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エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

見逃し厳禁!次に観るべきオススメ映画10本はこれだ!(90年代洋画サスペンス編)Vol.4

次に観るべき映画10本はこれだ!(90年代洋画サスペンス編)Vol.4

今回も少し時代を遡って、1990~1999年に公開されたサスペンスジャンルに絞ってご紹介!90年代には「羊たちの沈黙「セブン」ユージュアル・サスペクツ」などの傑作サスペンスが多いのだが、その傑作群に勝るとも劣らない作品を10本ピックアップしました。旧約聖書からの引用が強いサイコスリラー、エイドリアン・ライン監督「ジェイコブス・ラダー」、キャシー・ベイツの演技が心底恐ろしいロブ・ライナー監督「ミザリー」、コーエン兄弟ジョン・タトゥーロを主演に迎え、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「バートン・フィンク」、ミヒャエル・ハネケ監督の胸糞不条理劇「ファニーゲーム」、F・ゲイリー・グレイ監督の隠れた傑作「交渉人」など、基本的には配信やソフト化されていることを前提に、わりと観やすい作品から選出しています。ぜひ今後の作品選びの参考に!第五弾以降も順次公開していく予定です。

 

 

ジェイコブス・ラダー

フラッシュダンス」「危険な情事」などのエイドリアン・ライン監督が、ティム・ロビンスを主演に迎えて制作したサイコ・スリラー。冒頭からかなり意味深なシーンが続き、全編に「神と悪魔」「生と死」といったキリスト教的なモチーフが表現されている作品だ。リメイク版も存在するのだが、確実にこのオリジナル版の方が出来が良い。二回目以降の鑑賞と考察が楽しいタイプの作品で、エイドリアン・ライン監督の代表作のひとつだと思う。90年代を代表するスリラー映画として、観る度に発見のある名作だろう。

ミザリー

スタンド・バイ・ミー」「恋人たちの予感」「ア・フュー・グッドメン」などのロブ・ライナー監督が放つ、スティーブン・キング原作小説の映画化。本作で第63回アカデミー賞で主演女優賞に輝いたキャシー・ベイツの怪演が素晴らしく、小説家の生み出したキャラクターの狂信的ファンという”サイコパス”を嬉々として演じている。ストーリー展開もメリハリが効いており面白く、鑑賞しながらジェームズ・カーン演じる負傷した小説家に強く感情移入してしまうだろう。

バートン・フィンク

カンヌ国際映画祭で「グランプリ」「監督賞」「主演男優賞」の3冠に輝いたサスペンス作品。監督はコーエン兄弟ジョエル・コーエンだが、弟のイーサン・コーエンも製作に名を連ねている。主演は「オー・ブラザー!」「THE BATMAN ザ・バットマン」などのジョン・タトゥーロ。劇作家としての実力を認められ、ハリウッドに招かれたバートン・フィンクがあるホテルにチェックインするのだが、そこで恐ろしくも不可思議な出来事に巻き込まれるというストーリーだ。共演するジョン・グッドマンの演じる”チャーリー”が最高で、設定的に深みのあるキャラクターになっている。

ア・フュー・グッドメン

またしてもロブ・ライナー監督作品。トム・クルーズジャック・ニコルソンデミ・ムーアケビン・ベーコンキーファー・サザーランドなど豪華キャストの法廷サスペンス。脚本は「ソーシャル・ネットワーク」「シカゴ7裁判」などの名手アーロン・ソーキンキューバ米海軍基地で起った不審な殺人事件の真相を探る、若き弁護士をトム・クルーズが演じ、ジャック・ニコルソン演じる軍隊の最高指揮官ジェセップ大佐との手に汗握る法廷劇を描いた作品だ。正統派サスペンスというべき作風で、アーロン・ソーキンの脚本も流石の完成度である。

