映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.448:「追想」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は448本目。ロベール・アンリコ監督による、1976年日本公開作品「追想」。特典映像としては「オリジナル予告編」のみ。2017年にはデジタルリマスター版が、一部劇場にて39年ぶりにリバイバル公開されている。監督は「冒険者たち」「若草の萌えるころ」などで有名なフランスの名匠ロベール・アンリコが手掛けた、リベンジアクション。ロベール・アンリコ監督の代表作だろう。フランスと西ドイツの合作映画であり、フランスにおいてアカデミー賞にあたる「セザール賞」では、「作品賞」「主演男優賞」「作曲賞」の3部門で受賞している。出演は「ニュー・シネマ・パラダイス」「イル・ポスティーノ」のフィリップ・ノワレ、「太陽が知っている」「ルートヴィヒ」のロミー・シュナイダーなど。 

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1944年、第二次大戦下のフランスで外科医と働くジュリアンは、戦火の拡大にともない愛する妻と娘を自分の田舎へ疎開させるが、妻子と別れてから五日後。村はパルチザン狩りのドイツ軍小隊に襲われ、娘は射殺、妻はレイプされ焼き殺されていた。初めは悲しみに崩れ落ちるジュリアンだったが、遂に彼は隠してあった一挺のショットガンをとり出し、村に駐在するドイツ軍を一人づつ処刑していくのだったというストーリーで、終盤の鏡の裏から火炎放射器でドイツ兵を焼き殺す場面は、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」における映画館のシーンの元ネタとして有名だ。復讐劇の合間に挟み込まれる、妻との馴れ初めや娘との洗礼式など、殺された家族と過ごしたの想い出のシーンは本当に幸せそうで、思わず主人公に感情移入してしまうが、この非常に変わった構成こそが本作最大の特徴だろう。まさにタイトル「追想」の由縁である。オープニングとエンディングが家族三人で自転車をこぐという同じシーンで終わっており、この演出もあまりに悲壮な本作品を印象付けていると思う。

 

 

監督:ロベール・アンリコ
出演:フィリップ・ノワレロミー・シュナイダー、ジャン・ブイーズ、マドレーヌ・オズレー、ヨアヒム・ハンセン
日本公開:1976年