映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.425:「レイジング・ケイン コレクターズ・エディション」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は425本目。タイトルはブライアン・デ・パルマ監督による、1992年日本公開作品「レイジング・ケイン」。特典映像としては、「ジョン・リスゴー インタビュー」「スティーヴン・バウアー インタビュー」「編集ポール・ハーシュ インタビュー」「グレッグ・ヘンリー インタビュー」「トム・バウアー インタビュー」「メル・ハリス インタビュー」「オリジナル劇場予告編」「ピート・ゲルダーブロムによる再編集版の紹介」「ピート・ゲルダーブロムによるビデオ・エッセイ」で、計117分が収録されている。「インタビュー」では、主演のジョン・リスゴーが「ブライアン・デ・パルマとは60年代半ばに出会ったんだ。それから何年もの間、多くの監督からずっとオファーが続いていたんだが、なんとブライアンが私を起用するように助言してくれてたんだよ。その後、彼は私を『愛のメモリー』に起用してくれた。初めて得た大きな映画の役だ。それから彼の映画には3本出演したが、『レイジング・ケイン』はその最後の作品なんだ。ブライアンから届いた台本を読んだら、最初から私を想定して書かれていたよ。5人の人物を演じ分ける技術を要する大役で、人々を巧みにダマす人物だった。」と言い、「ブライアンは難解なあらすじが好きだ。溶岩のようにその中心には感情があるんだよ。心理的な葛藤と苦痛もね。そして彼の映画には見た目は正常だが、いつも頭がイカれた人物が登場する。そういう設定が彼は好きなんだろう。私は彼の映画の悪役におあつらえ向きなんだよ。『ミッドナイト・クロス』で演じた役は、自制心を欠いた諜報員だったが、まだ真っ当だったね。今回の役はあまりに複雑で、私も最初は理解できなかったよ。」と語っている。

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また「監督がラストシーンのイメージが湧いてきたと、大興奮していた日を覚えている。母親のロリータがかがんで子供を抱きかかえると、背後に女性の姿が現れる。それが女性版ケインだと明らかになるシーンだ。彼は観客がどう反応するか分かっていたんだね。ブライアンは現場でとても頼れる存在だった。撮影現場に来た監督から一番聞きたくないセリフは、”さて、どうしようか?”という一言だ。でも彼はまったく違った。準備万端で監督席に座り、イヤホンで音楽を聴いていたよ。ブライアンの映画には必ず代表的なシーンがある。この映画においてはフランシスが全ての人物たちの心理を説明をする長回しのシーンだ。現代的な建物の市庁舎でカメラが旋回しながら降りていくんだが、リハーサルに丸一日かけて、翌日に3テイクを撮った。ブライアン・デ・パルマはそういう複雑なシーンを好むんだよ。」と答えている。

 

作品としては、「キャリー」「スカーフェイス」「アンタッチャブル」などの傑作を手掛けてきた、ブライアン・デ・パルマ監督によるサイコ・サスペンス。主演は「愛と追憶の日々」「クリフハンガー」「インターステラ―」などの名優ジョン・リスゴーデ・パルマ監督作品の中では、それほど評価の高くない作品かもしれないが、ヒッチコック作品からの影響が強い”多重人格モノ”として十分に楽しめる作品だ。またデ・パルマ的なトリッキーなカメラワークやストーリー構成など、観るべきポイントは多いし、5役を演じたジョン・リスゴーの怪演も素晴らしい。本ブルーレイには、「劇場公開版」とは別に「ディレクターズ・カット版」が収録されており、かなり印象の変わった作品になっているのも面白い。

 

 

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ジョン・リスゴー、ロリータ・ダヴィドヴィッチ、スティーヴン・バウアー、フランシス・スターンハーゲン、グレッグ・ヘンリー
日本公開:1992年