映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「悪と仮面のルール」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

悪と仮面のルール」を観た。

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監督:中村哲平
出演:玉木宏新木優子吉沢亮、‪中村達也
日本公開:2018年

 

芥川賞作家の中村文則による同名サスペンス小説を映画化。主演は玉木宏。本作の英訳版 (EVIL AND THE MASK)は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の2013年ベストミステリーの10作品に選ばれているそうだ。ちなみに原作は未読。僕は完全にタイトルとあらすじだけで、サスペンス映画だと思って鑑賞してしまったが、実はほぼ恋愛映画だった。しかも、全く感情移入が出来ないキャラクターと設定で、久しぶりにキツい二時間であった。今回はかなり辛口感想なのと、ネタバレ全開なのでご注意を。

 

あらすじ

財閥の久喜家当主である父に、「純粋な悪=邪」となることだけを望まれ育てられてきた少年の文宏は、ある日思いを寄せる久喜家の養女である香織(新木優子)が、屋敷の中で父に汚されようとしている現場を目撃してしまう。彼女に好意を寄せていた文宏は、香織を守るため父を殺害するが、自分が次第に憎悪する父に似ていくことに気付き、香織の前から姿を消す。成長して整形した文宏は、新谷(玉木宏)という別人に成り済まし、香織をひそかに見守るが、様々な悪の手が成長した香織に迫っていた。

 

感想&解説

まずタイトルと内容のミスマッチが酷い。正直、純粋な悪として育てられたはずの玉木宏演じる「新谷」というキャラクターが、全く悪として描かれていないので、肩すかしを喰らう。やっている事は、自分が殺した父親の遺した莫大な遺産を使って、探偵を雇い、少年時代に恋心を抱いていた新木優子演じる、「香織」のストーキングをするだけ。そして、彼女の周りに群がるヤク中や狂った兄から彼女を守る為に、右往左往するというのが、本作の大まかなストーリーである。

 

新谷の行動が「香織を守る事」という目的で徹底されているので、いくら劇中で人を殺そうが、彼らは殺されても仕方ない悪役として描かれている為、新谷は「悪」には見えない。ただし、その殺害方法は「背中を押して、部屋に監禁する」「麻薬中毒者のクスリの中に毒物を混入する」という、地味な上に卑怯な方法である為、「アンチヒーロー感」もなくキャラクターとしても中途半端だ。

 

また何故、彼の父親がそんな歪んだ教育を施したのか?も、この映画を観る限り全く解らないし、父に養女として育てられるが虐待され、トラウマになってもおかしくない体験をしているはずの香織も、高級クラブであまり悲壮感なく純粋に生きていて、総じて人物描写もペラペラである。本作唯一の魅力的なキャラになりそうな、‪中村達也‬演じる「久喜幹彦」という久喜家の二男も、「邪」として育てられたという新谷に「香織を連れて来い。そして俺の仲間になれ」と執拗に迫るが、観客は新谷がそんな香織を危険にさらす様なマネをするはずが無い事は分かりきっている為、何のスリルも無いシーンになっている。逆に香織が幹彦に捕まっていて、脅迫されているなら分かるが、ここで新谷の葛藤する仕掛けが一切ないのである。

 

かつ、フリーターのメガネ男との格闘にも負けそうになるほど肉体的にも弱く、悪にも善にもなり切れていない、言い換えれば全く魅力的ではない新谷を仲間にするメリットが観客に全く伝わらない為、幹彦の行動も謎に見える。幹彦の目的は「大規模なテロにより、日本国民の価値観や常識を崩壊させ、全てを無に還す」という、クリストファー・ノーラン監督の名作「‪ダークナイト‬」のジョーカーフォロワーみたいな目的らしいが、恐らく新谷は何の役にも立たないだろう。幹彦が一人で実行に移した方がいい。ただしこの目的が達成できる程、久喜幹彦やその組織自身も優秀には見えない為、彼らの言っている事はただの中二病の妄想に見え、現実感も切迫感も無い。凶暴な男である事は伝わってくるが、いつも飲んだくれていて、大きな組織を動かして、大規模テロの綿密な計画を立てられる人物には見えないからだ。

 

