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映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス」ネタバレ感想&解説

スター・トレック イントゥ・ダークネス」を観た。

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シリーズ三作目「BEYOND」公開前に、前二作を予習の意味で続けて鑑賞。「スター・トレック」は1966年のテレビシリーズから続く、アメリカを代表するSF作品であり劇場公開作品も12作もある有名シリーズである。2009年にリブート作がJ.J.エイブラムス監督によって作られ、この作品で初めてスター・トレックを観たという方も多いだろう。ちなみに僕も完全なスター・トレック初心者の為、その前提での感想になる。

 

監督:J.J.エイブラムス

日本公開:2013年

 

感想&解説

まずは2009年公開の「スター・トレック」リブート版だが、映画前半はキャラクターの説明描写が中心で、「カーク船長」「ミスター・スポック」といったスター・トレックを観た事がない人でも、名前くらいは聞いた事があるキャラ達の幼年期の生い立ち、彼らの性格、考え方などをテンポ良く観せる。特にスポックは、人間とバルカン人とのハーフであるという設定だが、この作品のテーマと大きく関係していると思う。今作のテーマは出生地や人種などの異なるアイデンティティを持ったキャラクターがその垣根を越えた絆を築ければ、迫り来るいかなる脅威と戦えるという事だろう。人種のるつぼたる、極めてアメリカ的なテーマだと言える。

 

この「スター・トレック」という作品には、「エンタープライズ号」という宇宙船が登場するが、その乗組員は様々な人種や性別から成り立っている。アメリカ人だけでは無く、アジア人もいればロシア人もいる。白人もいれば黒人もいる。この宇宙船自体を「小さな地球」と考えれば分かりやすいかもしれない。リブート一作目は、その「小さな地球」の中で行なわれる、性格が真逆であるが故に軋轢を繰り返すが、最終的には結ばれるカーク船長とスポックの友情がストーリーの核である。またエンタープライズ号のクルーは家族のような存在で、その紹介も含めてこれから始まるシリーズの前振りとして、機能していると言って良いだろう。よって、一応設定されている悪役ロミュラン人は影が薄く、倒され方も含めて華が無い。

 

そして二作目「イントゥ・ダークネス」である。今作はキャラ紹介も終わった状態から映画が始められる為、序盤からフルスロットルだ。J.J.エイブラムがそもそも持っているサービス精神が、映画の持つ「大作感」と上手く融合しており、とにかく観ていて飽きない作りになっている。前作とは全てが桁違いの完成度なのだ。そして、何よりベネディクト・カンバーバッチ演じる悪役「カーン」の圧倒的な存在感がすごい。一作目の悪役とは対照的だ。映画全体を通して彼が出ているシーンは緊張感があり、シャレにならない強敵という雰囲気が良く出ている。そして、何よりルックスが格好良い。カンバーバッチのカーン役は非の打ち所がないキャスティングだろう。

 

またシリーズの主役であるカーク船長とスポックの成長も一作目と比べると随所に見られ、自己犠牲と友情の物語としてエモーショナルに観客に訴えかける。しかもストーリーと映像美が並列してしっかり映画のクオリティに貢献しており、いつものテーマ曲が流れるエンドクレジットを観る頃には、観客はスター・トレックの世界観に夢中になっている事だろう。特にいつも「転送」にまつわる演出は、ハラハラさせられる。スター・トレックならではのギミックだけに三作目でも、きっとお目見えすると思う。

 

という事で「スター・トレック イントゥ・ダークネス」は、J.J.エイブラムス監督作の中では、個人的に「スターウォーズ フォースの覚醒」の次に好きな作品となった。このクオリティを求められる「BEYOND」は、かなりのハードルだろう。交代する監督ジャスティン・リンワイルドスピードシリーズで有名だが、2016年10月21日公開になる三作目のクオリティはしっかりと見届けたいと思う。駄作じゃない事を祈るばかりだ。

採点:8.0(10点満点)