映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.437:「突然炎のごとく」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は437本目。フランソワ・トリュフォー監督による、1964年日本公開作品「突然炎のごとく」。特典映像としては、「原作者アンリ=ピエール・ロシェについて」「トリュフォー、『突然炎のごとく』について語る」「オリジナル予告編」で計16分が収録されている。「トリュフォー、『突然炎のごとく』について語る」では、トリュフォー監督が「有名な原作ではなかったけど、私には簡潔な文体や純粋さと同時に、素朴な気取りさえ素晴らしいと思えた。今までの映画で描かれたことのない際どい関係が主題で、ほとんど一生の間に二人の男を情熱的に、また肉体的に愛した一人の女性の物語なんだ。三角関係を描く映画は必ず魅力的な人物と感じの悪い人物がいるんだけど、この小説のように、登場人物の誰もが”感じが良い”という設定では、映画化できないと思っていたよ。だがその後に原作者と話すうちに映画化は可能だと考えて、原作に忠実な脚本を書き上げたんだ。それは私の批評家時代の考えに沿うもので、映像にはなりにくいけれど捨てるには美し過ぎ、セリフにも変えられない場合は、そのままナレーションにして流すようにしたんだよ。恐るべき子供たち』の映画化ではメルヴィルコクトーが”読む映像化”を構想し、演劇的なシーンを演技とセリフに置き換え、ナレーションを多用しながら物語を語るよう作り替えたんだが、それと手法は同じだよ。」と語っている。

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また「ジャンヌ・モローの演技は型にはまった月並みな演技をすり抜ける、見事なものだった。私は俳優にまず演技してもらって、よければ撮るしダメなら演技をつける。ジャンヌが演技する時も軽すぎれば深刻にし、重すぎれば笑えるように演出したよ。とにかく、今までになかったジャンルの映画を作りたかったんだ。途中のストップ・モーションの場面は難しかったが、編集するうちに明確に美しくなると分かった。でも使い過ぎるとわざとらしくなるから、他の監督の作品を観て”視覚効果”としての使用はやめようと決心したんだ。本作では物語上、観客に認知させたいものを強調する場合にだけ使っているよ。ジャンヌ・モローの表情は30~35コマも止めているから、その瞬間、映像が劇的な強さを持つんだ。」と語っている。

 

作品としては、「大人は判ってくれない」「映画に愛をこめて アメリカの夜」などのフランソワ・トリュフォー監督による長編3作目。トリュフォー作品の中でも、名実ともに屈指の重要作だと思う。「死刑台のエレベーター」「危険な関係」などのジャンヌ・モローが演じたカトリーヌは、あまりに奔放で破滅的なヒロインとして有名だ。男女の三角関係を描いたストーリーだが、娘がいるにも関わらず捨てられそうな自分の代わりに、親友ジムにカトリーヌと結婚してくれと頼むシーンなど、普通の恋愛映画として観るとほとんど登場人物たちに感情移入できない作品だろう。唐突なラストシーンなども含めて、印象的な場面の多い作品だと思う。

 

 

監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャンヌ・モローオスカー・ウェルナーアンリ・セール、マリー・デュボワ、ボリス・バシアク
日本公開:1964年