映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.418:「クロッシング」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は418本目。タイトルはアントワン・フークア監督による、2010年日本公開作品「クロッシング」。特典映像としては、「オリジナル劇場予告編」「日本版劇場予告編」「未公開シーン集」「メイキング集」で計68分が収録されている。「メイキング集」では、アントワン・フークア監督が「市民を守るのが警察の仕事で、彼らは銃を携帯しているから問題のある人間では困るんだ。だがこの脚本ではプレッシャーに苦しみ、誤った判断を下す3人の警官が描かれる。それこそ報道で見る悪徳警官たちだ。ストレスを感じ、のしかかる重圧のせいで誤った道に進んでいく警官たちの顛末を観て欲しいね。重要な問題を描いた作品で、観客には単純に映画を楽しんでも欲しいが、警官の問題について話し合うきっかけになればいいと思う。キャストはタイプの違う俳優が集まってくれた。今作ではほとんど共演シーンはないけど、それぞれ個性があるんだ。彼らの共通点はより良い作品を作ろうとする姿勢で、毎日様々な演技を見せてくれたよ。彼らの自由な発想から面白い演技が生まれるんだ。」と語っている。

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またイーサン・ホークは「これはニューヨークの”善と悪”、”光と影”を描いた作品だ。ニュージャージーの警察で役作りさせてもらったよ。ブルックリンと同じ犯罪多発地域だ。そこで多くの警官と話し、彼らのプレッシャーや仕事の現状を知ったんだ。歳を重ねるにつれ、複雑な役を任されるようになってきたよ。才能のある監督の情熱的な姿勢は周りに影響を与える。アントワン・フークア監督は他の監督よりパワフルだし、『トレーニング・デイ』の時より監督として成長していたね。経験を積んだせいか前よりも指示が的確だったんだ。」と言い、ドン・チードルは「3人の警官のリアルな物語に強く心を惹かれたね。公営住宅でロケをしたから、リアルな雰囲気が映像に反映されるだろう。初めての監督だったけど、的確な指示を出し役者の意見も聞いてくれた。納得できないのに監督の言いなりになったり、脚本のままに演じるだけというのは難しいからね。」と語っている。またリチャード・ギアは「主人公は警官たちだが、シェイクスピア作品のように壮大なテーマを扱っている。自分にとって初めての領域に踏み込めそうな良い脚本だったね。僕が演じたエディは自分を偽っているが、危険と隣り合わせの生活に嫌気がさしている。彼は人柄が良すぎるんだ。」と答えている。

 

作品としては、「トレーニング デイ」や「イコライザー」シリーズ、「マグニフィセント・セブン」などのアントワン・フークアがメガホンを取った、クライムサスペンス。出演はリチャード・ギアドン・チードルイーサン・ホークウェズリー・スナイプスなどの豪華キャストだ。過去に功績もないまま引退を1週間後に控えたベテラン警官のエディ、病に侵されながらも双子を妊娠中の妻を持ち、貧困にあえぐ麻薬捜査課の刑事サル、ギャングの世界に浸り私生活を犠牲にしてきた覆面捜査官のタンゴの3名を主軸に、彼らの行き場のない苦悩と、葛藤を抱えながら生きる日々を描いている。アントワン・フークア作品の中ではやや世間的な知名度の低い作品かもしれないが、役者陣の演技が素晴らしい上に、ラストに向けて目が離せなくなる展開も含めて、もっと評価されても良い佳作だと思う。特に落ちぶれて孤独な警官を演じた、リチャード・ギアの演技が印象的だった。

 

 

監督:アントワン・フークア
出演:リチャード・ギアドン・チードルイーサン・ホークウェズリー・スナイプスエレン・バーキン
日本公開:2010年