映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は545本目。タイトルはアラン・パーカー監督による、1978年日本公開作品「ミッドナイト・エクスプレス」。特典映像としては、「プロデューサーらによる製作秘話」「監督と関係者らによる製作秘話」「『ミッドナイト・エクスプレス』を振り返って」「劇場公開当時のメイキング・ドキュメンタリー」で、約81分が収録されている。「監督と関係者らによる製作秘話」では、アラン・パーカー監督が「私が監督する作品の脚本はそれまでほとんど自分で書いていてそれが習慣になっていたんだが、本作はオリバー・ストーンを紹介された。当時、彼はいい脚本をいくつか書いていたが、まだ無名だったんだ。正直言うと彼には初稿だけ書かせて、私が残りの脚本を書き上げるつもりでいたんだがプロデューサーたちと初稿を読み終えて、思わず”素晴らしい”と言ったよ。初稿は原作に忠実に数カ所の刑務所が舞台だったが、我々製作陣や映画会社が要求して加えた変更は、”1つの刑務所”にすることだった。だから第二稿では主要キャラクターが、全員同じ刑務所にいる設定にしたんだよ。キャスティングは最初、主演リチャード・ギアを希望していたが、”セリフを読んでみて”と言ったら断られた。当時の名声を得た若手俳優はそういうものだったんだ。主演のブラッド・デイビスは傷ついた動物のような弱さがあったし、この役をどうしても演じたがっていたね。役を熱望されると監督としては嬉しいんだよ。この映画は旧知の仲間と仕事が出来てラッキーだった。ほとんどのクルーは私が映画を撮り始める前、一緒にCMを作っていた頃からの付き合いで『ダウンタウン物語』のスタッフが揃ったんだ。その後も多くの映画で一緒に組んだよ。ハードな仕事には信頼できる仲間が不可欠だった。重いテーマだったし、刑務所のシーンの撮影は蒸し暑くて大変だった。」と語っている。
脚本のオリバー・ストーンは「ニューヨークのホテルで原作者のビリー・ヘイズに数日間話を聞いた。かなり突っ込んだ質問をしたよ。当時彼は本を書き上げたか書いてる最中で、私もこの脚本を書くのに張り切っていた。初稿は2時間の映画を観るようなつもりで、勢いに乗って書くべきだと思っているんだ。私は目標通り1か月半で初稿を書き上げたが、駆け出しの脚本家だったから監督は手厳しかったね。脚本はエネルギーが溢れていて、当時としては革新的で荒々しく赤裸々な怒りも描いたんだ。不当な体制に対する怒りだよ。それは世界の至る所に存在するが、当時の私にはトルコがその代表格に映ったんだ。」と答えている。
作品としては、「エンゼル・ハート」「ミシシッピー・バーニング」のアラン・パーカー監督による社会派ドラマであり、実話を元に映画監督のオリバー・ストーンが脚本を担当、アカデミー賞では「脚色賞」「作曲賞」を受賞している。(ノミネートは「作品賞」「監督賞」「助演男優賞」「編集賞」の4部門)アメリカ人旅行者のビリーはトルコにて麻薬所持と密輸の罪で捕まり、現地の過酷な刑務所へ4年間の投獄を宣告される。そしてビリーは何とか耐え抜いて釈放の日を心待ちにしていたが、アメリカとトルコとの国際情勢から裁判のやり直しが決まり、無期懲役となってしまう。その事からビリーは仲間たちと脱獄を決意するのだった、というストーリーだ。とにかくトルコの刑務所描写が強烈で(後年、脚本のオリバー・ストーンも”盛り過ぎ”を謝罪している位だ)、主人公の自業自得感もあって今の視点で観ると問題が多い作品だとは思うが、「刑務所脱獄もの」としては古典的な風格のある作品だろう。特にジョン・ハートの好演が涙を誘う名作だ。
監督:アラン・パーカー
出演:ブラッド・デイビス、アイリーン・ミラクル、ランディ・クェイド、ジョン・ハート、ボー・ホプキンス
日本公開:1978年