映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.440:「デビルズ・バックボーン」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は440本目。ギレルモ・デル・トロ監督による、2004年日本公開作品「デビルズ・バックボーン」。特典映像としては、「メイキング・オブ・『デビルズ・バックボーン』」「スペイン版メイキング」「オリジナル予告編」で計47分が収録されている。「メイキング・オブ・『デビルズ・バックボーン』」では、ギレルモ・デル・トロ監督が「この映画は13年前、シナリオ学校の卒業作品として生まれたものなんだ。しかし自分ではあまり気に入っていなかったから、数年後に友人で脚本家のアントニオと出会った時、一緒にゼロから脚本を書かないかと提案した。それが本作なんだよ。庭の真ん中に爆弾が突き刺さった孤児院という設定が気に入ったし、子供も出したかったのでそれらを全部脚本に盛り込んだんだ。これは1930年代のスペインが舞台のゴースト・ストーリーだ。そして内戦下という設定はただの背景に過ぎず、ストーリーは登場人物たちの日常に焦点を当てている。おとぎ話と同様に、城の外で起きていることの鏡なんだよ。私はメロドラマに惹かれる。観客には人物たちの感情を普段よりも純粋な気持ちで受け止めて欲しいね。」と語っている。

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また「この映画では、犯罪が起こった呪いの建物で幽霊が復讐の機会を狙う。幽霊は琥珀の中の昆虫のようなもので、その概念が本作の核なんだ。私たちが最初から作ると決めていたのは、アーチ型の門だよ。登場人物たちが、この建物に心を幽閉している状態を示す構図にしたかったんだ。子供に演出をつけるのが、この手の映画で一番の難関だ。だから演出を理解できるか?が子役を選ぶ基準になる。子供は一日12時間も役への感情移入が続かないから、私がヒントを与えて導きながら、演技をつけていくんだ。主要な子役たちは皆、飲み込みの早い子ばかりだったよ。」と言い、「他のジャンルではできない事もファンタジーでは可能になる。例えば本作中には、幻想的なイメージが出てくるが、これは実験映画やファンタジー映画でしか実現できないものだよ。物理や化学の方程式を無視することも可能で、完全に自由に描けるんだ。スペイン映画だからか私の3作目だからか、とにかく初めて完璧に満足できる映画になったね。」と答えている。

 

作品としては、「パシフィック・リム」「シェイプ・オブ・ウォーター」「ナイトメア・アリー」などのギレルモ・デル・トロが手掛けたホラーファンタジーで、2002年のアムステルダムファンタスティック映画祭では”ヨーロッパ映画グランプリ”を受賞している。またプロデューサーは、「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」などのペドロ・アルモドバルスペイン内戦を舞台とした子供の物語という点では、ギレルモ・デル・トロが2006年に公開した「パンズ・ラビリンス」と類似しているが、監督自身は本作が「自分の手がけた作品の中ではベストだ。」と公言しているらしい。庭に突き刺さった不発弾、”悪魔の背骨”を持った琥珀ラム酒に漬けられた胎児の死体、若く狂暴な管理人と性的な関係を持っている義足の女院長など、ギレルモ・デル・トロ監督の世界観が炸裂した映像が魅力だ。子供たちが苦難に晒される展開など、以後の作品にも通じるダークファンタジーホラーの良作である。

 

 

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:エドゥアルド・ノリエガ、マリサ・パレデス、フェデリコ・ルッピ、フェルナンド・ティエルブ、イレーネ・ビセド
日本公開:2004年