映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.600:「キリング・フィールド/HDニューマスター版」

映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は600本目。タイトルはローランド・ジョフィ監督による、1985年日本公開「キリング・フィールド」。特典映像は「ドキュメンタリー・オブ・“キリング・フィールド"」「デヴィッド・パットナム インタビュー」「オリジナル劇場予告編」で、計106分が収録されている。「デヴィッド・パットナム インタビュー」では、プロデューサーのデヴィッド・パットナムが「映画製作は以前に作った作品が物を言う世界だ。『ミッドナイト・エクスプレス』のおかげで私は大いなる自信がついた。テンポが速く、想像力あふれた映画が作れたからね。特にオリヴァー・ストーンの脚本は素晴らしかった。でも倫理性にかなり問題があったんだ。世界中で映画を弁護してヘトヘトになったよ。その後、『炎のランナー』でますます自信がついた。だから『キリング・フィールド』の頃の私は、プロデューサーとして絶頂期にあったんだ。スタジオとの問題もなく、資金も1440万ドルと映画を作るのには十分だった。『キリング・フィールド』の製作面での成功は資金の9割以上が撮影に使われ、宣伝費がわずかだったことだろう。ただ製作は多くの闘いに勝たなければならなかった。主演のサム・ウォーターストンの起用にも苦労したよ。彼は人気俳優と見なされていなかったからね。ハイン・S・ニョールの起用を納得させる方が、まだ簡単だった。私たちはエネルギーと自信にあふれて、作りたい映画を作ったんだ。監督の決定には1年以上かけて、あらゆる監督たちと話をしたが、ローランド・ジョフィに決めたのは、この映画に対する彼の情熱を評価したからだ。」と語っている。

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また「タイム誌をめくっていたら、カンボジアで記者が通訳と再会した記事が載っていた。初めて読む話だったが、映画の最後でも使った写真が載っていたから、ニューヨーク・タイムズに頼んで資料を送ってもらった。そして映画化権を獲得したんだよ。映画には実際にはなかったシーンもあるが、大事なシーンで映画化にはどうしても必要だった。ピューリッツァー授賞式の時にトイレでシドニーロッコフが口論するシーンだが、本当はピューリッツァーには授賞式がないんだ。あの口論はフィクションだが、シドニーが非難されていたのは確かだ。そして非常に重要なフィクションシーンなんだよ。この映画は私の最高傑作だが、終わった時には精も根も尽き果てていた。映画のタイトルは非常に難しかったね。アカデミー賞会員の快適な暮らしをしている55歳くらいの人たちは、「キリング・フィールド」という題名の映画は観ないんだ。すでに「ディア・ハンター」があったし、アメリカ人はもう十分に謝ったと思ったのかもしれない。内容が政治的だったからではなく、会員が映画を観てくれなかったのがアカデミー賞を逃した理由かもね。」と答えている。

 

作品としては、革命派勢力クメール・ルージュと政府との闘いによって、戦火に晒された70年代カンボジアを舞台に、アメリカ人ジャーナリストとカンボジア人助手との友情を描く。またクメール・ルージュによる理不尽な暴力や、戦場の様子を凄惨に描いた戦争ヒューマンドラマだ。監督は「シティ・オブ・ジョイ」のローランド・ジョフェで、85年度アカデミー賞では「撮影賞」「編集賞」「助演男優賞」を受賞し、第42回ゴールデングローブ賞でもハイン・S・ニョールが「最優秀助演男優賞」を受賞した。出演は「天国の門」「ウディ・アレンの重罪と軽罪」「女神の見えざる手」のサム・ウォーターストン、「天と地」のハイン・S・ニョール、「ザ・シークレット・サービス」「コン・エアー」のジョン・マルコヴィッチ、「眺めのいい部屋」のジュリアン・サンズなど。実話をベースにしたドキュメンタリータッチの傑作であり、前半はカンボジア国内における戦場からの脱出と、後半はカンボジア人記者ディス・プランの国外逃亡劇パートの2部構成になっている。約40年前の作品ではあるが、当時のカンボジア情勢や歴史を知るきっかけとして、今だ観る価値のある一本だと思う。

 

 

監督:ローランド・ジョフィ
出演:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチジュリアン・サンズ
日本公開:1985年