映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.393:「情事」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は393本目。タイトルはミケランジェロ・アントニオーニ監督による、1962年日本公開作品「情事」。特典映像としては、特に無し。「太陽はひとりぼっち」「夜」など本作を含む「愛の不毛」三部作で有名な、イタリア映画界の巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督による愛の不条理劇。1960年度のカンヌ映画祭では「審査員特別賞」ほか3部門を受賞し、同年度ロンドン映画祭でも「グランプリ」を受賞している。またフランスパリでは5か月間のロードショー記録を樹立するなど、非常に挑戦的な内容にも関わらず、世界中で評価されている作品だ。エオリエ諸島にヨット・クルージングに出かけた外交官令嬢アンナとその恋人サンドロ、そしてアンナの女友達クラウディアやその仲間たちが、ある小島に上陸した際、アンナが忽然と姿を消してしまう。そんなアンナを探してサンドロとクラウディアはシチリア内を周る道中、二人の間には恋愛感情が芽生えてしまうというストーリーだ。

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とにかくこの作品において、「アンナはどこにいったのか?」という一点が最大のストーリーにおける推進力になるにも関わらず、このアンナ失踪事件がまったく劇中では語られなくなるという斬新な手法と、最後まで観客の期待を裏切る「腑に落ちない」結末が話題となった映画で、鑑賞後には強烈な違和感を残す作品だ。第13回カンヌ国際映画祭で上映された際にはブーイングが鳴り止まなかったらしい。さらに愛の不安定さと男女の虚無的な関係を執拗に描いたラストの展開は、ヴィム・ヴェンダースアンドレイ・タルコフスキーなどの、後世の作品にも多くの影響を与えている。ヒロインのクラウディアを演じた、当時は新人のモニカ・ヴィッティのアンニュイな美しさも見どころで、無条件に”面白い映画”だとはとても言えないが、それまでの映画の常識を塗り替えた攻撃的な作品だとは言えるだろう。世界三大映画祭の全てで最高賞を受賞している、イタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作の一本だろう。

 


監督:ミケランジェロ・アントニオーニ

出演:ガブリエレ・フェルゼッティ、モニカ・ヴィッティレア・マッサリドミニク・ブランシャール、ジェームズ・アダムス

日本公開:1962年