映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.311:「恐怖と欲望」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は311本目。タイトルはスタンリー・キューブリック監督による、2013年日本公開、アメリカ公開1953年作品「恐怖と欲望」。特典映像としては特に無しだが、柳下毅一郎氏らによる作品解説のリーフレットが封入されている。スタンリー・キューブリック監督の幻の劇場映画デビュー作だったが、監督本人が本作を「アマチュアの仕事」と唾棄し、プリントをすべて買占め封印してしまった作品だ。その為かなり長い時期、「恐怖と欲望」は未公開だったのだが、2012年にアメリカで行われた「ニュー・ディレクター/ニュー・フィルムズ」という新人監督に焦点を当てたイベントの中で上映され、その後テレビ放送されたらしい。その流れを受けて、日本では2013年5月に全国劇場にて公開されている。限られた人員や資金の中で製作されたインディーズ作品だし、出演者やスタッフも含めてほとんど映画制作の経験がなかったらしいが、その割にはキューブリックらしい荒々しい才気に溢れた佳作だと思う。公開当時はニューヨークの批評家たちからも、かなりの高評価を得たようだ。

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ストーリーとしては、どこかの国で起こっている戦場が舞台。爆撃を受け敵地の森へ墜落した4人の兵士たちが、自分たちの陣地に戻るため、河にイカダを浮かべて脱出することを計画するが、その対岸に敵軍の本拠地を発見する。軍曹は千載一遇のチャンスとばかり、奇襲をかけることを提案するが、中尉に反対されてしまう。翌日、たまたま敵陣の女性に姿を見られた兵士4人は彼女をベルトで木に縛り拘束するが、見張りを指示された若手兵士が女性の気を惹こうと、ベルトを緩めた瞬間に逃げ出され、とっさに射殺してしまう、という流れだ。キューブリックは元カメラマンだけあって、構図の面白いショットが多々あり、顔のクローズアップが多用されたりと、62分という短い上映時間ながらも映像的に見応えのある作品になっている。なによりキューブリックの今後の作品にも続くテーマである、”人間の狂気”がデビュー作からしっかりと刻印されているのも興味深い。個人的には、58年日本公開のカーク・ダグラス主演「突撃」よりも、このデビュー作の方が好きなくらいだ。

 


監督:スタンリー・キューブリック

出演:ケネス・ハープ、フランク・シルヴェラ、ポール・マザースキー、スティーヴン・コイト、ヴァージニア・リース

日本公開:2013年(1953年製作)