映画「スクリーム7」を観た。

『スクリーム』『スクリーム2』『スクリーム4 ネクスト・ジェネレーション』の脚本家として、シリーズのストーリーを生み出してきたケビン・ウィリアムソンが監督として参加した、サスペンスホラー『スクリーム』シリーズの第7作目。前作では登場しなかったシリーズの中心的キャラクターである、シドニー・プレスコットの娘が登場する展開となる。脚本は『スクリーム』シリーズの第5、6作も手がけたジェームズ・バンダービルトとガイ・ビューシック。出演はシリーズお馴染みのネーブ・キャンベル、コートニー・コックスらに加え、『ピッチ・パーフェクト』シリーズのアンナ・キャンプ、『テッド』『インフォーマント!』のジョエル・マクヘイル、『ラン・ハイド・ファイト』のイザベル・メイなど。今回もネタバレありで感想を書きたい。
監督:ケビン・ウィリアムソン
出演:ネーブ・キャンベル、コートニー・コックス、アンナ・キャンプ、ジョエル・マクヘイル、イザベル・メイ
日本公開:2026年
あらすじ
過去の惨劇を生き延びてきたシドニーは、ようやく手にした平穏な生活を送っていた。しかし、一本の電話をきっかけに再びゴーストフェイスによる事件が発生。今回の標的はシドニーの娘にも及び、彼女は再び恐怖と向き合うことになる。
感想&解説
1996年に第1作『スクリーム』が公開されて以降、30年をかけていよいよ7作目が公開となる本シリーズ。大きく3つのフェーズに分かれていて、まずは1996年から2000年までの短いスパンで公開され、10代だったシドニー・プレスコットの活躍を描くほぼ3部作の『スクリーム1~3』、それから11年後の2011年に公開され、作品内でも10年後のウッズボローに舞台を移した『スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション』、さらにそこから11年後の2022年に公開され、監督をウェス・クレイヴンからマット・ベティネリ=オルピン&タイラー・ジレットに変更し、主人公もネーブ・キャンベルからメリッサ・バレラに変更された『スクリーム(5)』と、更にその翌年に公開された「5」の直接的な続編『スクリーム6』という3つのフェーズだ。
『スクリーム3』が低評価だったためシリーズは休止状態になり、一旦『ネクスト・ジェネレーション』で始動するが、シリーズの監督だったウェス・クレイヴンが死去したこともあり再び沈黙することになった本シリーズ。だがブラムハウス・プロダクションズが再リブートをかけたことにより、5作目と6作目が全米で大ヒットしたことは記憶に新しい。特に『レディ・オア・ノット』や『アビゲイル』のマット・ベティネリ=オルピン&タイラー・ジレット監督と主演女優のメリッサ・バレラの功績は大きく、彼らは形骸化していたシリーズを完全に復活させた立役者だろう。若者たちがゴーストフェイスに狙われる展開を作りつつ、過去シリーズのキャラクターがそこに絡んでくるという面白さと、シリーズならではの”メタ構造”が更に強化された特異な作品になっていたと思う。
ところが、しばらくはこの体制で続編が作られるのかと思いきや、なんとメリッサ・バレラが政治的な発信によりフランチャイズから解雇され、その直後には共演者のジェナ・オルテガも降板したというニュースが飛び込み、また新しい局面を迎えることになった『スクリーム』シリーズ。そして遂に公開となったのがこの『スクリーム7』という訳だ。監督も1、2、4の脚本家だったケビン・ウィリアムソンがメガホンを取り、前作はギャラの問題で出演を見送ったネーブ・キャンベルが再登場するということで、原点回帰の意味合いが強いのだろう。5作目と6作目は日本では劇場未公開だったのに、なぜか本作は映画館で公開されるという事で早速鑑賞してきた。
