映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.283:「英国式庭園殺人事件」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は283本目。タイトルはピーター・グリーナウェイ監督による、1991年公開作品「英国式庭園殺人事件」。特典映像としては、「ピーター・グリーナウェイによる作品解説」「マイケル・ナイマン インタビュー」「ざくろのシーン撮影風景」「キャスト・監督コメント」「予告編」で、計29分が収録されている。また「映画監督一尾直樹氏による作品解説」という、静止画の特典も付いている。「ピーター・グリーナウェイによる作品解説」では、監督が「6か月かけて本作の脚本を制作した。あらゆる画法を用いて、”絵画”を意識した映画を作りたいと思ったんだ。特に風景画に関連した作品をね。この作品の描き方はオーソドックスではないよ。今作のような絵を描く画家はどう考えても20世紀の職業とは思えないので、必然的に過去が舞台になった。理想の舞台を探すロケハンは数か月に亘ったね。撮影場所はこの物語を決定づける重要な要素だった。映画の舞台となる邸宅をイギリスのケント州で見つけて、そこから映画の全貌が見えてきたんだよ。多くの情報や抽象的意味を詰め込もうとしたことで、当惑した観客がいるかもしれないけど、作品全体がアガサ・クリスティー風のミステリーとして楽しめる。最後の謎解きの場面はないけどね。」と言い、「国史上興味深い年である1694年に時代を定めた。イギリスの資本主義の形成が始まったころで、イングランド銀行設立の年だ。そして女性の所有地管理が可能になった年でもある。そこで領地や女性の権限について、よく考えてみた。芸術やパトロンという概念についてもね。これら全てを元に脚本を作ったんだよ。セリフはかなり練り上げ、形式主義的なものになった。」と語っている。また「本作中の”彫刻”とだけ呼ばれる役は、ある意味で自由な存在だ。昔ながらの”道化”の役割で、傍観者である像には様々な事が許され、特定の行動パターンを見せる。いつどこでも姿を現して、重要な登場人物の知り得ないことを目撃するんだ。」と、本作における”謎のキャラクター”についても説明している。

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作品としては、「ZOO」「コックと泥棒、その妻と愛人」などを手掛けた、ピーター・グリーナウェイ監督の長編デビュー作。音楽は「ピアノ・レッスン」のマイケル・ナイマンが担当しており、その後も「数に溺れて」「プロスペローの本」など、11作品でこの二人はタッグを組んでいる。幼少期から画家を志し、美術学校に通ったというピーター・グリーナウェイ監督らしい、多用されるシンメトリーな構図と様式美あふれる映像が魅力の作品だが、実はストーリー展開もかなり面白い。ほとんど事件の顛末や結末を説明しない構成の本作は、観る者に対して考える”余白”を多く残してくれており、考察が楽しいタイプの映画だろう。ただ謎を解くヒントはある程度用意されているため、アンフェアな展開になっていないのも見事で、思わず2日連続で観てしまった。ピーター・グリーナウェイ監督作品は、現行でブルーレイ化されている日本盤が少ないので、リリースを待ち望んでいる。

 

 


監督:ピーター・グリーナウェイ

出演:アンソニー・ヒギンズ、ジャネット・サズマン、アン・ルイーズ・ランバート、デイヴ・ヒル

日本公開:1991年(1982年製作)