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映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」ネタバレ感想&解説

オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観た。

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劇場公開時に観て、あまりの面白さに感心した記憶があり、今回は改めてブルーレイで再見。日本のライトノベル原作を、トム・クルーズ主演で映画化したSFアクション。いわゆるタイムループもので、割と近作ではダンカン・ジョーンズ監督の「ミッション:8ミニッツ」や細田守監督アニメ版「時をかける少女」など、名作も多い。

 

「ギタイ」という異生物との戦いに明け暮れる近未来。突然戦場に放り込まれた主人公は、死ぬ度に出撃の前日に戻るのだが、死ぬ前の記憶は残るので戦場でのスキルはどんどん向上し、戦闘能力が上がっていく。これは僕たちがゲームで感じている感覚と同じだろう。初見ではクリア出来なかったステージが、何度もゲームオーバーになりながら敵のパターンを覚える事で、上手になっていく。これをしっかり映画として演出していて、とにかく面白い。余り、今まで観た事のなかったタイプの映画だと思う。以下、ネタバレ全開の為、興味が出た方はぜひ映画を観る事をオススメしたい。

 

監督:ダグ・ライマン

日本公開:2014年

 

あらすじ

近未来。地球は謎の侵略者からの攻撃を受け、そのあまりの戦闘力の高さに人類は苦戦を強いられていた。だが、特殊部隊兵士のリタ・ヴラタスキー軍曹らを中心に、新たに開発したパワードスーツに身を包み、人類は善戦を始める。

 

そんなある日、軍隊の広報担当であるウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)は、将軍からエイリアンがフランスに最初に上陸する前線の戦場に同行し、メディア報道をしろと命じられる。非戦闘要員であったにも関わらず戦場に行く事を命令され、頑なに辞退するケイジ。だが、遂には逮捕され、気を失わされてしまう。

 

目が覚めると既に最前線基地におり、パワードスーツの操作もままならない状態で、ケイジは戦闘に駆り出される。結果、瀕死の重傷を負い、対人地雷で敵を爆発に巻き込み戦死するが、その際エイリアンの血液が、ケイジの体内に取り込まれる。

 

ケイジはそのまま死亡したはずだった。だが気付くと時間は出撃前に戻っており、記憶はそのままで目が覚める。ケイジはタイムループしていた。幾度となく出撃と戦闘、死を繰り返すうちに特殊部隊の軍人リタ・ヴラタスキと出会い、彼女も同様に過去タイムループ出来ていたことを知る。だが、輸血を受けてからは、タイムループから外れてしまったのだという。ケイジは死ぬ度にリタと出会い、自分がタイムリープ出来る事を説明して、2人協力しながら真の敵の位置を探る。

 

タイムリープする度に「死なないで済む」様々な可能性を探っていく2人。更に戦闘の訓練を積むことにより、どんどんと強くなっていく。そして、トランスポンダーと呼ばれる機器を使うことで、ボスエイリアンの位置を把握することができると知ったケイジとリタは、なんとか防衛省に潜入しトランスポンダーを手に入れる。

 

結果、ボスエイリアンはパリにいることを知ったが、その逃亡の最中で事故を起こし、逮捕されてしまう。病院で目覚めたケイジは、輸血をされてしまっており、ケイジもタイムループできなくなってしまう。リタはケイジとともに病院を逃亡し、協力を仰いで同行してくれる軍の部隊とともにパリへと向かう。

 

様々な戦闘とリタの犠牲の末、瀕死の重傷を負いながら、ボスエイリアンの元に辿りついたケイジは自分を犠牲にして手榴弾を爆発させ、敵を殲滅する。薄れゆく意識の中、ケイジにはエイリアンの血液が再び入り込んでいた。ケイジは死亡するが、タイムループする。気づくと、エイリアンの欧州侵略の前の朝にタイムループしていた。ところが、パリで謎の爆発があり、エイリアンが全滅したと軍が発表していた。軍事基地にいる戦友リタを訪れると、リタは初対面の様にケイジに接する。世界は救われ、リタも無事な状態にタイムリープ出来たケイジは安堵の笑顔を見せて、映画は終わる。

 

感想&解説

前半のタイムリープを繰り返す描写が、とても良い。しかも、あのトム・クルーズが様々なシチュエーションで死んでいく映画など観た事ないし、更にブラックコメディ的な要素が色濃い。エイリアンでは無く、軍の車に轢かれて死んでしまう主人公と、それを見ていた周りの人のリアクション含めて笑えるシーンがあるが、観客はトム・クルーズがすぐに復活する事が分かっているからこそ笑えるし、面白いシーンになっている。

 

また観客は、トム・クルーズが今、何回目のタイムリープ後で、この状態を何回体験しているのかが分からないし、どういう意図でトムがこのセリフを話しているか?を考えながら映画を観る事になるので、意外とロジカルなサスペンスとしても楽しめる。そして、なにより圧倒的に厳しい状況から、主人公が成長しながら徐々に目的を達成するストーリーに燃えるのだ。

 

不満もない事は無い。この映画の最大の不満点は、終盤の尻すぼみ感だろう。特にタイムリープ出来なくなる時点から、トム・クルーズがこの映画の中で死ななくなる事が逆に確定するので、一気に興味の持続力が落ちる。まるで消化試合の様に、エンディングまでの過程を観る事になり、いわゆる「普通のアクション映画」になってしまうのだ。

 

とはいえ、前半の面白さと映画全体のフレッシュ感を考えれば、今作はかなりの良作だと思う。映画史に残る傑作という類いの作品では無いが、特にSFアクションが好きな方は確実に観て損はないだろう。

採点:8.5(10点満点)

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