不満はまだまだ続く。劇中、柄本明演じる刑事が新谷の元を訪れて、再三、元恋人の命日なのに墓参りにも行かないのか?の様な事を言う。ここから新谷はこの元恋人の死に何か関与していて、刑事が未だにその事件を追っていること、新谷に疑惑を持っていることなどが分かるのだが、なんと最後までこの元恋人の事件は、この映画のストーリーの中では言及されない。本当に恋人の死に関連していて殺しているのなら、それはどんな理由なのか?何があったのか?は、この新谷というキャラクター造形の上で絶対に必要な情報だろう。観客にとって過去にどの位、彼が「邪」に染まっていたのか?の重要な情報だからである。むしろ、ここに言及しないのならこのエピソードは削除した方がいい。

 

更にこの刑事は新谷を久しぶりに見て、「なにか雰囲気が変わりましたね」という様な事を言う。はっきり顔が変わったと言わないのだ。これは幹彦と会った時も言われないので、ここで更に観客は混乱する。僕たちは、「大人で整形前」の新谷の顔を知らない。劇中で描かれないからだ。よって、このセリフにより「もしかして、整形後もそれほど顔が変わっていないのか?」という妙なノイズが生じてくる。その割には、香織と再会した際にも彼女は全く新谷に気付かない。この辺りのセリフと演出がまったく謎なのである。本作のタイトルにもなっている「仮面」=「整形」があまり設定上、上手く活かされていないと感じた。

 

また、この映画はとにかくセリフが多い。逆に言えば、全ての感情やメッセージをセリフでのみ説明してしまう。「何故、人は生きるのか?」という様な文学的な問いかけが、キャラクターの口から発せられ、それについて彼らは語り合う。これは小説であれば違和感がないのかもしれない。だが、映画という映像演出の中でこれをやられると正直キツい。映画は映像表現だ。もっとセリフに頼らない演出で、キャラクターの心情を観せてくれないと、小説を読んだ方が良いという結論になってしまう。

 

ラストシーン、幼馴染の「久喜文宏」としての正体を隠したまま、新谷と香織が車の中で語り合う。二人のバストアップのショットが切り返されながらセリフを言うだけのシーン。役者の演技によってなんとか観ていられるが、安易に感動を誘うようなウェットに富んだBGMをバックに、十代の頃の二人がどれだけお互いを必要としていたかが涙ながらに語られる。新谷がボロボロ泣きながら香織に対しての感謝を語るシーンと突然の告白シーンを見ながら、さすがにこれは香織が途中で新谷の正体に気付くのだろうと思っていると、なんと最後まで彼女はそれに気付かない。あれほどお互いの事を必要として、いつも一緒にいたはずの二人なのに、「整形して顔が変わった事」がその「過去の絆」を越えられないのだ。

 

そしてそのまま香織を車から降ろすと、「これからどうするんですか?」と聞く香織に、新谷は満足そうな顔で「これからも生きていきます」と答えて、車が走り出すところで映画は終わる。彼女を脅かす存在が居なくなったから、もう新谷は満足という事だろうか。では、彼は何がきっかけで顔まで変えて彼女を守ろうと思い立ったのだろう。元彼女と付き合ってた頃は、そうは思わなかったのだろうか。とにかく観ている間、頭の中は「?」だらけなのである。

 

もしかすると、原作を読めば上記の不満点はある程度解決するのかもしれない。だが、これは1,800円払って鑑賞した単体の映画作品である。その割に本作はあまりに脚本と演出が酷いと言わざるを得ない。また動機やキャラクター設定に必要な説明シーンが、圧倒的に足りてない為、各キャラクターの行動や心情がまったく理解できない。途中で登場する「娼婦役」も取って付けたような役割で、もっと香織との比較対象として描きこめば面白くなったのに、など登場キャラクターの描き込みも薄い。個人的な好みと違う作品という事もあり、かなり辛口になってしまったが、それでも近作の日本映画のレベルの高さからすると、本作はやはり厳しい出来だと思う。逆に、評価の高い原作の出来が気になるほどだ。少なくとも、「悪と仮面のルール」の映画版は全くオススメ出来ない一作だった。

「キングスマン:ゴールデン・サークル」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

キングスマン:ゴールデン・サークル」を観た。

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監督:マシュー・ヴォーン
出演:コリン・ファースジュリアン・ムーアタロン・エガートン
日本公開:2018年

 

2018年最初の映画館での鑑賞作品は「キングスマン:ゴールデン・サークル」である。前作「キングスマン」は2015年に公開されるや世界中で大ヒットを博し「007」や「ミッション・インポッシブル」とは違う、新たなスパイムービーの一派として、批評家と観客の両方に受け入れられた作品だった様に思う。監督は「キック・アス」のマシュー・ヴォーン。前作の個人的な評価としては、かなり不謹慎な上に、人命軽視のブラックユーモアが強い作風の為、正直あまりノレなかったのだが、さて今作はどうだったか?今回もネタバレを含むので注意を。

