映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は552本目。タイトルはミッジ・コスティン監督による、2020年日本公開作品「ようこそ映画音響の世界へ」。特典映像は「オリジナル予告編」「日本版予告編」「音響技術者たちのインタビュー」「Kickstarter 1分クリップ映像」で、計73分が収録されている。「クリップ映像」では、ミックスダウン技術者のローラ・ハーシュバーグは「ハンス・ジマーの音楽は音響デザインの宝庫で、音楽と一体なの。あの『ダークナイト』のクレイジーなバイオリン音とかね。音が観客を誘導していくのよ。」と言い、ソフィア・コッポラ監督は「私は写真から映画の世界に入ったから、現実を投影したい。映画の登場人物は自分の気持ちを語るけど、現実の世界ではあまりしないことだから、言葉にせずにどう表現するか?、特に『ロスト・イン・トランスレーション』ではその事をよく考えたわ。私が面白いと思うのは、セリフの間の”話されない言葉”なの。」と語っている。また音響デザイナーのワイリー・ステイトマンは「映画製作者のタランティーノは、現代の映画に適した脚本の書き方が分かっている。『イングロリアス・バスターズ』の銃撃シーンでは15分近くセリフが続くんだ。セリフを巧妙に活用し、緊張感を持続させる。そしてヤマ場となる瞬間に”音”が使われる。ほんの30秒ほどの銃撃シーンだが、細かい描写と派手な銃撃音のコントラストが見事だね。彼の脚本の素晴らしさだよ。」と言い、環境音アーティストのアリソン・ムーアは「デヴィッド・フィンチャー監督は『ドラゴン・タトゥーの女』で主人公の靴の音にこだわりがあったから、12から14種類のブーツを試したわ。現実の音だけを重ね合わせていくと突如、素晴らしい音が完成することがあるの。」と答えている。
作品としては、ハリウッドの映画音響にスポットをあてたドキュメンタリー。1927年に初のトーキー映画「ジャズシンガー」が誕生して以来、常に進化を続けている映画音響をテーマにして、「キング・コング」「市民ケーン」「ROMA ローマ」など、新旧の名作映像をふんだんに使用し、映画音響の世界を紹介している。ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、デビッド・リンチ、クリストファー・ノーランらの監督陣や、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドたちが大勢出演し、彼らのインタビューが盛り込まれることにより、映画ファンなら見応えのあるドキュメンタリーになっている。
監督:ミッジ・コスティン
出演:ウォルター・マーチ、ベン・バート、ゲイリー・ライドストローム、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・リンチ
日本公開:2020年