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映画「グランド・イリュージョン3 ダイヤモンド・ミッション」ネタバレ考察&解説 脚本が酷い!盛り上がりに欠ける上に旧キャラクターへのリスペクトのない駄作!

映画「グランド・イリュージョン3 ダイヤモンド・ミッション」を観た。

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ルイ・レテリエ監督の2013年日本公開「グランド・イリュージョン」、ジョン・M・チュウ監督の2016年日本公開「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」に続く、10年ぶりの第3作目「グランド・イリュージョン3 ダイヤモンド・ミッション」は「ヴェノム」「ゾンビランド」のルーベン・フライシャー監督がメガホンをとり、華麗なイリュージョンで巨大な敵に立ち向かうマジシャン集団の活躍を描いた。出演はジェシー・アイゼンバーグ、ウッディ・ハレルソン、デイブ・フランコ、アイラ・フィッシャー、モーガン・フリーマンらの旧作メンバーに加えて、「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」「テレビの中に入りたい」のジャスティス・スミス、「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」のドミニク・セッサ、「バービー」のアリアナ・グリーンブラット、「パーフェクト・ケア」「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクらが参加している。今回もネタバレありで感想を書きたい。

 

監督:ルーベン・フライシャー
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、ウッディ・ハレルソン、ジャスティス・スミス、ドミニク・セッサ、ロザムンド・パイク
日本公開:2026年

 

あらすじ

イリュージョンを駆使して犯罪組織の不正な金を奪うスーパーイリュージョニスト集団「フォー・ホースメン」。10年ぶりに姿を現した彼らは、ダイヤモンドビジネスの傍ら武器商人や犯罪者の資金洗浄を行うヴァンダーバーグ社を新たな標的に定め、その一族に伝わる史上最高価値のハートのダイヤを盗むミッションに乗り出す。かつてないスケールの計画に新世代のマジシャンたちも加わり、世界を股にかけた強奪劇が幕を開ける。

 

 

感想&解説

ルイ・レテリエ監督の2013年日本公開「グランド・イリュージョン」、ジョン・M・チュウ監督の2016年日本公開「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」に続く、第3作目「ダイヤモンド・ミッション」が10年ぶりに公開となった。監督は「ヴェノム」「ゾンビランド」のルーベン・フライシャーであり、「ゾンビランド」シリーズに出演していたジェシー・アイゼンバーグやウッディ・ハレルソンとは旧知の仲だろう。「グランド・イリュージョン」シリーズは”フォー・ホースメン”と呼ばれるマジシャンたちが、犯罪で手にした富を持つ悪党からマジックで金を奪い取り、それをショーのように人々に見せることで喝采を浴びるシーンが必ずあり、それが映画を観ている観客のカタルシスに繋がる作品だったと思う。まるで映画のスクリーンで実際の手品を観ているような気分を疑似体験できるシリーズなのである。

そして本作では、「パーフェクト・ケア」「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクが、ダイヤモンドビジネスによって武器商人や犯罪者の資金洗浄に手を染めるヴァンダーバーグ社の後継者ヴェロニカという悪役を嬉々として演じている。そして彼女に立ち向かうことになるホースメンはお馴染みのジェシー・アイゼンバーグ演じるアトラス、ウッディ・ハレルソン演じるメリット、デイブ・フランコ演じるジャック、ルーラに加えて一作目オリジナルメンバーのヘンリーと、更にジャスティス・スミス演じるチャーリー、「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」の快演が印象的だったドミニク・セッサ演じるボスコ、ジューンといった新しいメンバーが追加され、大所帯の新生ホースメンによる活躍が描かれる。もちろんモーガン・フリーマン演じるサディアス・ブラッドリーも再登場するため、シリーズ最新作としては申し分ない豪華なキャスティングだろう。

 

ところが残念ながらこの最新作は、どうにも盛り上がりに欠ける上に脚本が酷い凡作になってしまっていると思う。ここからネタバレになるが、この映画ではいわゆる新旧キャストが入り乱れて活躍する、新世代の「グランド・イリュージョン」を期待していたのだが、本作ではあまりに旧作キャストが馬鹿に見えてしまう構成になっており、とても残念な作品になっている。冒頭、ニューヨークのステージでフォー・ホースメンの復活パフォーマンスが行われるが、実はこれはプロジェクターを利用したトリックで、チャーリーたち若き3人の仕業だったことが描かれる。そこに本物のアトラスが現れ、”アイ”からの指令によって大規模なプロジェクトを進めるために、彼らをスカウトするという流れになり、舞台はベルギーのアントワープに移る。ヴェロニカ率いる悪徳企業ヴァンダーバーグ社が保有している、”ハート”という巨大ダイヤを盗むことが彼らのミッションとなり、巧みなトリックと偽装工作によって見事にヴェロニカを欺き、旧ホースメンたちの助けもありながら無事にダイヤを手に入れるアトラス一行。そしてアイからのカードを組み合わせることによって、次はフランスのルシヨン城に向かうことになる。

