映画「スター・ウォーズ マンダロリアン・アンド・グローグー」を観た。

「スター・ウォーズ」シリーズでは2019年公開「スカイウォーカーの夜明け」以来、約7年ぶりとなる劇場長編映画。2019年から始まったシリーズ初となる実写ドラマ作品「マンダロリアン」は、Disney+でシーズン3まで配信されているが、今回はドラマシリーズで描かれてきたマンダロリアンとグローグーの物語を映画版らしく壮大なスケールで描いている。ルーカスフィルムの最高クリエイティブ責任者であるデイブ・フィローニが製作総指揮、シリーズで監督/脚本を担当していたジョン・ファブローが本作でも監督を務めている。出演は「ファンタスティック4 ファースト・ステップ」「エディントンへようこそ」のペドロ・パスカル、「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」「アイアンクロー」のジェレミー・アレン・ホワイト、新キャラクターを演じているのは「エイリアン」シリーズのシガーニー・ウィーバーなど。今回もネタバレありで感想を書きたい。
監督:ジョン・ファブロー
出演:ペドロ・パスカル、シガーニー・ウィーバー、ジェレミー・アレン・ホワイト、ジョニー・コイン
日本公開:2026年
あらすじ
物語の舞台は、「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」後の銀河。帝国崩壊後も新共和国の統治は行き届かず、無法者や帝国軍残党がはびこる混沌とした時代が続いていた。そんな中、強大なフォースを秘めた孤児グローグーは、その力を狙う者たちに追われる存在となる。彼を守ることを決意した賞金稼ぎディン・ジャリンことマンダロリアンは、危険に満ちた銀河を旅しながら、次第に親子のような絆を育んでいく。
感想&解説
「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」以来、約7年ぶりとなるスター・ウォーズの劇場長編映画であり、2019年から始まったシリーズ初となる実写ドラマ作品「マンダロリアン」シリーズの映画化が遂に公開となった。「マンダロリアン」はDisney+で現在シーズン3まで配信されており、ストーリー的には同じくドラマシリーズの「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」の終盤エピソードともリンクしつつ、この劇場版に繋がっていく構成になっている。時系列的には「マンダロリアン」シリーズが「エピソード6/ジェダイの帰還」の5年後という設定であり、「エピソード7/フォースの覚醒」のカイロ・レン率いる帝国軍の残党”ファースト・オーダー”が出現する25年前の物語となっている。
一時こそジェダイであるルーク・スカイウォーカーの元で修行し、二人が離れていた時期もあったが、結論グローグーが自分でディン・ジャリンの元に帰ることを選択し、シーズン3のラストではディン・ジャリンとグローグーは宿敵モフ・ギデオンに勝利することで、マンダロリアンは故郷マンダロアに帰還する。そしてディン・ジャリンとグローグーは親子関係となり、グローグーが”ディン・グローグー”を名乗るという大団円で一旦はドラマシリーズが終わっている。よってこの映画版は物語として全く新しい展開になるので、監督や製作陣から「スター・ウォーズ初心者でも楽しめる」「ドラマシリーズの予習は不要」というコメントが出ている通り、本作は単体だけでも十分に楽しめる作品になっているのが特徴だろう。
今や無法者ではなく、新共和国のために帝国軍復活を目論む残党を制圧する任務についているディン・ジャリンとグローグーは、冒頭の雪山のシーンから大活躍する。大量のストームトルーパーたち相手に、ディン・ジャリンが各種の武器を駆使して戦う姿は文句なくカッコいいし、雪のシーンで現れるAT-ATは「エピソード5/帝国の逆襲」を思い出させる。その後、シガーニー・ウィーバー演じる新共和国軍のウォード大佐から、帝国の大物軍閥を捕らえるための情報提供と引き換えに、双子のハットツインズが探す”ロッタ・ハット”の救出に乗り出していく。ハットツインズは、「ジェダイの帰還」に登場したジャバ・ザ・ハットのいとこであり、ロッタ・ハットはジャバ・ザ・ハットの息子だ。ハットツインズはドラマ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」でも登場していたが、今はナル・ハッタで犯罪組織を率いていることが描かれる。
