映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「スティング」を観た

スティング」を観た。

f:id:teraniht:20161121231216j:plain

監督:ジョージ・ロイ・ヒル

日本公開:1974年

 

主演ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードの70年代アメリカ映画のクラシックを、久しぶりにブルーレイで観た。第46回アカデミー作品賞受賞作品でもあるが、やはり素晴らしい。特に脚本が良くて、無駄なシーンが無い。いわゆる詐欺師が主人公の「ドンデン返しもの」として有名だが、初めて観る方は作り手の思惑通りに、まず騙されてしまうだろう。これにはちゃんとした理由がある。40年以上も前の作品とは思えない、根源的な映画の楽しさが詰まった傑作である。

 

 あらすじ

舞台は1936年。フッカーとルーサーは、小さな地方都市の片隅で稼ぐ詐欺師コンビ。ある日、賭博組織の下っ端から大金を奪いとったのだが、その下っ端は有力な黒幕ロネガンが牛耳る賭博組織の運び屋だった。ロネガンは組織の威信を守るため、殺し屋を使ってルーサーを殺させ、更にフッカーの命も狙っていた。

 

フッカーは、巨大な組織とボスを敵に回して、ルーサーの仇討ちを誓う。そして伝説の詐欺師ゴンドルフと手を組んで、ロネガンから巨額の金を巻き上げる危険な作戦に挑むことになる。そんなゴンドルフの作戦を知った詐欺師たちが、アメリカ中から集まってきて、圧倒的な組織力と大金を持つロネガンをどうやって騙すかという一大作戦を練り上げていく。準備として、2人はロネガンの身辺を洗い、彼がポーカーと競馬に眼がないこと、近くシカゴを訪れることなどを調べ上げ、シカゴの下町に偽のノミ屋を構える。

 

またシカゴに向かう列車の車中で、ロネガンがポーカー賭博をやると聞いたゴンドルフはその仲間入りをし、イカサマでロネガンを大きく負けさせる。しかも事前にロネガンのサイフを仲間にスラせ、負け金を払うことも出来ないようにしながら、フッカーにロネガンのところに勝金を取りに行かせて、わざとゴンドルフのポーカーがイカサマであることを告げる。これにより、完全にロネガンは頭に血が上る事になった。

 

そこにフッカーは負け金の何十倍も稼げる話を持ち込む。それはゴンドルフの経営するノミ屋を乗っ取る計画だった。フッカーはゴンドルフから店を乗っ取りたいのだとロネガンに嘘の話を持ちかけたのだ。内容はノミ屋に電送されてくる競馬の中継は、電報局の局長と組んで2分程遅らせて放送している。だから、すでにゴールしている馬券を買えるから、ゴンドルフを破産させるのは訳がないという内容だった。

 

だが、フッカーとゴンドルフの動きはFBIの目にもとまっていた。更にフッカーを追うスナイダーという悪徳警官もFBIと共にうろついている。FBIは個別にフッカーに対し、ゴンドルフを裏切れば無罪放免にしてやると持ちかけており、フッカーは悩む。

 

そして、運命の日。ロネガンはフッカーの持ち込んだ話を信用し、遂に50万ドルの大金を注ぎ込む為に自らノミ屋に出向く。そして、いよいよロネガンが50万ドル注ぎ込んだレースが始まった瞬間、ノミ屋にFBIが踏み込んでくる。そして、ストーリーは思わぬ方向へ進んでいく。

 

 感想

文章で書くと複雑そうなストーリーだが、映画として観ていれば、割とシンプルなお話である。但し、ほぼ全てのシーンに意味があり、役者の表情やセリフ回しの一つ一つが、ラストのドンデン返しの為に巧妙にミスリードしてくる構成だ。観客は映画に登場するキャラクター同士が騙し合い、フッカーとゴンドルフの作戦によって、ロネガンが上手く騙されるのか?そしてゴンドルフはFBIに捕まらないで済むのか?を、「全てを知っている立場」から観ていると思っている。だが、この映画は、そんな観客を一番に騙す事に主眼を置いている。

 

観客は映画を観ている間、まるで詐欺師の一味になったかの様にその作戦の準備や騙しの手口に、感心したりワクワクしている。通常はそれがこういった「コンゲーム(詐欺師)映画」の魅力だからだ。情報は全て観客に提示された上で、キャラクターの行く末を見守っていると思っているのだ。ところがこの映画はその前提で、提示される情報が巧妙にコントロールされているので、最後のオチで見事に観客が騙される。しかも、極めてフェアなやり方だから、「えっ、それっておかしくない?」という感覚もない。これは脚本が素晴らしい証拠である。

 

特にロネガンを騙す為の作戦に平行して、FBIの策略を絡める事によって、初めてゴンドルフが知らなくて、且つ観客だけが知っている情報が入る事により、より観客はロネガン騙しの計画自体が上手くいくのかが不安になる。これが物語全体のミスリードに効果的に作用しているのだ。

 

古い作品ではあるが、今回久しぶりに観て、映画としての魅力は全く色褪せていない傑作だと改めて感じた。主演を務める、若い頃のロバート・レッドフォードの格好良さと、ポール・ニューマンの渋い色気も含めて、娯楽映画としては完璧な作品では無いだろうか。これは文句無しにオススメである。