映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は539本目。タイトルは今敏監督による、2002年日本公開作品「千年女優」。特典映像としては、「特報」「劇場予告編」「TVスポット」「デジタルギャラリー」が収録されている。本作を含めて「パーフェクト・ブルー」「東京ゴッドファーザー」「パプリカ」を公開し、46歳という若さで逝去した今敏監督の長編アニメーション2作目。第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門では、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」と同時に大賞を受賞した他、第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭では「最優秀アジア映画賞」を受賞するなど高評価を獲得した作品だ。キャラクターデザインを「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」「君たちはどう生きるか」などの本田雄、美術監督を「竜とそばかすの姫」の池信孝、音楽を「パプリカ」でもタッグを組んだ平沢進と錚々たるメンバーが担当しており、映画の世界で活躍した往年の名女優が時間や空間を超えて、様々な世界を乗り越えてゆく様を見事に描いている。
作品としては、かつて一世を風靡した大女優の藤原千代子が、それまで一切受けなかったインタビューの依頼に30年ぶりに応じたことによって、千代子のファンだった映画制作会社の立花源也とカメラマンの井田恭二は彼女の住む山荘を訪れる。立花がドキュメンタリー作品の為のインタビューの前に千代子に小さな箱を渡すと、そこには古びた小さな鍵が入っており、そこから千代子の記憶の扉が開いたかのように、彼女が生きてきた過去の記憶と”映画女優"としての幻想を遡っていく。そんな千代子には、若き日に離れ離れになった青年画家との再会という夢があったというストーリーだ。オリジナルは2002年公開だが、2024年には『パーフェクトブルー』に続いて今敏監督作品のリバイバル上映企画第2弾として劇場公開されており、今なお時代を越えて愛されている作品だろう。憧れの画家に再会するため、彼の行方を追う千代子の女優としての過去を描きながら物語は進むが、”恋愛悲哀”をベースにした湿っぽさはほとんど無い。むしろラストシーンでの千代子のセリフからも分かるとおり、構造としては拍子抜けするほど前向きでシンプルな作品になっているので、アニメーション作品としての演出と作画の面白さを堪能すべき作品かもしれない。