映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は213本目。タイトルは、サム・メンデス監督による2000年公開作品「アメリカン・ビューティー」。特典映像としては、特に無し。第72回アカデミー賞で作品賞を受賞した他、監督賞/主演男優賞/脚本賞/撮影賞の5部門を受賞したヒューマンドラマ。他にもゴールデングローブ賞作品賞、英国アカデミー賞、トロント国際映画祭など世界中の映画祭でも高い評価を受けている。監督は「007 スカイフォール」「007 スペクター」「1917 命をかけた伝令」などで有名なサム・メンデス。なんと本作はサム・メンデスの映画長編デビュー作である。主演は、「ユージュアル・サスペクツ」「セブン」「L.A.コンフィデンシャル」などで90年代に一世を風靡したケビン・スペイシー。現在はセクシャル・ハラスメント疑惑で、表舞台から姿を消した俳優だ。共演は「華麗なる恋の舞台で」「キッズ・オールライト」のアネット・ベニングや、「ゴーストワールド」「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」のソーラ・バーチなど。
作品としては、郊外の新興住宅地に暮らす関係の冷え切ったバーナム夫婦と娘ジェーンの三人家族、そして隣に住むマリファナの売人である青年リッキーとゲイ嫌いの父親、さらにジェーンの友人アンジェラを中心として物語は進んでいくことで、コメディの形を取りながらもサスペンスとしても見応えのある作品になっている。夫レスターは突然リストラに合い、妻キャロラインは同業の権力者と浮気、娘ジェーンは隣家に住む反社会的な青年リッキーと駆け落ちを決意し、レスターは高校生である娘の同級生アンジェラに性的妄想を抱く。タイトルである「アメリカン・ビューティー」とはアメリカ原産のバラの品種の一つらしいが、一見このバラのように美しく豊かな家庭であったバーナム家が完璧に崩壊していく姿を描いた本作を通して、痛烈にアメリカ社会を批判した骨太の作品になっている。また冒頭に主人公がこれから劇中で死ぬことを予告するオープニングは、ビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」からのオマージュを感じる。デビュー作品とは思えないサム・メンデス監督の演出手法も含めて、必見の一作だと思う。