 

あらすじ

イギリスのスパイ機関「キングスマン」の拠点が、麻薬組織のボスであるポピー(ジュリアン・ムーア)率いる「ゴールデン・サークル」という組織の攻撃により壊滅。残されたのは、前作で一流のエージェントに成長した主人公エグジー(タロン・エガートン)と、教官兼メカ担当のマーリン(マーク・ストロング)のみとなってしまう。敵を追い、同盟を結ぶスパイ機関「ステイツマン」の協力を得るためアメリカに向かう二人。しかし、表ではバーボン・ウイスキーの蒸留所と最高級のバーボンを提供する店を経営しているステイツマンは、英国文化に強い影響を受けたキングスマンと対照的に、極端にアメリカンなチームだった。更に、なんとステイツマンには死んだはずのハリー(コリン・ファース)が記憶を失って保護されていた。ハリーの記憶は戻るのか?そして、彼らは協力しあいながらゴールデン・サークルが企む麻薬にまつわる陰謀を阻止することができるのか?

 

感想&解説

一作目から引き続き、おバカアクション映画だと言っていいだろう。しかも、劇中のアメリカ大統領の下す決断と結果が示す様に、相変わらずかなり悪趣味な方向に振り切れている。ちなみに今作のアメリカ大統領が取る行動は、人道に反している上に思慮に欠ける。なんと、本作の悪役ジュリアン・ムーア演じる麻薬王ポピーがドラッグに毒を入れるのだが、そのせいで一斉に死んで行く国民を全て檻に入れて、見殺しにするという判断を下すのである。アメリカ内のドラッグ中毒者を一掃出来て良いという口実だが、これは痛烈な現アメリカ大統領への皮肉と取っていいだろう。

 

更に言えば、本作のドラッグに対しての姿勢が、緩めなのも気になる。政府関係者から、ステイツマンのメンバーから主人公の恋人、友達に至るまで、いわゆる味方サイドのあらゆるキャラが、薬物摂取しているのだ。それらを救うというのがストーリーの骨格なのだが、麻薬中毒者に恋人を殺された、ステイツマンの裏切りキャラ「ウィスキー」がラストに言うセリフは、ある意味で同情の余地があるが、あっさり「紳士達」によってミンチにされる。イギリス人監督であるマシュー・ヴォーンが、かなりアイロニカルな表現をするのは前作から引き続きではあるが、このシリーズでのセリフ「マナーによって人間は作られる」とはある意味、真逆の作風と言えるだろう。

 

特にLGBTを公言しているエルトン・ジョンの本作での扱いには、本当にびっくりした。登場シーンには確かに多くの見せ場があるが、全体的には捕虜としての非常に軽んじられたキャラクターなのである。しかも同性愛者としてのキャラクター、エルトン・ジョン本人役としてなので驚くばかりだ。ハル・ベリー演じる黒人女性が、最後に「ステイツマン」のエージェントに登用される流れや、友人キャラの「もう麻薬は止める」などのセリフを入れるなどの倫理的な目配せはあるが、あまりにも作品全体から立ち上がってくる、この「悪趣味感」をどう感じるかで、本作の評価は分かれるだろう。ただし、それでも前作のクラシックの名曲「威風堂々」を流しながらの「頭部爆破シーン」の不謹慎さに比べれば、個人的にはかなりマイルドにはなっているとは感じた。

 

また、前作で死んだはずのコリン・ファース演じるハリーが、実は死んでいませんでしたという流れに、今作でどの様な説明を入れるのか楽しみにしていたが、これがもはや呆れるを通り越して、笑うしかない設定を入れてきた。頭に銃弾を撃ち込まれても、特殊なキットで処置すれば生き返れるというのだ。この「蘇生方法」がアリになれば、キングスマンシリーズで誰かが死んだように見えても、「実は生きていました」が全て通用してしまう。そういう意味で本シリーズはもはやスパイ映画ではなく、科学考証のないハチャメチャB級SF映画に近づいたのではないかと思う。

 

これらのノリに「娯楽映画なんだから」と、身を任せられれば、この作品は一級のアクション映画だ。冒頭のプリンスの名曲「Let's Go Crazy」をバックに繰り広げられる、荒唐無稽なカーアクションから、ラストのコリン・ファースタロン・エガートンコンビの銃撃戦まで、マシュー・ヴォーン監督得意のぐるぐる対象物を回り込むカメラワークを含めて、娯楽作品としてしっかり成立させている。ジュリアン・ムーアの怪演や、チャニング・テイタムの無駄遣い&シュールダンスも含めて、現代版「オースティン・パワーズ」と考えれば、それも楽しめるだろう。

