映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は576本目。タイトルはアナス・トマス・イェンセン監督による、2022年日本公開作品「ライダーズ・オブ・ジャスティス」。特典映像は「アナス・トマス・イェンセン&マッツ・ミケルセン インタビュー」「予告編(日本版予告/日本版特報/海外版予告)」で、計15分が収録されている。「アナス・トマス・イェンセン&マッツ・ミケルセン インタビュー」では、マッツ・ミケルセンが「本作の主人公は軍人でおそらく30年ほどのキャリアを持っていて、妻が亡くなった後も軍人らしく強い男として状況に対処している。他の人が死を悲しめるようにね。でも娘にとっても自分にとっても、それは良い方法じゃないんだ。ところが妻の死は事故じゃなかったと言われ、彼は軍人の能力を発揮して、何かを殴ったりすることで答えを得ようとする。運命や神のせいじゃなく、他に責任を負うべき人がいると思い込むんだ。その状況には現実的な理由があって、彼の心はひび割れ、穴が大きくなることで最終的には壊れてしまう。脚本の終わりのほうに彼が崩れ落ちて助けを求めるバスルームの場面があるが、あのシーンがなかったらアプローチを変えて”彼の弱さ”を小出しにする必要があった。でもあの場面があったから前半はタフな男に徹する事ができたんだ。前半から弱さを出してしまうのは、あの役に合ってないからね。」と語っている。
またアナス・トマス・イェンセン監督は「物語の核になるのは、鬱状態に苦しむ男で前に進む方法を探しているんだ。彼は神を否定しているし、感情やユーモアも否定している。普通なら受け入れることを拒否するのは彼が鬱状態だからだ。唯一の手段が暴力で、彼が知ってるのはそれだけだから、長い間ずっとそのやり方を選んできた。だから彼が”他の道”を進むべきだと気づいているかどうかは、マッツとも話し合ったよ。この作品はダークコメディだと言われるが、私にとってこの物語はメロドラマ風に描くこともできた。ユーモア要素を無くしても良かったが、そうすると観るのが辛い作品になってしまうんだ。しかもそれを1年かけて作るのもキツいしね。作中で起こることは本当に悲しくて恐ろしいから、登場人物たちを掘り下げてコメディ要素を抜いて描くと、”アート映画”になってしまうんだよ。ユーモアはつらい時に見方を変えてくれるから、物語でも人生でもそれが助けになるんだよ。」と答えている。
作品としては、「悪党に粛清を」「ダークタワー」「愛を耕すひと」などで脚本を書いたアナス・トマス・イェンセンが監督/脚本を担当した、デンマーク産のブラックコメディ・ドラマ。出演は「アナザーラウンド」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」などのマッツ・ミケルセンや、「天使と悪魔」「キングダム エクソダス〈脱出〉」のニコライ・リー・カースなど。妻と娘が巻き込まれた列車事故に、マフィア絡みの陰謀が絡んでいたのではないかと疑う軍隊あがりの男と、その疑念を植え付けた負け犬の数学者たちが織り成すストーリーで、彼らが犯罪集団「ライダーズ・オブ・ジャスティス」の壊滅を目指す姿を描いていく。予想できない展開が用意されている、あまりハリウッドでは作られないタイプの作品だと思うが、脇役キャラクターの個性も活きていて飽きさせない。見逃すには勿体ないデンマーク映画だと思う。
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・コース、アンドレア・ハイク・ガデベルグ、ラース・ブリグマン、ニコラス・ブロ
日本公開:2022年