今回は特別企画!

今回は特別企画!ハードな音楽マニアでバンドの先輩S氏に、「2025年に劇場で観た映画ランキングベスト10」を聞いたのでお届けしたい。映画に対するスタンスも観るジャンルも全く違うので、「映画の多様性」「映画に求める価値観」について改めて考えさせられる良い機会となった。
てらどん(以下T):今日はよろしくお願いします。
S:こちらこそ。
T:普段はどういう映画を観るんですか?
S:7割方ドキュメンタリー映画です。年々、劇映画を受け付けない体質になりつつある。どうしても役者の演技に対して「演技だよね」って思っちゃう。
T:身も蓋もない(笑) わかる気もしますけど。
S:ドキュメンタリーは地味だし内容もヘビーなものもあって一般的とは言い難いけど、事実を切り取って突き付ける「強さ」と、なにより「学び」になる点が捨てがたい。
T:なるほど。同じ映画ファンでも映画に対するスタンスが全然違う(笑)それでは10位から紹介をお願いします。
10位 「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」
T:いきなり話が違うじゃないすか(笑)
S:いやいや、これは名作。子供に大人気のお菓子のプロモーション映画と思いきや、しっかりと練られた脚本をはじめ、映画作品としてのクオリティが保たれている。
T:先入観を捨てて観よ、と。
9位 「ANORA アノーラ」
T:アカデミー賞受賞作が9位にランクインしましたね。
S:ずばり「バッドエンド」が素晴らしい。観る者の淡い期待を吹き飛ばすラストの寂寥感が堪らない!
T:変態ですね。
S:「バッドエンド」原理主義者としては、本作をコメディ映画と評する向きは理解しがたい。
T:まあ、コメディ的なシーンもありますからね。
8位 「小学校~それは小さな社会~」
T:山崎エマ監督のドキュメンタリー作品が8位に。
S:とても多面的な映画でした。日本の子供たちの素直さ、行儀の良さが丁寧に描かれると同時に、教育現場における管理体制がいかに徹底されてきたか、が浮き彫りになる。同じものが角度の違いによって全く違ったものに見えてくる。
T:育った世代や地域が違うと、この映画の評価も変わりそうですね。
7位 「それでも私は Though I'm His Daughter」
T:オウム真理教教祖の娘に密着取材して作ったドキュメンタリー作品です。
S:12歳の時に起きた「サリン事件」以来史上最凶悪犯の娘として生きざるをえない姿を映し出す。私は自分が25歳の時に起きたこの事件を完全に「被害者サイド」で捉えてきたけど、果たしてそれは正しい事だったのか?過去の自分と向き合い、問い正す作品でした。
6位 「黒川の女たち」
T:仰っていた通り、重厚なドキュメンタリー作品が続きます。岐阜県の黒川村から満州に渡った開拓団にまつわる作品との事ですが。
S:戦争は二度としてはならないという思いを新たにする事は勿論なんだけど、何といってもほとんどこれまで知られて来なかった真実を、約80年を経て暴いたという事。映画って凄い「力」があるんだな、と改めて思いました。
5位 「ENO」
T:ブライアン・イーノのドキュメンタリーですね!情報だけは知ってましたが、僕は未見でした。
S:映画好きは必見の画期的な作品です。なにしろ会場毎、上映毎に内容が全部違う。
T:なんですと!笑
S:推測だけど、ショートフィルムを沢山撮っておいて、ある程度の法則性を持たせつつランダムに再生するというシステムなんじゃないかな。
T:それは知らなかった。イーノはいつも面白い事考えるなぁ。
4位 「私たちが光と想うすべて」
T:24年カンヌ映画祭グランプリ受賞のインド映画です。そして僕も観た作品がようやく登場しました。
S:インド映画に詳しい訳じゃないから、本作が特別なのかそうでもないのかわからないんだけど、劇映画でありながら身分とか宗教とか、インドに暮らす人々の悩みみたいなものを正面から捉えていて、鋭い社会性を持っている点が素晴らしいと思いました。
3位 「どうすればよかったか?」
T:僕も観た作品、これで3作目です。
S:身内が心を病む、という特異な状況に陥った時に人は何を考え、どう行動するか。それを捉え切った渾身の作品。是非自分の身内に起きた事、と置き換えて観て、考えを巡らせてみて欲しいと思います。
2位 「手に魂を込め、歩いてみれば」
T:パレスチナの女性ジャーナリストを追ったドキュメンタリーです。
S:残念ながら本作の公開前に爆撃によって亡くなってしまうんですが、パレスチナってもう一方的にやられまくってて無茶苦茶な状況なのに、彼女は絶望的な状況でも絶対に希望や明るさを捨てない。彼女の生き様に心を打たれる作品でした。
1位 「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」
T:そして栄えある第一位は、こちら!この作品もパレスチナ関連の映画ですね。
S:パレスチナやウクライナで起きている戦争、これは全く他人事ではない。本作はパレスチナの若きジャーナリストがイスラエルの青年と協力して作り上げた。素晴らしい作品だし、”希望”を感じさせてくれたけど、二国間を巡る情勢が再び悪化している今こそこの映画を思い出したいですね。
T:時代背景的な事もあって、今回のランキングは戦争をテーマにした作品が多かったですね。
T:ドキュメンタリー中心の、僕が普段あんまり触れてない作品ばっかりだったから、Sさんのランキング面白かったです。また2026年もやりましょう(笑)本日はありがとうございました!
S:ありがとうございました!