「真実の行方」

主人公の敏腕弁護士をリチャード・ギアが演じ、被告人である19歳の青年アーロンを本作で映画デビューしたエドワード・ノートンが演じる、こちらも法廷サスペンス。絶対にネタバレ厳禁の作品で、非常にツイストの効いた脚本と演出が見どころの作品だ。今やハリウッドの大物俳優とあったエドワード・ノートンの映画デビュー作なのだが、すでに演技派の片鱗が見えており素晴らしい演技を見せている。ラストの展開は見事である。

 

 

L.A.コンフィデンシャル

作家ジェームズ・エルロイの「L.A.4部作」のひとつを映画化した、ノワール・サスペンス。監督は「8 Mile」「イン・ハー・シューズ」などのカーティス・ハンソン。出演はケヴィン・スペイシーラッセル・クロウガイ・ピアースキム・ベイシンガーダニー・デヴィートなど豪華キャストだ。第70回アカデミー賞では、「助演女優賞」「脚色賞」を受賞している。50年代のハリウッドを舞台に警察の腐敗や権力者の暗躍、謎の多い美女の登場など、いかにもノワール的な要素の強い作品になっており、現在でも非常に評価の高いサスペンスである。

ファニーゲーム

日本では2001年に公開されたが、実際は1997年製作公開の作品。監督は「隠された記憶」「愛、アムール」「白いリボン」などの鬼才ミヒャエル・ハネケ。2008年にはナオミ・ワッツティム・ロスマイケル・ピットなどのハリウッドスターにキャストを入れ替えた、「ファニーゲーム U.S.A.」をミヒャエル・ハネケ御大みずから制作している。監督が「観客を憤慨させる為に作った」と公言しているように、かなりの胸糞展開で”禁じ手”に近い手法を取り入れながらも、新しい映画表現を追求した作品だと思う。今回のラインナップの中では、もっとも万人受けしない映画だと思うが、記憶には残り続ける一作だろう。

ガタカ

「TIME タイム」「ロード・オブ・ウォー」を手掛けた、アンドリュー・ニコルの監督/脚本デビュー作でSFサスペンス。出演はイーサン・ホークユマ・サーマンジュード・ロウアーネスト・ボーグナインなど。DNA操作で生まれた"適正者"だけが優遇される近未来で、"不適正者"として生まれた若者が夢である宇宙へ旅立とうとするストーリーで、いわゆる”ディストピア映画”の範疇なのだが、友情や愛情といった人間ドラマの要素も強く、しかもそれを一定のクールなトーンで描き切っているのが面白い。これは傑作SFサスペンスだろう。

「交渉人」

「ストレイト・アウタ・コンプトン」「ワイルド・スピード ICE BREAK」のF・ゲイリー・グレイ監督の初期作だが、これは相当に面白い傑作サスペンス映画だと思う。「IQ180の駆け引き。」というのが本作のキャッチコピーだが、殺人と横領の罪を着せられた交渉人とその事件に巻き込まれたもう一人の交渉人との頭脳戦が見どころの作品だ。いわゆるドンデン返しの展開もあったりと、脚本も最後まで飽きさせない。キャスト陣は二人の交渉人を、サミュエル・L・ジャクソンケビン・スペイシーが演じており、その脇をデビッド・モースポール・ジアマッティ、J・T・ウォルシュなどの名優が固めている。

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ

スナッチ」「シャーロック・ホームズ」「ジェントルメン」などで有名なイギリスの鬼才ガイ・リッチーの長編デビュー作。なんと今では売れっ子アクション俳優のジェイソン・ステイサムの俳優デビュー作でもあり、UK人気ミュージシャンのスティングも出演している。ロンドンの下町で暮らす4人の悪友たちが、持ち寄った10万ポンドをギャンブルで溶かしてしまい、賭博場の元締めから”返済期限1週間50万ポンド”もの借金を負ってしまったことから、麻薬の強奪を企てるというストーリーだ。ガイ・リッチー監督らしい転がる続けるストーリーに翻弄されて、先の読めない脚本が魅力の作品だ。