映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.571:「コズモポリス スチールケース仕様」

映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は571本目。タイトルはデイヴィッド・クローネンバーグ監督による2013年日本公開作品「コズモポリス」。特典映像は「メイキング/インタビュー映像」「オリジナル予告編」で計152分が収録されている。「メイキング/インタビュー映像」では、監督/脚本のデイヴィッド・クローネンバーグが「本作の企画は降って湧いたような話だった。プロデューサーのパウロ・ブランコの名前は知らなかったが、ある日、彼からオファーが来たんだよ。『コズモポリス』の原作は知らなかったが、読んで2日後にはパウロに電話して”ぜひやりたい”と告げたんだ。脚本は6日で書いたが、執筆にはいつも苦労する私には珍しいことだ。オリジナルはもちろんだが、脚色でも普通はもっとかかるからね。でも今回の原作は映画的要素に優れていて、会話部分も素晴らしかった。まず3日かけて会話を書き写したんだ、そのままでセリフになると思ってね。そして次の3日間でそれらのセリフの隙間を埋めたよ。それで最終的な脚本の完成さ。」と言い、「原作の舞台はニューヨークだが、この物語が持つ普遍性は類を見ないものだ。書かれたのは2000年代初期だが、今も圧倒的な鮮度を保っている。経済危機が世界に及ぼす影響やウォール街の株式大暴落など、その多くはこの本の中で予言されていたしね。これは地理的な枠を超えた、金融の世界全般を描く物語なんだ。会話の中にはニューヨークの名は出てこないし、”ウォール街”という単語は出てくるがこれは金融世界を表す総称で、まるで神話に出てくる象徴的な街なんだ。だから他の街に置き換えても問題はないよ。屁理屈をこねているようだが、この決断は正しかったね。我々は実際トロントの街で撮影したし、場所の正確さにはこだわっていなかったから。」と語っている。

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また「ロバート・パティンソンの名が浮上したのは、25歳前後の俳優を探していたからだ。選考では本人の意志やギャラ、スケジュールも問題になるし、製作費も回収しなくてはならない。本作の予算は2,000万ドルでインディーズ映画とは規模が違うから、無名の俳優は使えなかったしね。これらを考えると候補は数名に絞られたよ。私はロバートのあまり知られていない出演作もチェックして、若手俳優としていい役を選んでいると思ったんだ。彼は何かをもたらしてくれると感じたし、本人も気づいていないであろう素晴らしい魅力があった。ただ『トワイライト』で有名になりすぎていたし、あれは特殊効果が多すぎてすでに熱烈なファンがいるので、俳優に努力を要求する作品とは言えなかった。でもカリスマ性の面でロバートの真価は十分に伝わってきたよ。」と答えている。

 

作品としては、「ザ・フライ」「裸のランチ」「クラッシュ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」などのデイヴィッド・クローネンバーグ監督が手掛けたサスペンス。原作はアメリカの作家ドン・デリーロが2003年に発表した同名小説であり、第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されている。出演は「トワイライト」シリーズでブレイクした直後のロバート・パティンソンや、「ポンヌフの恋人」「イングリッシュ・ペイシェント」のジュリエット・ビノシュ、「アンチヴァイラル」「複製された男」のサラ・ガドン、「潜水服は蝶の夢を見る」「007 慰めの報酬」のマチュー・アマルリック、「サイドウェイ」「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」のポール・ジアマッティなど。ストーリーとしては、巨万の富を持つ青年投資家エリック・パッカーが”床屋に行くため”に、豪華な大型リムジンの中で金や愛についての哲学的な話を交わしながら移動するという、完全に”アンチハリウッド”な作風になっている。デイヴィッド・クローネンバーグ作品の中でも、特にアート色の強い一本だろう。

 

 

監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
出演:ロバート・パティンソンジュリエット・ビノシュサラ・ガドンサマンサ・モートンポール・ジアマッティ
日本公開:2013年