映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.583:「たぶん悪魔が」

映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は583本目。タイトルはロベール・ブレッソン監督による、製作年1977年/日本公開2022年公開の「たぶん悪魔が」。特典映像は「関係者インタビュー」で計52分が収録されている他、封入特典として映画研究者/東京都立大学准教授の角井誠氏による、作品解説文が記載されたリーフレットが同梱されている。「関係者インタビュー」では助監督のエリック・ドル―が「タイトルの由来は2つある。1つは宗教的な意味で、すべての悪は悪魔の所業というキリスト教の考え方だ。神を信じる者は悪魔の存在も信じている。もう1つは現代人をからかってこう言うんだ。”悪いのは人間じゃなくて、たぶん悪魔だね”と、人間の悪事を免除する。つまり”たぶん悪魔か?”か”きっと悪魔が”だ。まさにロベール・ブレッソンを表す言葉で、2つに矛盾はないんだよ。」と語っている。

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また映画評論家のガブリエラ・トルヒーヨは「映画史において最も美しいタイトルだと思う。広がりが感じられるタイトルね。バスのシーンが映画の核になるんだけど、ここでの日常のつまらない光景が断片化されるのよ。この場面ではバスが軽い事故を起こすんだけど、ここで明確にタイトルを言うのは見知らぬバスの乗客よ。主人公シャルルが乗り合わせているバスの中で、乗客たちが話し始めるけど、彼らが理解し合ってるのか?は分からない。みんなが「この大惨事の裏に誰がいるのか?」「絶望の裏にいて糸を引いてるのは誰か?」など世界について意見を言うと、そこで誰かが”たぶん悪魔だ”という言うのよ。これはブレッソンの最後から2番目の映画で、1900年代生まれの彼は円熟期にあった。ドストエフスキーの影響はありながら、その小説を翻案して映画化したとは感じられない。この映画を知るためのポイントは2つで、1つはブレッソンが10本以上監督した成熟した映画作家であること、もう一方は批評家を戸惑わせた現代世界に関する、彼の問題意識ね。」と答えている。

 

作品としては、第27回ベルリン国際映画祭で「銀熊賞(審査員特別賞)」を受賞した、ロベール・ブレッソン監督によるヒューマンドラマ。本国公開時は日本未公開作品だったが、2022年に4Kデジタルリマスターにより劇場初公開になっている。主人公はシャルルという美形の若者だが、映画の冒頭で、シャルルが死んだことが示唆される新聞記事がアップで写されるので、このシャルルが死ぬまでの過程を描いた作品であることが分かる。シャルルは政治集会や教会の討論会に出席しても世界の問題が解決されないことを悟り、シャルルに好意を寄せる二人の女性を抱いても生への希望が持てない男として描かれる。ラストの救いのない展開も含めてドライでシニカルな視点で貫かれた、厭世観に満ちた作品だろう。

 

 

監督:ロベール・ブレッソン
出演:アントワーヌ・モニエ、ティナ・イリサリ、アンリ・ド・モーブラン、レティシア・カルカノ
日本公開(製作年):1977年