映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は450本目。タイトルは是枝裕和監督による、2022年日本公開作品「ベイビー・ブローカー」。特典映像としては、「予告編集(オリジナル版予告編、日本版予告編、ショート予告、特報、TVスポット、キャラクター映像)」、「メイキング映像①~③」で計15分が収録されている。「メイキング映像」では、ソン・ガンホが「2015年の釜山映画祭の時、是枝監督に”話がしたい”と言われたんです。本作は人間が持っている尊い感情を表現した映画ですね。深い井戸の水のように澄んでいて、美しい作品の世界に出会えると思います。あと東海岸の美しい風景をここまで収めた映画は、今回が初めてですね。私が演じたサンヒョンには好感だけではなく憐みも感じるキャラクターでしたし、共演したカン・ドンウォンさんは道に迷った鹿のような瞳が印象的でした。」と言い、是枝裕和監督は「ちょうど何か韓国で一緒に映画を撮りませんかという話が持ち上がっていた時期だったので、簡単なプロットを書きました。一人の赤ちゃんを中心にして、血縁では繋がっていないんだけども旅を通して家族を形成するという話です。赤ちゃんまで含めて、役者の演技を楽しめる映画だと思いますので、そこを堪能してほしいですね。プサンからソウルまでの旅なんですけど、自分が韓国で経験してきた旅のルートそのものでした。この映画では建物が持ってる積み重ねられた時間を、作品の中に反映するのが大事でした。そこで暮らしている人たちがいる風景の中で、人物を撮ることを心掛けましたね。」と語っている。
またペ・ドゥナは「監督からお話を頂いた時、すぐに引き受けると答えました。監督独特の人類愛が感じられる映画だと思います。劇中のスジンは観客の視点でもあると思ったので、自然に反応して演じようと思いました。」と言い、カン・ドンウォンは「家族の物語をブローカーを通して語るのは、新しい視点ですよね。まるでフィルムカメラで撮った感じで、ロードムービーの魅力が表現されています。この映画は”家族”とは何かを改めて考えさせられますね。ソン・ガンホさんとは12年ぶりの共演ですが、最初からとても息が合いました。」と答えている。
作品としては、「歩いても 歩いても」「そして父になる」「海街diary」の是枝裕和監督が手掛けた、韓国製作及び韓国語作品。第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門正式出品作品でもある。キャストは「殺人の追憶」「タクシー運転手 約束は海を越えて」「パラサイト 半地下の家族」などのソン・ガンホ、「新感染半島 ファイナル・ステージ」のカン・ドンウォン、「空気人形」「クラウド アトラス」のペ・ドゥナなど。「ベイビー・ブローカー」というタイトルと、親の理由で新生児を預かる”ベイビー・ボックス”に入れられた赤ちゃんを巡る物語だという前情報から、もっと社会風刺の効いたダークで暗い作品なのかと思っていたが、意外と爽やかなロードムービーだった本作。血のつながりのない疑似家族が、コミュニケーションを通して本当の家族になっていく姿を描く本作は、まさしく”是枝作品”になっている。シンプルで美しい映画だった。