ”の演出を活かした、ホラー映画として重要な”ビジュアルセンス”に溢れた作品!ラストの映画的な飛躍も楽しく、上映時間も93分とタイトでまったく退屈するタイミングがない、監督たちの過去作へのオマージュとセンスに溢れたホラー映画!
19.「コヴェナント/約束の救出」
ガイ・リッチー監督初の硬派な戦争アクション映画であり、近年のキャリアでは突出した出来だったと思う。アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て撮った社会派ドラマの側面もあるのと同時に、オープニングからエンディングまで展開が読めない娯楽性もあり、バランスの良さも魅力!
18.「落下の解剖学」
第76回カンヌ国際映画祭で女性監督による史上3作目のパルムドールを受賞した、法廷ヒューマンサスペンス!観客に物語の解釈を委ねるタイプの作品で、観客ひとりひとりが自分なりの結末を想像して楽しめる映画だろう。愛犬スヌープの凄まじい演技も必見だし、法廷劇としても”暗黒夫婦”映画としても、とても高いクオリティで融合している作品!
17.「密輸 1970」
エンタメ作品の名手リュ・スンワンが監督を務め、実話から着想を得て作り上げた韓国クライムサスペンス!70年代の韓国大衆歌謡曲が鳴り響き、女性同士の友情を描いたシスターフッド、油断ならない騙し合いを描いたコンゲーム、様々なパターンで描かれるアクションと笑い、そしてそこに社会風刺の要素もひとさじ入れて煮込んだような、娯楽映画の王道作!
16.「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」
2019年日本公開「ジョーカー」の5年ぶりの続編。再びトッド・フィリップス監督がメガホンを取り、ホアキン・フェニックスとレディー・ガガの共演が話題となった。前作とは真逆のコンセプトの続編になっており、観客/評論家ともにかなり否定的な意見が多かった作品だが、個人的には圧倒的”肯定派”だ。とてつもなく哀しく、そして美しい作品だったと思う。
15.「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」
巨匠リドリー・スコットが前作に続いて監督を務めた、24年ぶり「グラディエーター」の正統続編!冒頭の絵画風のタッチで前作の流れをおさらいしてくれる場面からラストシーンまで、映像作品としてのクオリティは恐ろしくレベルが高く、リドリー・スコットとハリウッド映画の”本気”を実感できる、娯楽アクションの大作!
14.「関心領域」
アウシュビッツ強制収容所の隣にある収容所の所長と、その家族の暮らしを描いていく作品なのだが、過去にはあまりない着眼点によって作られており、そこが本作を”特別な作品”にしている。とても実験的な映画だと言えるだろう。ラストシーンも様々な解釈を呼びそうな場面になっており、「A24」が製作した2024年度を代表する一作になっていると思う。
13.「マッドマックス:フュリオサ」
全世界待望の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の前日譚でありスピンオフ作品!フュリオサの若き日を描いており、アニャ・テイラー=ジョイやクリス・ヘムズワースの熱演も素晴らしかった上に、ジョージ・ミラーの長大な叙事詩の一遍を観ているようで、この世界観には惹き込まれる。本作を観終わったあと、すぐに「怒りのデス・ロード」が観たくなる事、必至!
12.「パスト ライブス/再会」
本作が長編映画監督デビュー作となるセリーヌ・ソンが、子供の時に家族と海外へ移住した自身の体験をもとにオリジナル脚本を執筆し、メガホンを取った作品。”選択と時間”の物語だが、細かなシーン演出の積み重ねによって、芳醇な映画体験が得られる大人のためのラブストーリー!