 

 

まずここまでのダイヤ争奪戦に関しては、過去の「グランド・イリュージョン」の良かった点が凝縮されているような展開でとても楽しい。ダイヤそのものではなく、箱を入れ替えたというトリックやヴェロニカの持っていたダイヤが弾け飛び、アトラスの手の中からダイヤが出てくるという演出も、盗んだロジックが説明されるので納得感もあるし、そのプロの手際に感心もさせられる。ところがこの後、ルシヨン城に行ってからが、ストーリーの推進力が極端に落ちるのだ。サディアスと再会するが、ヴェロニカの手の中にある警察に追いつかれることでサディアスは銃で撃たれ、メリット、ジャック、ジューンは捕まってしまうが、老婆に変装したルーラが助けに入ったことで脱獄を試みる一行。だがジューンを助けるために再びメリットが捕まってしまい、今後はアブダビのF1レースカーのお披露目パーティで、メリットとダイヤを交換することになる。無事に交換したものの、ヴェロニカの策略にハマってケースの中に閉じ込められてしまう旧メンバーたち。それと平行して、過去の母親の自殺の原因となった父親の浮気相手である家政婦とその息子を殺したことを脅されていたヴェロニカは、ダイヤを持ってその取引先に向かうと、そこにいたのはなんとチャーリーだった。

 

このルシヨン城以降の展開はホースメンたちに明確な目的がないまま、考え無しに行動しているように見える。しかもガラスケースを脱出する件では、砂に水をかけるとガラスが割れるといい、都合よく設置してある排水管を壊したは良いがケースは割れずに水没していく一同。挙句にダイヤなら壊せるはずだと、小さな指輪で一生懸命にガラスを擦るヘンリーや、死に物狂いでガラスを蹴る旧メンバーたちに過去の優雅さはまったくない。そしてその後のチャーリーの独白によって、今回のすべての事柄はチャーリー、ボスコ、ジューンの3人が仕掛けたことであり、アイのカードを仕込んで旧ホースメンを集めたことから、ルシヨン城に仕掛けたヴェロニカの記事までチャーリーの策略だったことが分かる。舞台の上で拍手で迎えられる旧メンバーはみな笑顔で、チャーリーたちの活躍を労っているように見えるが、この展開はおかしいだろう。本来であれば激怒して、チャーリーに掴みかかるべきシーンだ。

 

まずアトラスたちは”アイ”からの指示だと思いこのミッションに参加していたが、それは偽りだった訳だし、まずチャーリーはアトラスたちを巻き込んで何がしたかったのだろうか。自分の母親を殺したことを世間に公表したいという復讐であれば、最初からダイヤはヴェロニカの元にあったのだから、それを持ってこいと言って彼女を誘いこみ、本編にあったように「自分は弟だ」と言い、彼女の自供を聞き出し隠し撮りなどしてから逮捕すれば良いはずで、そもそも最初からダイヤを盗む必要はないだろう。その後のルシヨン城でのヴァンダーバーグ社とヴェロニカの過去についての仕込みも要らないし、なによりダイヤを盗んでいなければサディアス・ブラッドリーが撃たれることもなかったのだ。ガラスケースに閉じ込められた時もたまたま脱出できたから良かったが、運が悪ければ旧メンバーは全員死んでいたはずだし、何よりアトラスたちはこの作戦において何も活躍していない。ただチャーリーたち新メンバーによって踊らされて、危険な目に遭い、サディアスを亡くしただけだ。旧シリーズが好きだったファンからすれば、この展開には納得いかないだろう。

 

種明かしの場面も、過去シリーズのように特に大きな仕掛けもなく地味な展開でガッカリだ。ラストはシリーズの重要人物であるマーク・ラファロ演じるディランも再登場し、義賊組織である”アイ”のもと、新旧メンバー一緒に活動していくことが示唆されて映画は終わるが、この展開はさすがに酷い。もちろん「グランド・イリュージョン」シリーズは手品をベースにしている作品なので、過去作にも”どうやって準備してるんだ?”というツッコミ所は満載だったし、それも愛せるポイントだったが、今作では一番重要なシナリオ上の展開が納得いかないので楽しめないのである。マジックシーンは実際にかなり練習して撮影されているらしく見応えがあったし、中盤まではワクワクしたのも事実だ。だが中盤以降でかなり失速してしまった本作は、原題の「Now You Don't」の「今はいなくなった」=「ほら、消えたでしょ」というタイトル通りに、シリーズの大事な要素を犠牲にしてしまった駄作だったと思う。

 

 

4.0点(10点満点)