 

おそらく第三弾も作られるであろう本シリーズは、本作「ゴールデンサークル」ではっきりと特徴が確立されたと思う。このポップな不謹慎感と、最高のアクションシーンで構成された、マシュー・ヴォーン監督の世界観にノレる方限定で本作はオススメだ。最後に映画が終わった後は、しばらくハンバーガーが食べたくなくなると思うので、その予定がある方は、映画を観る前に食べておく事を強く推奨しておきたい。

2017年劇場で観た映画ランキング ベスト20を発表!(10位〜1位)

前回に引き続き、2017年に劇場で観た新作のTOP20を発表!今回はいよいよTOP10からの発表である。先日公開になった「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」も、なんとかランクイン。あくまで個人的な主観の順位なので、映画を選ぶ時の参考になれば、嬉しいです。今年も本ブログを読んで頂き、ありがとうございました!

 

10位 スター・ウォーズ/最後のジェダイ

スター・ウォーズ第8作目。映画としての完成度とは別に、人生を共にしてきたルーク・スカイウォーカー最後の物語として、この順位。色んな感情が交錯して、観たあとの疲労感が半端なかったのが、この作品の思い出。

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9位 IT/イット "それ"が見えたら、終わり。

スティーブン・キング原作のホラー小説を映画化した作品。悪夢的であり、かつ幻想的な画造りと、少年たちの成長青春ものとしての完成度の高い脚本が融合した傑作ホラー。

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8位 新感染 ファイナル・エクスプレス

韓国産ゾンビパニック映画の傑作。まさか、ゾンビ映画でここまで泣かされるとは思わなかった。シナリオの完成度もさることながらエンディングの切れ味など、ジャンル映画の枠に囚われない一級品。

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7位 女神の見えざる手

ジェシカ・チャスティン主演のサスペンス。脚本の魅力でグイグイと観客を引っ張り、最後まで飽きさせない手腕は見事。ストーリーの完成度で、観終わった後に単純に面白かったと思える稀有な作品。

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6位 三度目の殺人

今回選んだ20本では唯一の邦画作品。この作品で、一気に是枝裕和監督のファンになってしまった。法廷サスペンスだがストーリーの解釈に幅があり、観客に委ねる作りになっている。とても豊かな作品。

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5位 マンチェスター・バイ・ザ・シー

第89回アカデミー主演男優賞脚本賞のダブル受賞作品。ものすごく淡白なストーリーテリングながら、観た後に深い感動が残る。ケイシー・アフレックミシェル・ウィリアムズ共に出演者が素晴らしい。

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4位 ブレードランナー2049

あのブレードランナーの続編が遂に、鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手により公開された。蓋を開けたら、とんでもなくアートで哲学的な、あの「ブレードランナー」の続編として納得の一作に仕上がっていたと思う。

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3位 マリアンヌ

ロバート・ゼメキス監督作品。ブラッド・ピットマリオン・コティヤール主演のスター映画だが、巧みな映像演出の連続で、映画的な快感に溢れた傑作。古き良き映画の香りがするが、それだけに終わらないゼメキス監督の大復活作。

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2位 哭声/コクソン

ナ・ホンジン監督の「哀しき獣」に続く三作目。この監督、本当にとてつもない才能だと思う。どんな映画にも似ていないというだけでなく、予測がつかないストーリーに冒頭から引き込まれていく。今年観た韓国映画では、個人的ぶっちぎりのNo.1。

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1位 ラ・ラ・ランド

これはもう偏愛と言って良い。世間の評価は置いておいて、自分の気持ちに嘘はつけない。素晴らしい音楽が鳴り響き、躍動感あるダンスとカメラワークで心を掴まれるオープニングから、あのエンディングのカウントまで、この作品の魔法は醒めない。僕はこの映画が好きだ。

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20位~11位のランキングはこちら↓

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2017年劇場で観た映画ランキング ベスト20を発表!(20位〜11位)

本ブログも二年目に突入。2017年も様々な素晴らしい作品が公開になった。今回も2017年に映画館で観た新作だけに絞って、個人的なベスト20を発表!ちなみに洋画が多いのは、好みの問題。すいません。ちなみに20位にランクインしなかった次点作品は「ネオン・デーモン」。観る人を確実に選ぶが、アートホラーとして観る価値はあるので是非。今回は20位から11位までを発表!