11.「胸騒ぎ」
ブラムハウス・プロダクションズでジェームズ・マカヴォイ主演のハリウッドリメイクが公開になっているが、個人的にはオリジナルのデンマーク版に軍配を挙げたい。圧倒的なオチのインパクトは素晴らしく、挑戦的な寓話ホラーとして大成功している作品だと思う。「ファニーゲーム」「ザ・バニシング-消失-」などに並んで、鑑賞後は忘れがたい一本になるだろう。
10.「シビル・ウォー アメリカ最後の日」
内戦の勃発により地獄と化したアメリカを舞台に、ワシントンD.C.へ大統領の独占取材をしに行くカメラマンとジャーナリストの目線から、戦場をドキュメンタリータッチで描いたアクションスリラー。劇中で繰り広げられる、本年度屈指の”ある恐怖シーン”など見どころは多く、鑑賞後に語りたくなるようなメッセージ性を含んだ力作!
9.「ありふれた教室」
非常に地味なドイツ映画だが、限定的な空間での作劇でありながらも、映画的な演出と役者たちの演技によって恐ろしく濃密な映画体験ができる本作。特に学校を舞台にしているだけに子役の演出が上手く、メッセージ性が強い上に、展開が気になるという娯楽性まで担保されている本年度のダークホース的作品!
8.「梟ーフクロウー」
韓国国内映画賞で25冠の最多受賞を記録したサスペンススリラーで、老若男女問わず楽しめる映画になっているのが素晴らしい。夜が明けて明るくなるまでのタイムリミット感や、絶対的な権力に立ち向かうという少年漫画的なドラマ性とカタルシス、そして窮地を証拠と知恵で切り抜けていくサスペンス要素が絡み合った、エンターテインメント作!
7.「デューン 砂の惑星PART2」
スケールの大きな「超大作」という名に相応しい続編!構図/画角/衣装/ライティング/メイクを含めて、完全にコントロールされた映像美の中で、ティモシー・シャラメやゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソンらの美麗な姿と広大な砂漠のロケーション、大掛かりなVFXを贅沢に楽しめる娯楽SF超大作!
6.「Chime/チャイム」
上映時間45分の黒沢清監督作品!ただ中編という事で、ストーリーの起伏やキャラクター設定ではなく、完全に”映像の演出”を堪能する映画になっている。とにかく徹底して無駄な要素を削ぎ落して、ホラー映画として観客を怖がらせることに注力しており、その完成度は凄まじい。
5.「チャレンジャーズ」
「君の名前で僕を呼んで」「サスペリア」のルカ・グァダニーノ監督が、ゼンデイヤを主演に迎えた”恋愛スポーツ劇”の変化球的作品!ルカ監督の新作がまさかのテニス映画と聞いて驚いたが、これは監督のフィルモグラフィー史を更新する傑作だと思う。そしてトレント・レズナー&アティカス・ロスによる音楽も抜群の完成度!
4.「陪審員2番」
今年94歳を迎えたクリント・イーストウッド監督の最新作!U-NEXTでの独占配信とのことで劇場公開が見送られたことは残念だが、この世界に渦巻いている良心や倫理観といった曖昧なテーマを、巧すぎる演出と素晴らしい脚本によって突きつけてくるヒューマンサスペンスであり、イーストウッドの集大成!
3.「ソウルの春」
1970年代末に韓国で起こった「12・12」の軍事クーデターをフィクションを交えながら映画化した、ポリティカルサスペンス。上映時間142分、一時たりとも退屈することが無いうえに、鑑賞後に猛烈に思考を促されるハイクオリティな作品!2024年12月、45年ぶりに「戒厳令」が出た今だからこそ観たい、必見の韓国映画!
2.「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
映画監督アレクサンダー・ペインによる約6年ぶりの公開作品は上品で温かい、そしての巧さが際立つヒューマンドラマ!感動的なシーンも音楽や演技によって過度な演出をせず、スマートに処理する手腕はさすが。アレクサンダー・ペインの新たな傑作クリスマスムービー!
1.「ロボット・ドリームズ」
EW&Fの「セプテンバー(September)」と共に贈られる、最高の”人生賛歌”であり感涙必至の感動作。セリフやナレーションを完全に排しながらも、”ドッグ”や”ロボット”という抽象化されたネーミングのキャラクターたちがあまりに魅力的!個人的には大げさでなく、”生涯ベスト級”のアニメーション作品!