映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.435:「COLD WAR あの歌、2つの心」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は435本目。タイトルはパヴェウ・パヴリコフスキ監督による、2019年日本公開作品「COLD WAR あの歌、2つの心」。特典映像としては、「メイキング」「劇場版予告編」で計15分が収録されている。「メイキング」では、パヴェウ・パヴリコフスキ監督が「映画の各シーンは撮影監督や俳優、そして監督が密接に関わり合って作り上げる。人と人との化学反応が大事なんだ。僕は監督になる前、ミュージシャンだった。ただ音楽、写真、物書きのどれもモノにならず、映画監督になったんだよ。映画で流れる音楽が好きで、既存の曲をうまく活用する作品は魅力的だと思う。今回はポーランド民族音楽を使ったよ。冒頭で使ったのは、田舎の純粋な民族音楽。音楽が変化し伝承されていくのを、物語として綴った映画なんだ。幼い頃、民族音楽は退屈だと思っていたが、大人になってその美しさが分かってきたよ。」と言い、「まず”マゾフシェ”という舞踏団の歴史を調べた。劇中に登場する舞踏団は、この”マゾフシェ”がモデルだ。そして映画が進むにつれて、民族音楽がジャズへと変わっていく。登場人物と同様に音楽も変化するんだ。僕たちは彫刻を掘るように映画を撮る。まず大まかな舞台を用意して、足したり削ったりして完成させていくんだ。演出やセリフも変えながらね。」と語っている。

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また「『イーダ』という映画のキャスティング中に、ヨアンナ・クーリクという女優に出会い魅了された。彼女の活き活きとした雰囲気が素晴らしいんだ。一緒に仕事をしたかったから、ヨアンナのために新しい役を作ったほどだ。今回は脚本の執筆中から、主人公ズーラ役は彼女にと決めていた。僕が思い描いていたのは10年前の彼女だが、昔と変わらない姿を見せてくれたよ。この映画はズーラとヴィクトルという男女を描いた作品で、彼らは僕の両親に通じるところもあるし、僕自身や友人などに似ている面もある。舞台は過去の時代だけどね。多くの人にとってはひどい時代だったと思うけど、振り返ってみると良い意味で哀愁を感じるね。人々が下す決断が明確な時代だったんだ。」と答えている。

 

作品としては、母国ポーランドで撮影した「イーダ」がポーランド映画初のアカデミー外国語映画賞を受賞した、パヴェウ・パヴリコフスキ監督による恋愛映画。第91回アカデミー賞では「監督賞」「撮影賞」「外国語映画賞」にノミネートされ、第71回カンヌ国際映画祭では「監督賞」を受賞している。主演は「夜明けの祈り」や「イーダ」のヨアンナ・クーリグと「ロスト・ボディ 消失」のトマシュ・コット。終始美しいモノクロ映像と民族音楽&ジャズをバックにこじれた男女の悲哀を描いた作品で、その関係性を通して冷戦時代のポーランドを描いている。88分というタイトな上映時間だし、ストーリーもシンプルで静かなメロドラマだが、往年の名作を思わせる格調高い演出が楽しめる一作だと思う。

 

 

監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
出演:ヨアンナ・クーリク、トマシュ・コット、ボリス・シィツ、アガタ・クレシャ、セドリック・カーン
日本公開:2019年