映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.551:「ビール・ストリートの恋人たち」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は551本目。タイトルはバリー・ジェンキンス監督による、2019年日本公開作品「ビール・ストリートの恋人たち」。特典映像は「未公開シーン集」「インタビュー集」「特報・予告編」で、計38分が収録されている。「インタビュー集」では、バリー・ジェンキンス監督が「大学生の頃から、原作者であるボールドウィンのファンで原作の二つの表現に感銘を受けたんだ。ティッシュとファニーの間にあるロマンスや愛の描写とアメリカ社会への素直な批判だ。最初に脚本を書いた時は権利が無かったから、遺産管理団体に連絡を取ったが映画を製作するには難しいと気づいたんだ。まずは彼らに僕を知ってもらう事が映画化への過程だった。でも僕がやりたいことを彼らが理解してくれたら、とても協力してくれたよ。ボールドウィンが伝えた多くのことは真実と確かなことで、彼が住む黒人の世界を正確に描写していた。でもこの小説が書かれた後も現実には何も変わっていない。50年後も彼が描いてきた問題が残っていたら悲しいことだね。だからこの問題を再び、世の中に訴えかける時が来たんだと思うよ。」と言い、「主人公2人はこの物語の核なので、エネルギッシュな若い俳優をかなり広範囲に探した。映画でもそれを表現すべきだと思ったしね。キキとステファンは若手で、特にキキは完全な新人だ。彼らが演技にもたらすエネルギーは新鮮で、彼らの愛が重要であることがうまく伝わっていると思うよ。この映画を観てくれた皆さんには愛と希望を感じ、楽観的でいてほしいと願う。登場人物たちが人生を導いてくれると望んでるし、愛や家族が苦難を乗り越える助けになる。世界中の多くの社会が、僕たちを結び付ける何かや結束する場所を求めているんだ。」と語っている。

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主演のキキ・レインは「最初はファニー役のオーディションを受ける友人の練習相手だった。でもティッシュの人物描写を見て、”私が受けなきゃ”と思ったわ。それでエージェントに初めて連絡したの。ロサンゼルスに移ったばかりで数週間後にオーディションを受けに行った。それで今、インタビューを受けてるわ(笑)。ティッシュはとにかく愛らしくて純真無垢なの。そこに引き寄せられた。当時の黒人社会が抱えていたひどい環境や貧困の中で、彼女は育ってきたの。周りの女の子のように頑なにはならなかったのね。彼女が純粋な心を持てたのは、家族や周囲の人たちに勇気づけられて育ったから。ステファンや監督との仕事は最高よ。セットで長い時間を過ごすのは今回が初めてだったから、彼らからたくさん教わったし助けられた。映画未経験の私にバカなミスをする空間も与えてくれたわ。辛抱強く私に接してくれたの。役者としての私の成長を望んでくれていたのよ。バリー監督はいつも”落ち着こう”と言ってくれて、それがとても自然だったわ。」と答えている。

 

作品としては、「ムーンライト」でアカデミー作品賞を受賞し、2024年にはディズニーの超実写版「ライオン・キング ムファサ」を手掛けたバリー・ジェンキンス監督による長編2作目。1970年代ニューヨークのハーレムに生きる若い2人の愛と苦難を描いた恋愛ドラマだ。黒人文学を代表する作家ジェームズ・ボールドウィンの小説「ビール・ストリートに口あらば」の映画化であり、第91回アカデミー賞ではレジーナ・キング助演女優賞を受賞している。あまりにまぶしい二人の愛と”人種差別”という闇のコントラストがこの作品のテーマになっており、観る者に差別の禍々しさを直接的に伝えてくる作品で、ティッシュとファニーの二人を演じたキキ・レインとステファン・ジェームスのキャスティングが完璧だ。「ムーンライト」や「ライオン・キング ムファサ」ほど話題にならなかった作品だが、バリー・ジェンキンスの強い意志が伝わる映画だと感じる。

 

 

監督:バリー・ジェンキンス
出演:キキ・レイン、ステファン・ジェームス、レジーナ・キング、コールマン・ドミンゴペドロ・パスカル
日本公開:2019年