映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.417:「ガタカ」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は417本目。タイトルはアンドリュー・ニコル監督による、1998年日本公開作品「ガタカ」。特典映像としては、「NGシーン:薬物検査」「メイキング・ドキュメンタリー集」「未公開シーン集」で計55分が収録されている。メイキング・ドキュメンタリー集の「『ガタカ』の世界へようこそ」では、作監修のブラッドリー・クランプが「制作費が限られていたので、世界観の作り込みは既存の要素から選りすぐり、近未来的なものに昇華させたんだ。キャスティングで最初に決まったのは、『リアリティ・バイツ』を終えた頃のイーサンだった。相手役の候補はユマ・サーマンで二人とも共演を望んでいたから、好都合だったよ。そして最後にジュード・ロウが起用されたんだ。ジュードには初のアメリカ映画だったね。この映画で最も印象的な映像は、スーツ姿で宇宙へ向かう場面だろう。当初、映画会社は”スーツで宇宙に行くのはおかしい”と疑問視したんだ。いわゆる宇宙服を想定していたんだね。そこで監督はSF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』ワンシーンで対抗したんだ。”ここでもスーツ姿だ”とビデオを送ったら、もう何も言ってこなくなったよ。大金をかけて豪華なセットを作っても、作品が心に届かなければ無意味だ。アンドリュー・ニコル監督が好きな物語は、人間の意志の勝利や逆境を甘受せず闘う人の姿を描くものだが、本作では遺伝子と戦う物語だね。」と語っている。

f:id:teraniht:20230922101259j:imagef:id:teraniht:20230922101301j:image

主演のイーサン・ホークは「特別な作品になる予感があった。監督のアンドリュー・ニコルはこの作品が成功すると信じていたしね。彼は映像や隠喩を巧みに使う。現代では隠喩を取り入れる監督は少ないよ。脚本と監督を同じ人が兼ねる利点は役者が活きるように、脚本を変えられる点だ。先験的な内容だったものが、まさに現代の問題になった。この映画が訴えるのは個人の権利や自由であり、個性を排除するなということだからね。個性が人を特別にするんだ。同じテーマの小説などもあるが、本作は映画で描いたのが見事なんだよ。」と言い、ジュード・ロウは「最初は”イギリスの若造か”と全員に値踏みされている気分だったね。イーサン・ホークと僕は全力だった。そして演じているうちにセットが本当に僕らの部屋のように感じたんだ。主に舞台の経験しかなかった僕には、夢のようだったね。未熟な僕は、よくみんなの仕事ぶりを見学してたよ。脚本の印象と完成した映像がこれほどに重なる映画は他にない。編集で大きな変更が加えられていないんだ。スタイルも内容も際立った作品だよ。」と答えている。

 

作品としては、「TIME タイム」「ドローン・オブ・ウォー」のアンドリュー・ニコルの監督/脚本デビュー作で、彼のキャリアの中でも屈指のSFサスペンスだ。音楽を担当したのは「ピアノ・レッスン」などのマイケル・ナイマンで、1998年のゴールデングローブ賞では「最優秀映画音楽賞」にノミネートされている。出演はイーサン・ホークユマ・サーマンジュード・ロウなどで、イーサン・ホークユマ・サーマンは本作の出会いがきっかけで、結婚している(のちに離婚)。遺伝子操作で生まれた“適性者”が社会を支配する近未来で、自然出産で誕生したビンセントは“不適正者”として冷遇される人生を歩んでいたが、幼い頃の夢である宇宙飛行士に向かって”ある計画”を進めていた最中に、殺人事件が起こってしまう、というストーリーでSFとしての世界観と殺人ミステリーの要素がうまく調和した映画史に残る傑作だと思う。

 

 

監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホークユマ・サーマンジュード・ロウアラン・アーキンアーネスト・ボーグナイン
日本公開:1998年