映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は559本目。タイトルはキム・ヨンフン監督による、2021年日本公開作品「藁にもすがる獣たち」。特典映像は「日本版予告篇」「日本版特報」「メイキング映像」「インタビュー(チョン・ドヨン/チョン・ウソン/キム・ヨンフン監督)」で、計13分が収録されている。「インタビュー」では、キム・ヨンフン監督が「この映画は窮地の人物たちが藁にもすがる思いで、最悪の選択をする物語です。特にチョン・ドヨンさんは本当にすごい女優だと思いましたね。彼女は自他ともに認める実力派俳優で、それを誰も否定できません。撮影現場では演技を観ていると鳥肌が立つほどでした。撮影に入って、ありきたりな場面になりそうだと思ったところでも彼女が演じてくれると変わって、特別なシーンになるんです。1つのセリフが与える印象も変わり、しぐさや表情、動きのすべてから女優になるべくして生まれた人だと感じました。一緒に撮影する中で何度も驚きましたし、感心しました。」と言い、「チョン・ウソンさんは、これまで演じた役柄じゃなくて平凡な人たちが登場する作品に関心があるようでした。私もこれまでのイメージと違う役柄を彼が演じれば面白くなると思いました。いい作品が作れると予想できましたね。実際に会って話してみると、とても自然体でユーモアに富んだ方でしたし気遣いも忘れない人でしたから、そういう部分がこの映画で演じたキャラクターそのものだと感じました。」と語っている。
さらに本作の見所については、「チョン・ドヨンさんに伝えた言葉で、”この映画はオーケストラだ”というものがあります。この作品は俳優たちの演技の調和を堪能する作品なんです。その点がこの映画の最も大きな魅力だと思います。キャラクターたちが”獣”になる過程を段階的に見せたくなかったので、見せ方にはこだわりました。特にカメラの位置には神経を使いました。観察しているような雰囲気を出すために、少し下がった場所から撮るようにしました。彼らが変わっていく姿を、遠くから見ているような気分になるように工夫したんです。」と答えている。
作品としては、日本人作家・曽根圭介の同名小説を韓国で映画化したクライムサスペンスで、10億ウォンの大金を巡って人間が”獣”のように争う様子を描いている。出演は「シークレット・サンシャイン」「非常宣言」のチョン・ドヨン、「グッド・バッド・ウィアード」「アシュラ」のチョン・ウソン、「ボストン1947」のペ・ソンウ、「ソウルの春」のチョン・マンシクなど。本作が長編デビュー作となるキム・ヨンフンがメガホンを取り、原作の脚本化や映像化も含めて高いクオリティの作品になっている。ラストの展開など若干ご都合主義を感じるが、それでも先の読めないクライムサスペンスとして十分に面白い快作だった。
監督:キム・ヨンフン
出演:チョン・ドヨン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、チョン・マンシク
日本公開:2021年