映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.577:「フォーリング・ダウン」

映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は577本目。タイトルはジョエル・シューマカー監督による、1993年日本公開作品「フォーリング・ダウン」。特典映像は「マイケル・ダグラス:作品と”D-フェンス”を語る」「オリジナル劇場予告編」で計13分が収録されている。マイケル・ダグラス:作品と”D-フェンス”を語る」では、マイケル・ダグラスが「1991年にプロデューサーから脚本をもらったんだ。あの時代を反映した考え方が、ありのままに描かれていた。長い間、製作許可が下りなかったと後で知ったよ。大手の映画会社なら敬遠してしまうほど、この作品は議論を呼びそうな内容だったからね。インディーズならありえるけど、今の大手スタジオなら手を出さないだろう。だが私は映画化すべきだと思ったんだ。描かれているのは、冷戦時代の末期だ。当時は多くの軍需工場がロサンゼルスにあったが、冷戦が終わるとすべての労働者が解雇されたんだ。本作で描かれるのは、人生が壊れ始める愛国心の強い一人のアメリカ人だ。彼は国を守る軍需産業に人生のすべてを捧げてきたが、仕事と家族を失った事で、生きる支えをなくし崩壊への道を辿り始める。愛していた国に裏切られ、疎外されていくんだ。彼の発言は偏見もあるが、当時の人々の気持ちを代弁する要素も多々あった。”率直に表現された怒り”、それは多くの人がひそかに抱く敵意や恨みでもあったんだ。」と言い、「映画会社が製作を許可しなかったのは当然で、観客が主人公に賛同するとは思えないからだ。暴力的ゆえ妻に離婚された差別主義者に共感する人はいない。でもリスクはあったが、観客は彼を嫌っても”理解”はすると思った。暴力行為の理由と自分がいつかキレる可能性があることをね。」と語っている。

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そして「彼はあてのない旅に出るんだ。一匹狼のカウボーイのように、街を歩いては事を進めていく。まるで西部劇みたいだ。ロサンゼルスは多くの映画の舞台になったが、多くの場合、その文化については触れられていない。今回は異文化が混在するあまり知られていない地域に光を当てたよ。特に韓国人の店のシーンはユーモアが効いている。だが差別的で挑発的とも受け取れるね。映画が公開された時、韓国人の食料品組合からこのシーンについて激しい抗議を受けたが、映画は雑貨店に入ったときに誰もが感じる、法外な”値段”に対する怒りを代弁したんだよ。彼は壊れた家族を取り戻そうとしたが、自分を取り巻く世界が変わってしまったんだ。それは最後に出した銃が、水鉄砲であることから分かる。彼は死ぬ気だったんだ。ラストで罪を悔いても単なる責任逃れに過ぎないから、彼には死ぬしか道が残されていないんだよ。この映画は予想以上に共感を得られたと思う。でも当時の世相を考えれば、当然だと思うよ。時代を映した映画になったんだ。」と答えている。

 

作品としては、「評決のとき」「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」「8mm」などのジョエル・シュマッカーが監督したスリラー映画。「第46回カンヌ国際映画祭」でコンペティション部門に出展されている。出演は「ブラック・レイン」「氷の微笑」「ディスクロージャー」のマイケル・ダグラス、「ネットワーク」「地獄の黙示録」のロバート・デュヴァル、「ハンナとその姉妹」「ブラック・スワン」のバーバラ・ハーシーなど。主人公”D=フェンス”が冒頭の道路渋滞からキレまくり、銃をぶっ放しながら元妻と娘の元を目指すという内容で、アメリカの格差社会を描きながら、社会に見放された男の悲哀と怒りを描いた作品だろう。アクションスリラーでありながらも社会的なメッセージを盛り込んだ作品で、今観ても古びていない。

 

 

監督:ジョエル・シューマカー
出演:マイケル・ダグラスロバート・デュバルバーバラ・ハーシー、レイチェル・ティコティン、ロイス・スミス
日本公開:1993年