映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は412本目。タイトルはエドガー・ライト監督による、2021年日本公開作品「ラストナイト・イン・ソーホー」。特典映像としては、「エロイーズ」「サンディ」「視覚トリック」「ソーホーの通りで」「タイムリープ」「未公開シーン」「アニマティック」「撮影の裏側」「『恋のダウンタウン』ミュージック・ビデオ」「予告編集」で、計102分が収録されている。各インタビューでは、エドガー・ライト監督が「僕は18歳じゃないが、主人公エロイーズの体験に個人的には共感するね。僕はよその土地からロンドンに来たんだが、同世代の人たちよりも自分は劣ってる気がして、この街には馴染めないと思っていたから。ロンドンに住んで25年だがその感覚はまだ消えないよ。製作スタッフから聞いて主演のトーマシン・マッケンジーを知り、年齢を聞いたらちょうどエロイーズと同じ18歳だったんだ。温かく優しい人柄と共感力の高さはエロイーズのキャラクターに似てるね。彼女が出てくれて良かったよ。彼女が観客を映画の中に導くからね。トーマシンはニュージーランド出身だから、ロンドン市内での撮影は本当に新鮮だったはずだ。彼女の演技派はとても自然体で、物語に没頭できるんだ。」と語り、「一方でサンディのモデルは、1960年代の女優たちだ。登場した瞬間にスクリーンを我が物にする。まさにスターなんだ。アニャ・テイラー=ジョイの配役には裏話がある。彼女はまだ脚本もない時、この企画を初めて話した役者なんだ。会ったのは2015年で、『ウィッチ』を観た直後だ。なぜか本作の筋書きを全部話したんだけど、彼女はコーヒーを飲みながら”ぜひ出演したい”と言ってくれた。最初は彼女をエロイーズ役にと考えていたんだが、数年たって脚本を書き始めたら、サンディの役割が大きくなったんだ。そこでこの役はアニャに決めたんだよ。彼女には時代を越えた魅力がある。現代に限らず1960年代や1920年代の無声映画時代でも、スターになれただろうね。サンディが歌う曲として『恋のダウンタウン』を推したのは僕だし、アニャなら歌えるとわかっていたが、あんなに美声だとは知らなかった。ゾクゾクする出来だったね。」と語っている。
また主演のトーマシン・マッケンジーは「ホラーやスリラー系の作品は、これまで出演したことがなかった。”演じるうえで怖い事や不安なことはないか?”と監督に聞かれたのは覚えてるわ。私は”何もないわ”と答えたけど、強烈なシーンもあったから、あの答えは間違いね。エドガー・ライトの作品で重要なのは、振り付けとタイミングよ。こう動いたら次はこうで、あっちを向くなどダンスシーンは自然でリアルに見えるように努力した。今までで最高のスタッフに恵まれたわ。」と言い、アニャ・テイラー=ジョイは「監督に会うのは楽しみだけど不安だった。本作は”ネオンで飾られた悪夢”だと教えられたわ。エドガー・ライトはこの映画を、ダークな物語として描きたいと言っていた。ネオンと闇の共存だとね。サンディはあか抜けていて度胸があり、自分を良く知る自信家ね。最初の登場シーンではまるで部屋の主のように振る舞ったわ。」と答えている。
作品としては、「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」「ベイビー・ドライバー」などのエドガー・ライト監督による、サスペンススリラー。出演は「ジョジョ・ラビット」「オールド」のトーマシン・マッケンジー、「ウィッチ」「ノースマン 導かれし復讐者」のアニャ・テイラー=ジョイ、「ターミネーター:新起動/ジェニシス」マット・スミスなど。ファッションデザイナーを夢見て、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズは、ある夜、夢の中で1960年代のソーホーで歌手を目指す美しい女性サンディに出会い、次第に彼女とシンクロしていくような感覚を覚えるが、ある日夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまうというストーリーで、エドガー・ライト監督初のスリラージャンル作品だ。オマージュ作品に溢れた、監督の映画愛を感じる一作だと思う。
監督:エドガー・ライト
出演:トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ、マット・スミス、ダイアナ・リグ、テレンス・スタンプ
日本公開:2021年