映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.605:「血を吸うカメラ」

映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は605本目。タイトルはマイケル・パウエル監督による、1961年日本公開「血を吸うカメラ」。特典映像は「オリジナル予告編」で、特典としては16pのブックレットが封入されている。「赤い靴」「ホフマン物語」などのイギリス映画作家であるマイケル・パウエル監督によるサイコスリラーであり、公開時より現在の方が評価が高まっている傑作だろう。本作のイギリス公開は1960年で、同年にアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」が公開されていることから比較されることが多い2作品だが、公開当時の評価は真っ二つに分かれたらしい。「サイコ」が映画の構造として完成されておりストーリーの語り口が巧妙だったのに対して、「血を吸うカメラ」は殺人者の視点を重視しており、当時の世相からは受け入れられ難い作品だったようだ。さらに性的、暴力的な内容であることからメディアや評論家からも酷評を浴び、マイケル・パウエル映画作家としてのキャリアは完全に失墜したといういわくつきの作品だ。

f:id:teraniht:20251120141516j:image
f:id:teraniht:20251120141513j:image

内容としては、映画撮影所のカメラマンを務める一方、ヌード写真の撮影を副業とする主人公マーク・ルイスは、殺人者としてその死に際の女性の顔を撮影して見返すことで性的な興奮を得るという嗜好の持ち主で、その原因は幼いころに”恐怖”の研究者である父親から受けたトラウマが原因だった。だがマークの部屋の下に住むヘレンと出会ったことにより、彼らは恋に落ちるがマークは自分の嗜好と彼女の間で葛藤していく、というストーリーだ。中盤以降は殺人鬼であるはずの主人公マークの葛藤を、観客が一緒に体感するような作りになっており、ここが同じサイコサスペンスでありながらヒッチコックの「サイコ」とは一線を画す理由なのだろう。直接的な描写はほぼ無いものの、かなり倒錯した性癖と殺人を描いており、今観ても古さを感じない。盲目であるヘレンの母親などのキャラクターも個性的で、面白い一作だと思う。

 

 

監督:マイケル・パウエル
出演:アンナ・マッセイ、カール・ベーム、モイラ・シアラー、エズモンド・ナイト、マキシン・オードリー
日本公開:1961年