映画好きが購入したブルーレイの映画情報をブログに残していく記事で、今回は586本目。タイトルはルキーノ・ヴィスコンティ監督による、1964年日本公開「山猫」。特典映像は特に無し。「イノセント」「若者のすべて」「ベニスに死す」など有が名なイタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティの代表作で、第16回カンヌ国際映画祭では最高賞に輝いている。日本では1964年に英語版が初公開されているが、その後イタリア語版や「イタリア語・完全復元版」などを経て、2019年には「4K修復版」が35ミリプリントとデジタルで劇場上映された。「家族の肖像」「合衆国最後の日」「カサンドラ・クロス」などの名優バート・ランカスターと、「太陽がいっぱい」「太陽はひとりぼっち」「地下室のメロディー」などのアラン・ドロンが共演していることでも有名だが、その他の出演は「8 1/2」のクラウディア・カルディナーレ、「夕陽の用心棒」のジュリアーノ・ジェンマなど。


作品としては、統一戦争に揺れる1860年のイタリアで、シチリア島を長年に渡って統治してきた名門公爵家に住むサリーナ公爵が、貴族社会の終焉を感じながらも優雅な暮らしを続ける姿と、公爵の甥タンクレディと新興ブルジョワジーの娘アンジェリカとの恋を平行して描くヒューマンドラマだ。とにかく一時間にも亘る舞踏会シーンを筆頭に美しい映像に圧倒されるが、貴族の優美な生活を描き切るためには必要なセットや衣装、小道具だったのだろう。バート・ランカスター演じるサリーナ公爵が、段々と凋落していく老いた貴族を演じているが、ここには生きていく上での”諦念”が込められている。そしてそれと対極をなすのが、当時27歳の美しくも若きタンクレディを演じるアラン・ドロンの生命力だ。上映時間186分の超大作だが、バート・ランカスターとクローディア・クロディナーレにおけるワルツのダンスシーンを筆頭に、どのシーンを切り取っても絵になる見応えのある傑作だろう。
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレ、パオロ・ストッパ
日本公開:1964年