映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.454:「コーダ あいのうた」 

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は454本目。タイトルはシアン・ヘダー監督による、2022年日本公開作品「コーダ あいのうた」。特典映像としては、「インタビュー集(エミリア・ジョーンズ/トロイ・コッツァー/マーリー・マトリン/ダニエル・デュラント/エウヘニオ・デルベス/シアン・ヘダー監督)」「リリックビデオ 『You're All I Need To Get By』」「オリジナル予告編」で計36分が収録されている。インタビュー集では、主演のエミリア・ジョーンズが「他のキャストと対面した時は、緊張したけどワクワクしてた。ロッシ家の家族を演じる役者たちと親密な関係を築くには、”言葉の壁”が邪魔になるかもと心配だったの。でもマーリーたちと会った瞬間、すぐに打ち解けられたわ。彼らは私がアメリカ手話を学ぶ手助けもしてくれて、すごく楽しかった。私は手話についてよく知らなかったし、普段と違う言語での演技も初めてだった。でもやってみると大好きになって、普通に話すより楽しいと思えたの。それにすごく美しい言語だと思ったから、映画を観た人が手話を学んでくれたら嬉しいわ。他の映画では表情を抑えて目だけで演技することもあるけど、手話では大小を区別する時、身体で表現するの。こんな挑戦は初めてだった。この作品は今だから観るべき映画だと思う。元気になる映画でハラハラするけど、同時に笑える。例えるなら家族に充てたラブレターのような作品ね。」と言い、「歌は大好きだけど、レッスンは初めてだったわ。プロとして歌ったことは無かったから。オーディションで歌ったのは、フリートウッド・マックの静かな曲だったのに、レッスンで歌う楽曲はソウルフルな曲だったから”え??”って聞き返したわ。しかも合唱クラブのメンバーの大半はバークリー音大の学生で、その中からV先生に選ばれる設定なんて、目まいがした。でも初対面のスタッフがすれ違った時に歌を褒めてくれたから、それで自信が持てたの。撮影では生で歌う場面が多くて、本当に良かったと感じているわ。」と語っている。

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監督のシアン・ヘダーは「本作で観客の心を動かすことが出来たら嬉しい。観る人が物語に身を委ねられる作品を作るのが目標なの。途中で笑ったり、心が洗われる瞬間があったり、泣いたりしてね。突き詰めれば、それはシンプルな家族の話だと思ってる。ただし登場人物はこれまでの映画であまり見ることのなかった人達よ。この作品の面白さは多くのシーンに”音がない”ってこと。登場人物は言葉を発することなく、手話で会話している。この視点を持ち帰ってほしいと思うわ。そうすれば手話で会話している人たちを通りで見かけた時などに、自分は入っていけない世界だという思い込みが消えるかもしれない。行動を観察する中で私自身が驚いたことだけど、ろう者と出会った聴者は恐怖を覚えるの。私たちは言葉だけではなく、体や表情など意思疎通の手段をたくさん持ってるけど、ろう者と出会った途端に対話の前に心を閉ざして、途方に暮れたりパニックになったりする。だから私は新たな視点が持てるように、これまでにない作品を作りたかったのよ。ろう者との対話に進んで参加して欲しいと思う。」と言い、「今作では耳の聴こえる役者に、ろう者をやらせる気はなかった。正直なところ、そういう考えには前から嫌気が差していたから。”映画にはスターが必要”という固定概念があるけど、今の時代はそう考える事自体が受け入れがたいわ。私は何より真実味のある物語を作りたかったの。せっかくろう者の役があるのに、経験豊富なろう者の役者を起用しないなんて考えられない。舞台で成功しているのにもったいないでしょ。おかげで現場にいる人間は皆、手話を覚えたわ。」と答えている。

 

作品としては、2014年のフランス語映画「エール!(フランス語版)」のリメイク作であり、「タルーラ 彼女たちの事情」などの女性監督シアン・ヘダーが手掛けたヒューマンドラマ。第94回アカデミー賞では「作品賞」「助演男優賞」「脚色賞」の3部門を受賞した上、父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優では初のオスカー受賞者となった。出演は「ゴーストランドの惨劇」のエミリア・ジョーンズ、「クリミナル・マインド8 FBI行動分析課」のトロイ・コッツァー、「デッドサイレンス」のマーリー・マトリンなど。使用されているマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの「You're All I Need To Get By」や、ジョニ・ミッチェルの「Both Sides, Now」などストーリーとして必然性のある選曲も素晴らしい上に、役者陣が本当に魅力的な作品だ。個人的には2022年度公開の中でベストな作品だった。

 

 

監督:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ
日本公開:2022年