映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.395:「ファンタスティック・プラネット」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は395本目。タイトルはルネ・ラルー監督による、1985年日本公開作品「ファンタスティック・プラネット」。(本国フランスでは1973年公開)特典映像としては、「ルネ・ラルー監督による傑作短編『かたつむり』」「監督インタビュー映像(ファンタスティック・ラルー)」で計36分が収録されている。「監督インタビュー映像」では、ルネ・ラルーが「アニメとは風変わりなアートだ。成熟していて難しく、完全に自由だ。結局は需要と供給の問題なんだよ。アニメの映画作りでは監督がすべてだ。編集から何から何まで、一人が何でも決めるからね。私はアイデア、脚本、テーマをもっとも重視するんだ。」と言い、「私は36歳の時に精神科の病院で研修をすることになって、そこの患者たちとアート活動を始めたんだ。ビニールハウスに絵を描くアトリエを作り、毎日そこで3~4時間を過ごした。患者たちとシナリオを書いて『チック・タック』という、影絵の人形劇を作ったんだ。16ミリのカメラで撮影し1年かけて完成させたが、味のある作品になったよ。そしてある友人が、その作品をテレビに出そうと言って応募し、採用されたんだ。精神科の患者が作った16ミリの映画がテレビで放映されたんだよ。それがきっかけで、次の作品を作ることになったんだ。」と語っている。「『ファンタスティック・プラネット』は、『オム族がいっぱい』というSF小説をベースにした。美しいSFの物語だよ。紙の上での色には気を配ったんだ。紙の上で黒い部分はとても黒くして輪郭をはっきりさせた。それが絵に命を吹き込んだんだよ。カンヌのコンペ部門に長編アニメ作品が入ったのは、本作が初めてだった。真っ向から実写作品に対抗して、オーソン・ウェルズの映画と同じ土俵に上がったんだ。すごいことだよ。」と答えている。

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作品としては、史上初めてカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、2016年にはローリング・ストーン誌によって、史上36番目に偉大なアニメーション映画に選出されたSFアニメーション作品。イラストレーターのローラン・トポールルネ・ラルー監督が切り絵アニメーションという手法で完成させた、フランス・チェコスロヴァキアの合作作品だ。世界中のクリエイターに影響を与えたと言われるフレンチSFの古典で、日本でも1985年に劇場公開されてから2020年にも再上映、さらに2021年にはDCP(デジタル上映)され、カルト的な人気を呼んでいる。とにかくユニークで独創的なキャラクター造形で、人間の扱われ方も含めてシュールな世界観の作品だが、これが1973年に作られていたのかと思うと驚かされる。ブルーレイに収録されている、同じルネ・ラルー監督&ローラン・トポール作画による短編映画「かたつむり」も強烈な作品でオススメだ。

 

 

監督:ルネ・ラルー

日本公開:1985年