映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

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「キャプテン・マーベル」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

キャプテン・マーベル」を観た。

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監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック

出演:ブリー・ラーソンジュード・ロウサミュエル・L・ジャクソン

日本公開:2019年


マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)シリーズの第21作目。これで4月にいよいよ公開となる「アベンジャーズ/エンドゲーム」の登場キャラが全て出揃った訳である。正直MCUやらDCコミックスが乱立していてアメコミ映画は食傷気味だが、今までMCU作品を追いかけてきた身としては観に行かざるを得ない。今作はMCU初の女性主人公キャラということで、何故か本国アメリカでは公開前から異常なバッシングを受けたらしい。出演は2015年「ルーム」のブリー・ラーソン他、「シャーロック・ホームズ」シリーズのジュード・ロウ、出演作はもはや説明不要のサミュエル・L・ジャクソンなど大変に豪華である。監督はアンナ・ボーデンとライアン・フレックで、ほぼ大作経験のない2人に白羽の矢が立ったのだが、特にアンナはこちらもマーベル初の女性監督という事で、かなりウーマンパワー全開の作品となっている。今回もネタバレ全開なので、ご注意を。

 

あらすじ

1995年、ロサンゼルスのビデオショップに空からひとりの女性が落ちてくる。彼女は驚異的な力を持っていたが、身に覚えのない記憶のフラッシュバックに悩まされていた。やがて、その記憶に隠された秘密を狙って正体不明の敵が姿を現わす。後にアベンジャーズ結成の立役者となるニック・フューリーも登場し、アベンジャーズ誕生のきっかけとなるヒーローの始まりが明らかにされる。

 

感想&解説

あまりアメコミには詳しくないのだが、どうやら「キャプテン・マーベル」とは、そもそも男性キャラが名乗っていたネーミングらしい。そして今作の主人公キャロル・ダンバースはその恋人で、キャプテン・マーベルと共に起こった事故をきっかけにスーパー・パワーを身につけたという設定のようだ。そこでキャロルは1970年代には「ミズ・マーベル」と名乗っていたが、死亡した彼氏の代わりに活躍し、2012年から彼女自身が「キャプテン・マーベル」と名乗るようになったという経緯のようである。「マーベル」のキャプテンなのだからさぞかし強いのだろうと思っていたが、これが予想を遥かに上回る強さで笑ってしまった。


このキャプテン・マーベルがとにかく無双状態で大暴れする作品なのだが、大きく作品は2パートに分かれる。前半は記憶喪失だがなぜかスーパーパワーを持っている主人公が、今後「アベンジャーズ」を結成することとなる若き日のニック・フューリーとコンビを組み、自らの記憶を探りながら冒険する前半~中盤の展開。そして真の敵が発覚し、能力を覚醒したこのキャプテン・マーベルさんが向かうところ敵なしで大立ち回りを行う終盤という構成なのだが、最初は味方だと思っていたジュード・ロウ率いるクリー星人が、実は敵でしたという展開はあまり過去のMCUシリーズにはないパターンで、シナリオもツイストがあり面白い。


また主人公は、劇中2回の進化を遂げるのだが、当初のキャロルは普通の人間で子供時代からスポーツや空軍の訓練に関して、男達から「女には無理だ」と言われ続けてきた過去が描かれる。その彼女が「コア」なるエネルギー源を浴びる事により、超人的なパワーを手に入れる最初の進化。そして終盤の絶体絶命の際に、前述の「女には無理だ」というシーンと重なって覚醒する2回目の進化である。その覚醒後、弾道ミサイルを弾き返すわ、ジュード・ロウなど一瞬で吹っ飛ばすわのカタルシスシーンの数々は、明らかにこれまでの女性たちが抑圧されてきた過去を「フィジカル」に、文字通り木っ端みじんにする、現代のアメリカの女性像を表現していると思う。それはキャプテン・マーベルの最後の戦いに赴く時の衣装が、「緑と黒」から「赤と青」にチェンジする事からも明確だ。ここにこの作品の強いメッセージと価値がある。


ニック・フューリーが「アベンジャーズ」を結成する流れや、例の眼帯はネコに引っかかれたのだとか、「アベンジャーズ・エピソード0」的なファンムービーとしても楽しめるだろうし、個人的にはスマッシング・パンプキンズの95年名盤「メロンコリーそして終りのない悲しみ」のポスターや、ナイン・インチ・ネイルズのフェイクTシャツ、ニルヴァーナ「Come As You Are」、ノーダウト「Just A Girl」、ガービッジ「Only Happy When It Rains」の楽曲など、90年代グランジロックへの目配せが微笑ましかった。またレンタルビデオ屋の「トゥルーライズ」の看板や、「ライトスタッフ」のビデオパッケージなどの映画小ネタも楽しい。


アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の最後は非常に陰惨な結末だったが、このキャプテン・マーベルが参加すれば、あのサノスも敵ではないだろう。それくらい彼女は、最初の天下一武道会スーパーサイヤ人が現れたくらいのインフレを感じさせる能力の持ち主である。2017年「ワンダーウーマン」から始まった圧倒的に正しくて強い女性ヒーローに、MCUからも真打ちが登場したと言って良いだろう。逆に「アベンジャーズ」内のパワーバランスが心配になるが、だからこそこのタイミングでの映画化なのだろうと考えると、ディズニーの企業戦略には色んな意味で背筋が凍る思いだ。「20世紀フォックス」をディズニーが買収したらしいが、X-MENデッドプールもこれでディズニー傘下になった訳で、キャプテン・マーベルの圧倒的な強さは、まるで今のディズニーを観ているようだ。だがアメコミ映画もあまりに飽和状態だろう。次の「アベンジャーズ/エンドゲーム」を持って、そろそろ次の局面を迎えるタイミングの様な気がする。