映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.313:「CLIMAX クライマックス」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は313本目。タイトルはギャスパー・ノエ監督による、2019年日本公開作品「CLIMAX クライマックス」。特典映像としては「short film “SHOOT"」「Music Video"Sangria”」「スペシャル対談:ギャスパー・ノエ×塚本晋也監督」「劇場版予告編」で、計35分が収録されている。スペシャル対談」ではギャスパー・ノエ監督が、「(塚本)晋也は初めての日本の友達だ。彼は日本の映画界で一番自由な存在だと思うね。『カルネ』が日本で公開できたのは、彼が”ゆうばり映画祭”に推薦してくれたからなんだ。晋也のおかげで僕の名前が日本でも広まったんだよ。『鉄男』シリーズは日本でも独特な映画だけど、欧米から観るとよりそれを感じる。しかも彼は監督から脚本、編集まで全部のパートを自分でやるんだ。稀有な存在だね。『沈黙-サイレンス-』にも出演していて羨ましかったし、磔刑の場面には本当に感激したよ。スコセッシは何度か磔の場面を撮っているが、あれがベストシーンだったね。」と言い、「本当に怖いのは生きてる人間だよ。複雑でクレイジーな生き物だ。個人の狂気だけではなく、歴史の中の狂気や集団的な狂気もある。晋也の作品にも狂気が濃密に描かれているよね。教訓が込められたおとぎ話に近いんだ。僕の作品もリアルというより、想像と現実の狭間を描いている。今回の『CLIMAX クライマックス』はアルコールがいかに危険か分かる映画だから、思春期の子にも観てもらいたかったんだ。映画での暴力的な表現はずっと昔から使われているし、聖書にだって書かれているくらいだ。人間の残酷さを上手く描くヨーロッパの監督といえば、パゾリーニファスビンダーだろう。」と語っている。

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また「僕の映画を酷評し続けてきた評論家に、”今回はやっといい作品を撮った”と言われた。冒頭の長いダンスシーンが良かったらしい。僕はあまり演出に関与していないシーンなんだけどね。あれはダンサーの踊る喜びを表現する場面だった。この映画の会話シーンはほとんどアドリブだよ。固定カメラを使って撮影し、”楽しんでくれ”とか”面白いことを言って”といったことしか指示していないんだ。”ロールプレイングゲームのようなものだ”と彼らには伝えた。それで役者と一緒に役名を考えたり、兄妹という設定を足したりしたんだよ。シナリオを作り込んでいたら、退屈な映画になったかもね。みんなで共作したお陰だ。」と答えている。


作品としては、「カノン」「アレックス」「エンター・ザ・ボイド」など、作品を発表するたびに物議を醸してきたフランスの鬼才ギャスパー・ノエが、2019年に発表したスリラー。サングリアに入れられたLSDによってトランス状態になり、人が死ぬ異常事態に陥っていく22人のダンサーたちの、狂乱の一夜を描いている。主演は「キングスマン」のソフィア・ブテラ。ソフィア以外のキャスト陣はプロのダンサーたちが出演している。レイティングは「R18+」の為にかなり過激な表現が多く、好き嫌いは確実に分かれる作品だろうが、ギャスパー・ノエにしか製作できないようなオリジナリティ溢れる映画になっている。それでも監督作の中ではある程度の見やすい作品になっているのは、「ダフト・パンク」や「エイフェックス・ツイン」が担当した楽曲群の力が大きいだろう。特に冒頭のダンスシーンは、繰り返し観たいシーンになっている。

 

 


監督:ギャスパー・ノエ

出演:ソフィア・ブテラ、ロマン・ギレルミク、スエリア・ヤクーブ、キディ・スマイル、クロード・ガジャン・マウル

日本公開:2019年