 

20位 ベイビー・ドライバー

ストーリーの粗は置いておいて、とにかく編集のリズムと音楽で持って行かれる作品。エドガー・ライト監督のポップな資質が、これ以上なく発揮されている。観た後、サントラが欲しくなる一作。

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19位 お嬢さん

超・個性派作品。パク・チャヌク監督の韓国産ド変態ムービーである。ただ、ストーリーの起伏も含めて非常にレベルが高く、カタコト日本語の面白さも含めて最高に楽しめる一本。

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18位 沈黙-サイレンス-

遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督の文芸作品。恐ろしく高い水準で、あの豊かな名作小説を映画化しているのは、素直に脱帽。出演している日本人キャストも全員素晴らしかった。

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17位 雨の日は会えない 晴れの日は君を想う

ジェイク・ギレンホール主演のヒューマンドラマ。とにかく独特の作品だが、観終わった後、しばらくこの映画の事が頭から離れない。観る人によって解釈の幅がある、優れた脚本の作品。

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16位 ノクターナル・アニマルズ

こちらもジェイク・ギレンホール主演作品。エイミー・アダムスの共演も良かった。トム・フォード監督の感性と美意識が炸裂した傑作ダークサスペンス。

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15位 ジョン・ウィック:チャプター2

キアヌ・リーブスのリベンジ・アクションムービー。前作も良かったが、二作目の本作は、アクションシーンから世界観まで最高!「マトリックス」以降のキアヌ主演作では個人的にNo.1。

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14位 ムーンライト

第89回アカデミー作品賞を受賞した、LGBTをテーマにした作品。黒人だけの俳優陣、監督、脚本家での受賞は初との事で、今年のアメリカ大統領選挙以降の影響を考えると、2017年を象徴する作品。

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13位 20センチュリー・ウーマン

マイク・ミルズ監督作品。何か劇的なストーリーの起伏がある訳ではないが、何故か大好きな作品。主演のアネット・ベニングエル・ファニングが忘れがたい印象を残し、たまにあのキャラクター達に会いたくなる。

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12位 アトミック・ブロンド

シャーリーズ・セロン主演のスパイアクション。近年のシャーリーズ・セロンの覚悟は凄すぎる。本作におけるアクションシーンの完成度は只事ではないし、映画としてのセンスの良さも含めて、本年絶対にスルーしてはいけない作品。

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11位 ドリーム

映画館の混雑ぶりが著していたように、誰が観ても楽しめて、作品のメッセージも素晴らしい傑作。60年代のNASAを舞台に、黒人女性の奮闘を描く。働く大人全員にオススメ!あとファレル・ウィリアムスのサントラも最高!

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 10位~1位のランキングはこちら!↓

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「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を観た。

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監督:ライアン・ジョンソン
出演:デイジー・リドリージョン・ボイエガマーク・ハミル、アダム・ドライバー
日本公開:2017年

 

2017年最後の大作「スター・ウォーズ」シリーズ8作目の「最後のジェダイ」が、遂に公開となった。ハン・ソロが死ぬという驚きの展開があった、前作「フォースの覚醒」から2年。昨年の「ローグワン」というスピンオフ作品を挟みつつ、いよいよ真打登場である。当然だが、完全に「フォースの覚醒」からの続きモノなので、少なくとも前作は必須、出来ればエピソード4〜6は観てからの鑑賞をオススメする。もちろん全作品観ているとベストだが。今回は完全ネタバレを含むので、ご注意を。

 

感想&解説

少なくても4回は泣いたと思う。あのオープニングのファンファーレからの、ポー・ダメロンが乗るXウィングを観た瞬間、「ああ、いまスターウォーズの新作を観ているのだ」という喜びに目頭が熱くなる。これは、もはや映画の完成度うんぬんを越えた、小学生からEP4を繰り返し観ていた自分という、ノスタルジー込みの評価だがそれは仕方ない。ヨーダのEP5のパペット時代を意識した動きや、R2-D2がルークに見せるレイアのホログラム、そしてレイアとルークの再開シーン。30年以上、スターウォーズが好きな僕にとっては過去作品の場面がいちいちオーバーラップして、その度にスクリーンが滲むのである。

 