劇中でも、今回のテーマは”原点回帰”と”ノスタルジー”というセリフがあったが、完全に1作目にリンクした作品になっている。「1」の脚本を手掛けていたケビン・ウィリアムソンが監督を手掛けていることと、ネーブ・キャンベル演じるシドニーの復帰作だけあって、ファンから人気の高い1作目への目配せに溢れている。まず冒頭シーンから1作目の印象的な舞台だった「スチュ・マーカーの家」が観光地になっており、そこに訪れたカップルがゴーストフェイスの餌食となる。1作目のキャラクターと殺され方を復習していく展開で、犯人がスチュとシドニーの恋人ビリーだったことを思い出させてくれる。そしてゴーストフェイスは家を焼き払い、本作は幕を開けるのだが、いかにもスクリームシリーズらしい演出の数々が冴えていて、シンプルにワクワクさせてくれるオープニングだったと思う。
そしてシドニーが登場し、彼女には「テイタム」という娘がいて反抗期であることが描かれる。この”テイタム”という名前も、1作目における主人公シドニーの親友で、保安官デューイの妹だった”テイタム・ライリー”から取られていることが語られ、さらに死んだはずのスチュが再び現れ、シドニーとテイタムの命を執拗に狙ってくるという展開となっていく。ちなみにシドニーの旦那はマーク・エヴァンスという警察署長だが、どうやら3作目に登場していたマーク・キンケイド刑事とは別人らしく、やや混乱させられる。ここからネタバレになるが、シドニー宅の天井裏に隠れていたゴーストフェイスを颯爽とひき殺しながらゲイル・ウェザーズが登場し、「5」「6」からもメイソン・グッディング演じるチャドと、ジャスミン・サボイ・ブラウン演じるミンディが合流する流れとなっていく。チャドとミンディがテイタムの友達を集め、スクリームお約束の”犯人は誰か?”を推理するメタシーンも健在だし、シドニーがNYに行かず雲隠れしてたと、6作目に登場しなかったことをイジられる場面などは苦笑いが出る。
テイタムの彼氏がAIでスチュの映像を制作していた件のミスリードなど、強烈にスクリームぽい展開だろう。とにかく中盤まではシリーズのお約束を守りつつ、AIなどの新しい要素を入れてミステリとしても先の読めない展開が続き、面白い作品になっていた。ところが終盤に向かって見事に失速していくのだ。何度殴られても撃たれてもすぐさま復活してくるゴーストフェイスも相変わらずだが、ひたすら続く追いかけっこも新鮮味がなく、ホラー演出もあまりに凡庸で飽きてくる。よって観客の興味は、”今回の犯人は誰か?”の一点に集中することになるが、本作最大の弱点はこの”犯人の正体”だろう。マスク取った瞬間、恐らくほとんどの観客の頭に「?」が浮かんだのではないだろうか。おそらくスクリームシリーズの脚本においての最難関は、”犯人の動機”をどうするか?だと思う。妙なマスクを被って人々を殺し続ける動機の設定は難しいだろうが、本作においては特に酷かったと感じる。
お隣に住むジェシカおばさんがシドニーに影響されて、DV夫を殺したくらいに神格化していた。だがシドニーが雲隠れしていた為、前回のニューヨークの事件には関与していなかった事に腹を立て、テイタムの前でシドニーを殺して彼女を新しいファイナルガールにしたかったという話だが、まったく意味が分からない。さらに精神科医が共犯である意味も分からないし、最初のカップルを含めた登場人物たちが大量に殺されたことも、彼女たちがサイコパスだったという以上の理由は感じられない。とにかく犯人キャラクターの掘り下げもほとんだない為、唐突感が半端なくオチとして弱すぎる。序盤の”ホラー・クイズトリビア”のタイトルは、『エルム街の悪夢』『壁の中に誰かがいる』『13日の金曜日』だったが、どれも80~90年代前半の作品だ。この『スクリーム』最新作のターゲットを如実に表していると思うが、さすがに1996年から30年続いたシリーズの構造も老朽化してきているのではないだろうか。原点回帰と言いつつ、ミステリとしても魅力的だった『1』には遠く及ばない作品になっていたと感じる。
5.5点(10点満点)