映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は565本目。タイトルはジャック・リヴェット監督による、1992年日本公開作品「美しき諍い女」。特典映像としては、「ジャック・リヴェット監督インタビュー映像」「パスカル・ボニツェール&クリスティーヌ・ローレン(脚本担当)インタビュー映像」「オリジナル劇場予告編」「日本版劇場予告編」で計37分が収録されている。「監督インタビュー映像」では、ジャック・リヴェットが「この映画は他の映画の編集時であった、ヘタな冗談が製作のきっかけなんだ。『彼女たちの舞台』という作品で、ブノワ・レジャンが演じるトマという人物が、ロランス・コート演じる人物に”行方不明の絵画を探している”と話すシーンがあるんだが、脚本のパスカル・ボニツェールにはその絵のイメージとして『美しき諍い女』というテーマを伝えたんだ。編集をしているとき昼食を共にした友人が、”次回作は?”と聞くから”知られざる傑作だ”と冗談で答えたんだが、それが出発点となり、画家とモデルの物語である『美しき諍い女』の構想が一気に膨らんだんだよ。ヘタな冗談を言ったから、あとに引けなくなったんだ。」と言い、「映画監督のクレール・ドニに映画の構想を話してどう思うか聞いてみたら、3分で語った物語に興奮して、彼女は”作るべきよ”と言った。あとの問題は”主人公の画家を誰が演じるか?”だったが、彼女は”演じられるのはミシェル・ピッコリ1人だけだ”と言うんだ。こうしてわずか30秒で、この映画の骨子が決まったんだよ。」と語っている。
作品としては、「パリはわれらのもの」「パリでかくれんぼ」のジャック・リベット監督によるヒューマンドラマ。1991年のカンヌ国際映画祭では「審査員特別グランプリ」を受賞した。上映時間237分という長尺な作品で、日本公開にあたってはモデルを演じるエマニュエル・ベアールの“ヘア論争”が巻き起こった問題作だ。老画家の屋敷を若き画家と恋人が訪れたことをきっかけに、美麗な恋人をモデルにした「美しい諍い女」の制作を老画家が再開するというストーリーで、嫉妬と人間関係、そして”芸術”を描いた作品だ。エマニュエル・ベアールは上映時間のほとんどが全裸という体当たり演技だし、対する「ロシュフォールの恋人たち」「昼顔」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」など、フランスを代表する俳優のミシェル・ピッコリも素晴らしい演技を見せている。長い上演時間も含めてややハードルは高いかもしれないが、観る価値のある作品だろう。
監督:ジャック・リヴェット
出演:ミシェル・ピッコリ、エマニュエル・ベアール、ジェーン・バーキン、マリアンヌ・ドニクール
日本公開:1992年