正直、シナリオはかなりご都合主義だし、レジスタンスの行き当たりばったりの作戦も酷い。更に、今回フォースの力が「何でもありの魔法」になってしまっている気がして、特にレイアの宇宙空間からの復活シーンなどは正直引いた。レイとカイロ・レンが空間をまたいで突然会話し出すシーンや、ルークの霊体での戦闘シーンなど、過去のスターウォーズシリーズとの整合性を考えると謎の設定も登場し、いちいち気持ちがかき乱される。

 

レイの両親の件など、本作の大きな謎だったのに「名もなき、ただの人でした」では、レイがあれだけ強いフォースを持っている事が説明出来ないし、ストーリーがツイストを意識し過ぎていて、ルークやポーの事を観客が疑い出す様な演出も、確かに宣伝コピーの「誰も観たことのない、衝撃のスター・ウォーズ」の通り斬新ではあるが、正直「これじゃない感」が強い。おまけにファースト・オーダーの総裁である、スノークも結局何者だったのかがよく分からず仕舞いである。

 

ギャグももはやシュールの域に達しており、特にルークがレイを修業中にからかうシーンや、カイロ・レンの半裸に、思わず「何か着るものないの?」と動揺するレイ、「(行動の)全てが読めている」と繰り返し言わせた後、カイロ・レンのフォースによって、スノークまさかの真っ二つシーンなど、スターウォーズぽくないシーンの数々に、大きな違和感が残る。ベニチオ・デル・トロの登場も完全に世界観から浮き上がってしまっているし、相変わらず、期待の新キャラだったキャプテン・ファズマには見せ場が無い。

 

だが、こういった諸々の不満もラストカットを観て、その全てが吹き飛んでしまった。ルークが逝き、彼のフードだけが残るジェダイが死んだという演出の後、惑星カントニカの少年が異惑星の言葉で何かを話しているシーンになる。彼の話している単語から、ルーク・スカイウォーカージェダイが宇宙を救ったというストーリーを、他の少年たちに嬉々として説明しているようだが、奴隷である彼らはすぐにまた仕事に戻される。しぶしぶ仕事に戻る少年。彼はふと宙を見上げる。その目線の先には広大な宇宙があり、星が瞬いている。すると、彼はそのホウキをフォースの力で引き寄せて、構えてみせる。そう、まるでライト・セーバーのように。そのシーンで、僕は涙腺決壊してしまった。

 

EP4でルークが、故郷の惑星タトゥイーンに居ながら「まだ何者でもない自分」を持て余しながらも、希望を胸に二つの夕陽を見上げるシーンとこの少年は呼応する。それと同時にルークが死んでも、ジェダイの意志は若い子供たちに受け継がれて、「最後のジェダイ」はレイだけでは終わらないという意図のシーンだと感じたが、それ以上に、あの少年に僕は自分を重ねてしまったのだ。子供の頃からそれこそ学校で、ホウキをライト・セーバーに見立てて友達とスター・ウォーズごっこをし、口で「フォン、フォン」と効果音を入れながら、ルークになり切っていた子供の頃の自分。ルークはスター・ウォーズの世界の中では死んだけど、僕は多分生涯ルークの事を忘れないだろう。あの少年の後ろ姿は、人生を通してスター・ウォーズとルークに魅了されてきた、そしてこれからもそうなり続ける、全世界のスター・ウォーズファンの姿だ。そう、エピソード8はルークの物語だったのである。

 

ひとまず次作のエピソード9で、新三部作も終わりになるはずだ。ディズニーから、更に新しい三部作の構想が発表されたが、ルークもハン・ソロも、レイアもダース・ベイダーも絡まないスター・ウォーズを「スター・ウォーズ」として認められるのか?、自分でも自信がない。そしてエピソード9だが、今作「最後のジェダイ」でかなりの謎と伏線を強引に解消してしまった感がある。ダークサイドに堕ちたカイロ・レン率いるファースト・オーダーと、レジスタンスの最後の闘いになるのだろうが、どうにも物語のフックが弱い気がするし、期待値が下がっているのは否めない。それも杞憂で終わるといいと本気で思っているのだが。

 

次作の監督は、またJ.J.エイブラムスらしいが、劇中でヨーダが「ジェダイ・マスターの役割は、新しい才能に乗り越えられる事だ」というようなセリフがある。ジョージ・ルーカスというジェダイ・マスターが遺した偉大なシリーズを、J.J.エイブラムスが見事に着地させてくれる事を願ってやまない。あ、それから予告編で出てきた「ポーグ」が反則的な可愛さであった事は、最後に書いておきたい。こういうキャラを作らせると、ディズニーはやっぱりすごいなと改めて感心した。