映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

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「バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

「バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋」を観た。

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監督:S.S.ラージャマウリ
出演:プラバース、ラーナー・ダッグバーティ、アヌシュカ・シェッティ
日本公開:2017年

 

インド国内興収歴代1位、しかも全世界的にも大ヒットしたアクション映画である。前後編の二部作で公開されており、後編の日本公開は2017年の12月末であった。今回は後編の余りの評価の高さから、慌てて前編をオンデマンドで観て、後編を劇場で鑑賞してきた次第。過去、インド映画と言えば「きっと、うまくいく」や「PK」といった名作を当ブログでも扱ってきたが、今作「バーフバリ」も素晴らしい出来の傑作であった。今回もネタバレ全開なので、ご注意を。

 

感想&解説

とにかく破天荒でパワフルな作品だ。ハリウッドの一線級作品に全く引けを取らないどころか、エンターテイメント性という意味では2017年に公開された作品の中でも、突出した面白さだと思う。歴史映画のスペクタクルを凝縮し、インド映画ならではの歌と踊りの要素を追加、更にファンタジー要素と痛快なアクション性をCGで加えて、じっくり煮詰めた様な映画で、ど直球な娯楽大作として誰もが楽しめる作品になっていると思う。

 

インド映画には全く詳しくないのだが、やはり年間で2,000本近くの作品が公開されるインド映画市場の中で、歴代最高の興行収益を叩き出したという作品の娯楽性は伊達ではない。ストーリーの骨格は「マハーバーラタ」という、インドの大叙事詩を基に組み立てられているそうだが、簡単に言えばこれは王位継承を巡り争う兄弟の話であり、「十戒」や「エクソダス」でお馴染みのお話である。そういう意味で本作のストーリーに、意外性は低いと言えるだろう。だが、特筆すべきはその構成と演出なのである。

 

まず映画は、ある赤ちゃんを連れた女性にフォーカスする。その女性はどうやら兵士に追われているらしく、結果その女性は赤ちゃんの命を守る為に犠牲となる。赤ちゃんは河を流れついて、ある村の村長夫人に拾われると、シヴドゥと名付けられそのまま成長し青年となる。シヴドゥは河を登った滝の上には何があるのかが知りたくてたまらない。母親には止められるが、運命に導かれるように滝を這い上がり、広大な世界を目にする。

 

そこで暴君バラーラデーヴァが支配するマヒシュマティ王国が存在する事を知り、さらにそれに対抗するレジスタンスの女戦士と恋に落ちる。そのレジスタンスの目的は、マヒシュマティ王国に囚われている王女の奪還で、シヴドゥは単身マヒシュマティ王国に乗り込むが、その国民はシヴドゥの顔を見るなり、「バーフバリ!」と歓喜の声を上げる。なんとシヴドゥは今は亡き、暴君バラーラデーヴァ国王の弟にあたる前王バーフバリに瓜二つだったのだ。バーフバリは常に国民の為を想い行動し、戦いでも勇敢だった為、国民から慕われていた。そう、シヴドゥはそのバーフバリの残した唯一の子供だったのだ。また囚われている王女とは、バーフバリの妻にあたるデーヴァセーナであった。

 

ここから舞台は過去に戻り、シヴドゥの父親であったバーフバリの物語になる。彼がどれほど優れた戦士であり、王であり、愛に富んだ人物だったかが語られる。そして、兄バラーラデーヴァの卑劣な策略によって、王の座を追われ、遂には暗殺された事が発覚するのだ。そして、冒頭のシーンで命からがら産まれたばかりのバーフバリの子を抱えて、バラーラデーヴァの追っ手から逃れていたのは、バーフバリの母親であり国母のシヴァガミだった事がわかる。そして時代は現代に戻り、父バーフバリの仇を討つべくシヴドゥは立ち上がり、暴君バラーラデーヴァに立ち向かっていくのである。

 

この流れを前後編に渡ってじっくり描くので、この後編のシヴドゥのパートに戻った頃には、完全に主人公に感情が入っており、ここからの展開がめちゃくちゃ燃えるのだ。しかも、各キャラクターがしっかり立っていて名セリフや見せ場も多し、アクションシーンが全編に渡って派手なのもいい。物理法則や重量を無視した、シヴドゥの戦いを観ていると血湧き肉躍る。戦闘シーンも、しっかり画面構成と演出がされており、ストーリーが停滞して退屈なシーンは無いと言って良いだろう。正直、日本公開版はインドで公開されたバージョンよりも30分短く、あきらかに唐突な場面転換があった為、ブルーレイの完全版を待ちたい位である。

 

1960年ウィリアム・ワイラー監督「ベン・ハー」、1995年メル・ギブソン監督「ブレイブハート」、2007年ザック・スナイダー監督「300」、2015年ジョージ・ミラー監督「マッドマックス 怒りのデス・ロード」とアメリカ映画が脈々と受け継いできた「燃えるアクション映画」の傑作が、遂にインドでも登場した訳である。後編の冒頭に「今までの流れ」をダイジェストで観せてくれる映像が付く。しかし、これは断言できるが、前編をしっかり観た上で後編を観ないとこの「バーフバリ」の面白さは伝わらない。前編に細かい伏線や演出が張られているからというのも理由だが、何よりバーフバリ親子の長い旅路を目の当たりにしてきたからこそ、ラストの戦いが何倍にも「燃える」からだ。インド映画と言って敬遠せず、ぜひとも前編「伝説誕生」を観た上で、後編「王の凱旋」を観るのがオススメである。カッタッパ最高。