映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.297:「突破口!」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は297本目。タイトルはドン・シーゲル監督による、1974年公開作品「突破口!」。特典映像としては、特に無し。「ダーティハリー」「白い肌の異常な夜」「マンハッタン無宿」など、クリント・イーストウッドとのコンビ作で有名なドン・シーゲル監督が、「サブウェイ・パニック」「がんばれ!ベアーズ」などに主演している、ウォルター・マッソーを迎えて撮ったクライムアクションだ。共演は「ケープ・フィアー」のジョー・ドン・ベイカー、「ダーティハリー」で殺人鬼"さそり"を演じたアンディ・ロビンソンなど。ニューメキシコの小さな田舎町で暮らす元パイロットのチャーリー・ヴァリックが、妻のナディーンと若者ふたりを仲間に引き入れ、起死回生を狙って銀行強盗を計画するが、運悪く警察と遭遇したことから激しい銃撃戦となってしまい、仲間のひとりと最愛の妻ナディーンを失う。それでもなんとか逃げ延びたチャーリーと若者ハーマンが、強奪した金を調べてみると75万ドルという大金が入っており呆然とする。なんとその金は、マフィアの隠し金だったのだ。そこから警察とマフィアの両方から追われることになったチャーリーは、この事態を解決するために作戦を練ることになる、というストーリーだ。

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この作品はとにかく脚本が良い。中盤までは、主人公チャーリーの取る行動が非常に分かりにくく、妻を失ってまで強奪した金をどうするつもりなのか?が明かされない。特に歯医者に忍び込んでカルテを交換するシーンなどは、初見では意味不明だろう。ところが最後まで映画を観ると、そのあたりの伏線が見事に回収されていき、ラストでカタルシスを感じる構造なのである。ニセパスポートを偽造するシーンなどは、すっかり騙されてしまった。ウォルター・マッソーはこの映画の制作にあまり乗り気ではなかったらしいが、素晴らしい演技を見せているし、実際に英国アカデミーの最優秀男優賞を授賞している。飄々とした中年親父が追ってくるマフィアに頭脳を駆使して対抗するという、地味ながらもスリリングな展開をみせる本作は、二度目の鑑賞が楽しいタイプの作品かもしれない。やや小じんまりとしたいわゆる「70年代B級アクション」カテゴリーの作品なのだろうが、ドン・シーゲル監督作の中でもシンプルに面白いと感じられる一作だと思う。

 


監督:ドン・シーゲル

出演:ウォルター・マッソー、ジョン・ヴァーノン、ジョー・ドン・ベイカー、アンディ・ロビンソン

日本公開:1974年