映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は568本目。タイトルはジョセフ・L・マンキーウィッツ監督による、1973年日本公開作品「探偵スルース」。特典映像は「アンソニー・シェイファー<原作者>インタビュー」「劇場予告編」「TVスポット(1分)」で、計26分が収録されている。「アンソニー・シェイファー<原作者>インタビュー」では、「『スルース』は30年間、毎日世界で上映されている演劇なんだ。タイムズ誌の寄稿者は”過去最高のスリラーだ”と書いたし、我ながら最高の出来だと思う。これは勝利に執着する男の話なんだ。病的なほど頭脳プレーに夢中で自分の優秀さをひけらかし、巧妙な仕掛けを考える人物の特徴を思いついたから、3~4週間ひたすら書き続けて第一幕を書き上げたんだ。ただ読み返してみると、史上最高につまらない戯曲になった。だから推敲したら驚いたことに、最初は多数のキャラクターが登場していたが、2人芝居になったんだ。そこから更を書き続けたら、なんと登場人物は1人になった。その先をどうするか悩んだが、いい方法を考え出したんだ。ネタは明かさないけどね。」と言い、「『スルース』の開幕は1970年のことで、ブライトンのロイヤル劇場だった。大喝采を浴びたのは嬉しかったね。だから映画化には反対だった。苦心してブロードウェイで1年ほど上映していたから、映画公開後での劇場の客入りに悪影響だと思ったんだ。ただ幸いだったのは、『イヴの総て』でアカデミー賞を受賞したジョセフ・L・マンキーウィッツ監督が文学を理解していたことだ。マイケル・ケインはローレンス・オリヴィエとの共演を心底恐れていたよ。”負けるまい”と考えていたんだろうね、撮影初日に楽屋に座っていた彼の顔は青白かった。でもオリヴィエは”撮影を始めた頃はケインを見下していたが、彼は立派な共演者だと気づいた”と語っていた。二人とも素晴らしかったよ。」と語っている。
作品としては、アンソニー・シェーファーによる同名舞台の映画化であり、「三人の妻への手紙」「イヴの総て」でアカデミー監督賞を受賞したジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の遺作でもある。出演は「リチャード三世」「スパルタカス」などのローレンス・オリヴィエと、「遠すぎた橋」「ダークナイト トリロジー」などのマイケル・ケインによる二人芝居だ。ほとんどが屋敷の中だけで繰り広げられる物語だが、脚本にツイストがあり上映時間の139分、飽きることはないと思う。著名な探偵小説家とプレイボーイな美容師の二人が繰り広げる丁々発止なやり取りと騙し合いが肝の作品だが、脚本の巧さと役者二人の魅力が融合した、上質なミステリー作品に仕上がっている。
監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
出演:ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン
日本公開:1973年