映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.189:「皆殺しの天使」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は189本目。タイトルは、ルイス・ブニュエル監督による作品「皆殺しの天使」。ヤフオクにて中古で購入。特典映像としては「オリジナル予告編」のみ。映画評論家の遠山純生による、「作品解説リーフレット」が同梱されている。監督はスペイン出身のルイス・ブニュエルサルバドール・ダリと共作したデビュー作「アンダルシアの犬」で鮮烈に登場し、その後「ビリディアナ」「昼顔」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」「欲望のあいまいな対象」など、約50年に亘って32作品を発表してきた巨匠だ。本作「皆殺しの天使」は、1962年に開催された第15回カンヌ国際映画祭で初上映され、「国際映画批評家連盟賞」を受賞。その後日本での初上映は1981年で、2017年には36年ぶりにリバイバル上映されている。

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作品としては”シュルレアリズム”や”不条理劇”といった内容で、ストーリーとしては、晩餐会に招かれ邸宅を訪れた20人のブルジョワたちがなぜか屋敷から帰れなくなってしまい、そのまま数日が過ぎるのだが、水や食料が底を突くことにより段々と極限状態になっていくという内容だ。なぜ彼らが屋敷から出れないのか?などの説明は劇中で一切なく、ひたすらに本性を露わにし、険悪になっていく富裕層たちの姿を映していく。歩き回る”羊や小熊”の意味や、冒頭で使用人たちが次々を辞めていく理由など、おそらく何かのメタファーだと思わせられるのだが、正直意味はわからない。ただこのひたすらに垂れ流される映像を”浴びること”自体に、快感のある作品なのだろうと思う。この密室劇から影響を受けた作品は、近作だとM・ナイト・シャマラン監督の「オールド」など数多くあるし、60年代のヨーロッパ映画としてストレートな娯楽作品ではないが、映画史に残る”不条理劇”として面白い作品だと思う。


監督:ルイス・ブニュエル

出演:シルヴィア・ピナル、エンリケ・ランバル、ルシー・カジャルド

日本公開:1981年(製作1962年)