ここからネタバレになるが、あっけなく見つけたロッタは借金のために格闘場で戦っており、極悪犯罪者だったジャバの息子としてではなく生きられる今の生活に満足していると告げる。だが雇い主のジャヌ卿によってロッタが最終的に殺されることを知ったディン・ジャリンは、彼を助け出し、新共和国の追っている大物軍閥がジャヌ卿であることを知ったことで彼を確保する。ジャヌ卿をウォード大佐に渡したディン・ジャリンはロッタと別れ、船を改良するために小さな整備士であるアンゼランを呼ぶが、そこに賞金稼ぎのエンボが現れたことで、ディン・ジャリンはハットツインズのいるナル・ハッタへと連れ去られてしまう。賞金稼ぎのエンボはアニメ「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」に登場したキャラクターなので、今作が初実写化となるのも本作の大きな見どころだろう。
ここからグローグー&アンゼラン3人組とディン・ジャリンは別行動となり、グローグーはディンを救うためにナル・ハッタへと向かう。またハットツインズの罠によってディン・ジャリンは地下水に住むドラゴンスネークと戦うことになるが、そこで毒を受けてしまい、なんとか救出に来たグローグーたちを逃がしながらも、遂に倒れてしまうディン。ここからグローグーがディンを看病するグローグーファンにはたまらない悶絶パートとなる。すっかり成長したグローグーは水を集め食べ物を調達してくるのだが、ナル・ハッタは沼の惑星なので、猛烈に「帝国の逆襲」におけるヨーダを思い出させる演出になっていて(目を瞑って瞑想する場面もある)、グローグーの可愛らしさと相まって楽しいシーンになっている。またハットツインズの宮殿でいきなり床が抜けると大型クリーチャーがいるというシーンも、「ジェダイの帰還」オマージュだろう。
惑星の住人の助けを得て復活したディン・ジャリンは、「我らの道/This is the way.」の決めセリフと共に、グローグーと共に宮殿に囚われたロッタを助けるため、そして顔を見られたハットツインズを殺すために乗り捨てられていた船に乗り込み突撃する。ロッタとハットツインズ、そしてディン・ジャリンはエンボと戦い、ハットツインズをドラゴンスネークの餌にして勝利するディンたち。さらにアンゼランたちが新共和国軍を連れて帰ってくると、ウォード大佐率いるXウィング部隊がナル・ハッタに総攻撃を加えるのだが、この舞台に「マンダロリアン」でお馴染みの”カーソン・テヴァ”がいるのも嬉しい。そして新共和国の勝利で幕を閉じ、ロッタがそこに合流するのだが、ハット族としては初めての参戦となるため今後が楽しみなキャラクターだ。ラストはディンのひざにグローグーが乗り、ハイパースペースジャンプして映画はエンドクレジットとなる。
本当に本作は敷居の低い”劇場版作品”だったと思う。過去の「マンダロリアン」ドラマシリーズは見返す必要はないし、ディン・ジャリンとグローグーが何者なのか?だけを飲み込めるなら、もしかするとドラマ未見でも良いかもしれない。そのくらい過去作とはリンクせず、独立した作品になっていたのは、シークエル(エピソード7~9)で失墜したスター・ウォーズブランドを再び盛り上げ、新規ファンを取り込みたいというディズニーの意志なのだろう。ただ本作はキャラクターの魅力に対して、正直シナリオのブツ切り感が強く、ストーリーの推進力が弱いのは否めない。劇場版らしさがなくドラマ版の引き延ばしといった印象が強いのだ。2時間を通した山場が設定されておらず、全体的にカタルシスが薄いのは残念な点だったと思う。とはいえアクションシーンは満載だし、グローグーの可愛らしいサービスショットも多い。さらにジョン・ファブロー監督だけに抜かりはなく”イースターエッグ”も多いし、世界観の構築は素晴らしいので生粋のスター・ウォーズファンでも楽しい作品になっているだろう。次回作「スター・ウォーズ スターファイター」は2027年5月に全米公開らしいので、日本公開を楽しみに待ちたい。
6.5点(10点満点)