映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」を観た

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」を観た。

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監督:アレックス・カーツマン

出演:トム・クルーズソフィア・ブテララッセル・クロウ

日本公開:2017年

 

日本では「トム・クルーズ主演映画史上No.1」という、華々しいキャッチコピーが踊るポスターのせいか、はたまた夏休みのせいか分からないが、本作「ザ・マミー」は結構なヒットを放っているようだ。だが1932年の「ミイラ再生」の2回目のリブートという事で、最初のリブート作である1999年公開「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」のノリを期待していると、肩透かしを喰らうだろう。夏の大作アクションアドベンチャー映画というよりは、B級モンスター映画くらいを想定しておく方がこの作品については良いと思う。今回は若干のネタバレを含むのでご注意を。

 

感想

まずこの作品を観る前提に、ユニバーサル・スタジオが自社の財産である「モンスター映画」を、ハリウッドスターを主演にリメイクするという「ダーク・ユニバース」なるプロジェクトがある事を記載しておきたい。いわゆるドラキュラや狼男、フランケンシュタイン、透明人間といった、1920年から1950年位まで続いた一連の作品群の中から、恐らく人気キャラだけをピックアップしてリブートしていくのだろうが、既にフランケンシュタイン役にはハビエル・バルデムが、透明人間にはジョニー・デップが決定しているらしい。明らかにマーベルがシリーズ化し大ヒットしている「マーベル・シネマティック・ユニバース」を意識してのシリーズ化だろうが、今作「ザ・マミー」はその第1作目の位置付けとなる。

 

今作の主演がトム・クルーズという事で、ユニバーサルスタジオがいかにガチで勝負に出ているかは、推して知るべしである。なにせ、このモンスターリブート作は過去にも実例があるのだが、前述の「ハムナプトラ」シリーズ以外はことごとく失敗に終わっている。2004年スティーブン・ソマーズ監督作「ヴァン・ヘルシング」、2010年ジョー・ジョンストン監督作「ウルフマン」、ゲイリー・ショア監督作「ドラキュラZERO」などがそれに該当するが、正直評価的にも興行的にもパッとしない作品ばかりだ。そんな中で、「ダーク・ユニバース」シリーズの命運を占う本作は、製作陣のプレッシャーもかなりのものがあったと想像される。

 

そんな「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」であるが、序盤はまるで「インディ・ジョーンズ」を彷彿とさせる、トレジャーハンターのバディ版と言った感じでとても良い滑り出しだ。軽口を叩きながらも、相棒と次々に降りかかる危機を回避していく様はトム・クルーズの本領発揮といったところで、主役としてキャラクターも立っていて観応えがある。正直、このジャンル特有の「あるあるシーン」が満載で既視感は強いが、それでもテンポも良いし、画面やVFXも今風にアップデートされていて映画のルックスも十分楽しめる。

 

ただ中盤以降のいわゆる「プロディジウム」なる謎の組織が登場する辺りで、一気にテンポが悪くなる。ダーク・ユニバース版のアベンジャーズといったモンスター集団の秘密組織のようだが、具体的にはラッセル・クロウ演じるジキル博士が、今後のシリーズへの伏線を説明し出すくだりである。基本的には室内のいかにもセットという舞台に移り、作品自体の世界観もこじんまりとしてくる。しかも、敵の女王ミイラも捕らえられてしまい、ストーリーも目的を失う為に、ここで映画は完全に停滞するし、先が読めてしまう展開となるのだ。何らかの方法で、女王ミイラはそこから脱出を果たし、最終的にはトム・クルーズと戦うという流れである。

 

そして今回の女王ミイラは、ある意味人間では倒せない設定である事と、先ほどの「ダーク・ユニバース」なる世界観のおかげで、最後はトム・クルーズがモンスター化するしか、この映画の終わり方は無い。そして、まさしくその通りに話は展開する。この終盤の尻すぼみ感が、この映画の大きなマイナス要素である事は間違いないだろう。

 

そもそもモンスター映画の核は、異形の姿に産まれてしまった怪物たちが、その姿ゆえに人々に恐れられたり、愛するものから拒絶されたりして苦悩する姿を描く事でもある。1991年のティム・バートン監督の「シザーハンズ」は「フランケンシュタイン」の影響が大きい事が有名だが、まさにあのジョニー・デップ演じるエドワードのキャラクター造形は、モンスター映画の典型だ。ティム・バートンは怪奇映画の大スターであるクリストファー・リーの大ファンである事を明言している事からも、モンスター映画への深い愛とリスペクトから「シザーハンズ」を撮ったのではないだろうか。

 

今回の「ダーク・ユニバース」が、単なるスター映画として、過去のモンスター映画という遺産を、キャラクターのうわべだけリブートした作品群になってしまっては実にもったい無いと思う。「シザーハンズ」のように過去作にあった核を、次回作はしっかり今の時代の作品としてアップデートした作品を期待したい。次のシリーズ2作目は、2019年公開の「フランケンシュタインの花嫁」リブートとの事である。