映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は309本目。タイトルはアレックス・コックス監督による、1984年作品「レポマン」。特典映像としては、「REPO HISTORY(作品のヒストリー)」「HARRY ZEN STANTON(ハリー・ディーン・スタントンが語る)」「REPOSESSED(スタッフが語る制作話)」「THE MISSING SCENES(削除されたシーンについての解説)」「REPO MAN TV(米国テレビ用の再編集バージョン)」「予告編」で、計179分が収録されている。「REPO HISTORY」では、アレックス・コックス監督が「『レポマン』では監督と脚本を担当し、1983年に撮影してその年末に完成した自信作だった。それで、ひょんなことからユニバーサル・ピクチャーズという大手から配給されることになったんだ。私たちはいい映画だと思っていたんだけど、配給会社の考えは違った。全国一斉の劇場公開を期待していたけど、そうはならなかったんだ。上映は散発的に行われて、シカゴとロサンゼルスだけでお終い。ショックだったよ。そこで業界誌に広告を出し、『レポマン』の映画評を転載した。なぜか同じ雑誌で2つも映画評が出たからね。一方は”猥褻だ”とこき下ろされてもう一方は高評価だったから、当然肯定的なレビューを掲載したよ。配給会社に公開を働きかけるためにね。」と言い、「それから奇妙な反応があった。大手の航空会社から”この映画は共産主義で反アメリカ的だ”と批判されたんだ。まったくおかしな話だね。それから『レポマン』に救世主が現れたんだよ。MCAレコードの経営者だ。当時、『レポマン』のレコードが発売されていて、イギー・ポップの新曲が入ったサントラが売れていた。ハードコア・パンクが受けていたし、当時の西海岸のサウンドのいい見本だったんだ。彼がユニバーサルに働きかけてくれて、無事に公開されたんだよ。」と語っている。また「映画が完成してから10年後、配給会社の幹部に続編を売り込むために会社を訪れると、若い女性幹部が現れて”前作を観てからお返事します”と言われた。結局それっきりだったね。それから更に10年後、『レポチック』という作品を撮影中、ユニバーサルの訴訟部門から”製作を中止するように”という連絡が来た。”レポ”という単語はユニバーサルの所有物だから、タイトルには使えないと言うんだ。警告を無視して完成させた映画は、訴訟に巻き込まれて公開できなかった。しかも彼らは『レポゼッション・メン』というタイトルの作品まで公開したんだよ。コケたけどね。」と裏話を披露している。
作品としては、「シド・アンド・ナンシー」「ストレート・トゥ・ヘル」などのアレックス・コックス監督のデビュー作であり、カルト映画としても有名なSFサスペンス。主演は「エイリアン」「ニューヨーク1997」のハリー・ディーン・スタントンと、「ブレックファスト・クラブ」のエミリオ・エステベス。なぜかオンデマンドサービスでは配信がないため、レンタル店で見つけるかソフトを購入するしか鑑賞する方法がない作品だ。「レポマン」とは“REPOSSESS MAN”の略で、ローン未払いの客の車を取り立てるアングラな職業を指すらしいが、宇宙人の死体を積んだ64年型のシェビー・マリブに政府から2万ドルの賞金がかけられたことにより、レポマンや科学者、パンクスたちがこの車を巡って争い合うというストーリーだ。相当にユルい映画なので、過度に期待するとガッカリするかもしれないが、これこそ”感覚で観る”作品だろう。ラストのオチの脱力感も含めて、まさにカルトムービーの名に相応しい作品だ。
監督:アレックス・コックス
出演:エミリオ・エステベス、ハリー・ディーン・スタントン、トレイシー・ウォルター、オリビア・バラシュ
日本公開:1984年(製作)