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映画「ジャスティス・リーグ」ネタバレ感想&解説

ジャスティス・リーグ」を観た。

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DCコミックスのヒーローたちが集結したドリームチーム、ジャスティス・リーグの活躍を描くアクション大作。監督は「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のザック・スナイダーが続投。バットマンベン・アフレックワンダーウーマンガル・ガドット、新キャラとしてフラッシュをエズラ・ミラー、アクアマンをジェイソン・モモア、サイボーグをレイ・フィッシャーがそれぞれ演じる。「ワンダーウーマン」の大ヒットが記憶に新しいDCコミックスの映画化、DCフィルムズ・ユニバースだが、いよいよ真打登場といったところである。今回もネタバレありで。

 

監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレックガル・ガドットエズラ・ミラー
日本公開:2017年

 

あらすじ

スーパーマンが超生命体ドゥームズデイによって命を落とした後、世界各地で犯罪が急増していた。そんな中で、人々を守っていたのは残されたバットマンことブルース・ウェインワンダーウーマンの二人。しかし、スーパーマン不在の地球に、他の星々を支配してきた魔手が宇宙から襲いかかろうとしていた。その危機にいち早く気づいたブルースは、迫りくる巨大な悪に備えて、超人チームを集結しようと考える。ブルースが白羽の矢を立てたのは、目にも止まらぬ高速で動き回れるフラッシュ、全身のほとんどを機械化された兵器人間サイボーグ、自慢の怪力で水陸両用の海の王アクアマン。いずれ劣らぬスーパーパワーの持ち主だが、性格も個性もバラバラの彼らを、スカウトしたブルースは一つにまとめなくてはならなくなる。彼らがジャスティス・リーグとして一堂に集う中、想像を絶する強敵ステッペン・ウルフが軍団を率いて地球支配を狙う。果たして彼らは人類を救えるのか?

 

感想&解説

最近のアメコミ映画は、何故かオールドロックを使いたがる傾向があるが、これだけ映像にフィットしてしまうと、それもやむなしといったところか。それだけ楽曲にチカラがあるという事だろうが、先日観た「マイティ・ソー バトルロイヤル」はLed Zeppelinの「Immigrant Song(移民の歌)」を使っていたし、昨年の公開の「スーサイド・スクワッド」の予告も、Queenの「Bohemian Rhapsody」がめちゃくちゃアガる使われ方をしていた。劇中でもCCRの「Fortunate Son」が効果的に使われていたのが思い出される。

 

そこで本作は?といえば「Come Together」だ。「Come Together」はTHE BEATLESの12枚目のアルバム「Abbey Road」に収録された一曲目を飾るナンバーで、1969年9月リリースである。ジョン・レノンが、THE BEATLESの曲で一番好きだと公言しているので有名だ。タイトルの「Come Together(一緒にやろうぜ)」から今作のテーマに近い曲だと言えるが、解散前のひどい関係にあったビートルズメンバーの状況を歌った曲でもあり、実はアイロニカルなナンバーでもある。ただゲイリー・クラーク・ジュニア&ジャンキーXLがカッコ良くアレンジしているとはいえ、今から約48年前の楽曲とは思えない。そもそもジャスティス・リーグのコミックス初出は1960年という事もあり、この「古いけどカッコいい」というバランスは、まさに本作のテーマに相応しいのかもしれない。

 

さて「ジャスティス・リーグ」の内容だが、個人的には大変楽しめた。なにより、上映時間120分というのが、潔くていい。昨今のアメコミ映画は内容を詰め込み過ぎて、長尺になる傾向があるのだが、本作はヒーロー大集合モノにも関わらずタイトにまとまっている。前作の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」が152分、アルティメット・エディションに至っては183分(!)と比べると、この短さは特筆すべきだろう。かといって、説明不足かと言えばそんな事は無い。新キャラも含めて、どんな性格でどんな特徴があってというストーリーを追う上で必要な情報はしっかり提示されている。

 

フラッシュの母親が過去に殺害されて、その容疑で父親が刑務所に収監されているが、その無実を晴らすべく化学捜査官になったといったサイドストーリーは、この映画では直接描かれないが、父親との面会シーンは違和感なく入れてあるので、興味のある人だけ追いかけてくださいという割り切ったスタンスだ。だが、マーベルに押され気味だったDCコミックスの戦略として、これは正しい。とにかく、細かい枝葉のところは置いておいて、ジャスティス・リーグとしてのメインストーリーとキャラの関連性だけをしっかり進める為、今作は一見さんでも入りやすいだろう。(とはいえ、やはり「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」だけは観ておいた方が良いだろうが)

 

アクションシーンも大変見応えがある。特に女戦士アマゾネスたちと、敵であるステッペンウルフが「マザーボックス(箱)」を取り合う、一連のシークエンスは、馬と縄を使ったフレッシュなアクションシーンになっておりワクワクするし、ワンダーウーマンの登場シーンは、人間の犯罪者と戦わせる事で、いわゆる「超人」としての強さが明確に分かるシーンになっており、その強さと格好良さ含めて、文句ない出来だ。

 

この手の作品で失速を感じるのは後半の展開だが、スーパーマンの復活後は若干の王道展開にマンネリ感はあるものの、割とタイト且つ、圧倒的に敵を叩きのめしてくれる為に、カタルシスはある。バットマンたちが苦戦する展開になっても、良くも悪くも「まぁ、後からスーパーマンが来るからなぁ」と安心して観ていられる訳だ。(これはドラゴンボールで、修行して強くなった悟空を待つシチュエーションと同じだ)まさに、この展開はヒーロー映画として正しいと思う。今作は、無駄にダークだったりシリアスだったりという作風ではなくストーリーもシンプルで、どちらかと言えば万人ウケするサッパリした作風だ。クオリティはめちゃくちゃ高いのだが、何か意味ありげだったり説教くさい作品ではなく、完全に割り切ったエンターテイメント作品に徹している。これはこれで、非常に好感を持った。

 

監督はザック・スナイダーだが、編集やポストプロダクションには「アベンジャーズ」の監督ジョス・ウェドンがかなり深くタッチしているらしいので、そのあたりが功を奏したのかもしれない。「ドーン・オブ・ザ・デッド」も「300」も「ウォッチメン」も、ザック・スナイダー監督作として大好きな作品だが、今作の風通しの良さは、やはり「アベンジャーズ」の影響を感じる。とにかく「ワンダーウーマン」に続き、DCコミックスの映画化作品として、また素晴らしい作品が完成した事を素直に喜びたい。エンドクレジットにも映像が流れるので、最後まで席は立たないように。ジェシー・アイゼンバーグ演じるレックス・ルーサーの再登場も決定らしい。DCフィルムズ・ユニバースの次回作は「アクアマン」の単独作品で、2018年秋口公開予定だ。

採点:7.0(10点満点)

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